【回答:若泉 敏】受験対策<その1>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

次年度の国立中学校受験までの勉強計画案を具体的に教えてほしい

国立中の4教科以外の対策はどうすればよいか?

音楽の対策を教えてください

次年度の国立中学校受験までの勉強計画案を具体的に教えてほしい

国立中学校の受験を考えています。学校説明会では、小学6年生までの勉強が試験に出るという話でした。塾には通っておらず、ベネッセの通信講座だけで受験対策をしています。現在5年生ですが、これから1年と少し、受験に向けてどのような勉強スケジュールを組もうか悩んでいます。
具体的にどのようなスケジュールが有効か教えてください。
国立中学校といっても、学校によって条件は全く異なる。まず希望する学校の過去問を手に入れて分析してから、具体的な対策を立てよう。いずれにしても、4教科まんべんなく勉強して

国立大学附属中学校は、全国56大学に中学校76校・中等教育学校4校が設置されています。例えば東京都には、筑波大学、お茶の水女子大学、東京学芸大学、東京大学教育学部の各附属があり、いずれも附属高校を設置しています。しかし一部を除き、全国の多くの附属中学校には附属高校がありませんから、高校進学の際は高校受験をすることになります。
そして、「国立中学校」とひとくちにいっても、例えば筑波大学附属には大塚と駒場の2校があり、大塚は8教科の試験と体育実技が行われるのに対して、駒場は4教科の学科試験があり、試験内容も異なります。
また、受験対象校が中学校なのか中等教育学校なのかによっても試験内容や形式が異なります。中等教育学校は適性検査が行われます。東京には東京学芸大附属国際中等(大泉)と東大教育学部附属中等と2校ありますが、出題の傾向と内容は全く違います。

このように国立大学附属各校はさまざまな個性をもつため、対策のスケジュールは、一般的にいえば、まずめざす国立中学校の過去問を入手し、どのような学力が求められているかを判断してください。そして、標準的な中学受験レベルの問題集を4教科にわたってまんべんなく学習することをおすすめします。

※2009年11月現在の情報です

国立中の4教科以外の対策はどうすればよいか?

志望校は筑波大学附属中学校です。4教科の他に音楽、図画工作、家庭の学力検査と体育の実技検査があります。どのような対策が必要ですか? アドバイスをお願いいたします。塾では国語と算数をやっています。
学校の授業をおろそかにせず、意欲的に取り組む姿勢が大事。

筑波大学附属中学校は、今では少なくなった8教科の試検(体育は実技)をしっかり行う国立附属校です。面接はありませんから、知力・体力面の総合力を求めています。

対策の第一は、学校の授業を大切にして意欲的に取り組むこと。特に体育と音楽は学校の授業で身につけた力が求められます。

第二は、家庭、音楽、図工の教科書を隅から隅まで丁寧に読み込んで、知識を確かにしておくこと。音楽と図工の教科書は5・6年生の内容を中心にしつつも、3年生の内容から目を通しておくとよいでしょう。

音楽は放送問題ですから、楽器の名前と音、リズムと音符・休符の長さ、楽曲と作曲者名・曲名などを正確に結びつけられるようにしておくことが大切です。図工は、必ずしも小学校で手がけた作業が出題されるとは限りませんから、図工で使う道具の名前や作業手順の知識固めも必要です。

裏ワザとして、通学区の教科書だけでなく、別の出版社の教科書や中学校の教科書にも目を通して、多角的に知識の整理をする手もあります。市販されている問題集を演習する場合には、まんべんなく演習するよりも、過去問で頻出する課題を重点的に演習した方が効果的です。
なお、4年生からの理科も重要だと申し上げておきます。社会は5年生からでも大丈夫ですが、4年生の地図記号はしっかりおさえておきましょう。

音楽の対策を教えてください

京都教育大学附属京都中学校への進学を強く希望している6年生です。国算理社の他に実技試験があるのですが、選択なので音楽で受験する予定です。
国算理社については、過去問もあるのですが、音楽については「配られた楽譜を見て歌う」としか載っていません。どのような対策をすればよいでしょうか。よろしくお願いいたします。
ひととおり階名(ドレミファ)で楽譜が読めれば大丈夫

京都教育大学附属京都中学校への進学を希望し、実技試験の選択を音楽で考えておられるなら、小さい頃からピアノやバイオリンなどのおけいこ事を続けてきたのでしょうね。もしそうであるならば、楽譜を見て階名で、つまり「ドレミファ」で楽譜は読めるようになっていることでしょう。同校が選択課題として出す「配られた楽譜を見て歌う」問題は、ある楽曲についてくり返し練習してきた成果を見るのではなく、「楽譜をその場で見て、楽譜の記号等に注意しながら、正しく歌う」、小学6年生修了程度の音楽の学力を問うものです。従ってその楽譜は、教科書に掲載されている楽譜である場合が多いでしょう。現在6年生ですから、学校の3年生から6年生までの音楽の教科書に載っている楽譜が読めるような状態になっていれば、特に心配する必要はないのではないかと思われます。ひととおり階名(ドレミファ)で歌って練習しておきましょう。
一応楽譜は読めるがまだ不安だという場合には、これから入試までの3か月間ソルフェージュの個人授業をお願いするのがよいでしょう。ソルフェージュ(仏:solfège)とは、楽譜を読むことを中心とした基礎訓練を言います。また、リトミック(体の動きと音とを結びつけた、リズムを中心とした訓練)も出題によっては有効かもしれません。入試にまだ余裕のある5年生以下の児童の場合には、楽器に加えてソルフェージュやリトミックも行う音楽の習い事を選ぶとよいでしょう。

プロフィール



学習塾「スクールETC」代表。思考力を問う公立中高一貫校の適性検査対策に、若泉式の読解力・記述表現力の指導法が注目を浴びる。適性検査問題分析研究の第一人者としても活躍。著書に『公立中高一貫校 合格への最短ルール 』(WAVE出版)などがある。

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