【回答:森上教育研究所】志望校選び<その1>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
「後伸び」する具体的な方法は?
子どもに応じた指導の特色を知るには?
理系に強く国際派の学校は?
「後伸び」する具体的な方法は?
Q | 「後伸び」するにはどうしたらよいのか、具体的に教えてください。 |
A | どのような学校が生徒を「後伸び」させているかを、大学合格実績で確認してみましょう。最近、私立中高一貫校の合格実績が同ランクの高校よりも上昇している学校の共通点は、(1)在校生と先生のモチベーションが高く (2)学校運営が円滑、なことでした。在校生と先生のモチベーションが高い学校では、生徒が「後伸び」していると考えられます。 子どもが伸びていく原因はさまざまですが、主として人から良い影響を受けることで成長します。学校で子どもに影響を与えるのは、友人や教師ということが再確認できます。 次に、モチベーションと「後伸び」の関係を検証してみましょう。生徒のモチベーションを高めるためには先生のモチベーションが高くなくてはならず、先生のモチベーションを高めるためには学校運営が円滑でなければなりません。(1)と(2)で、学校全体のモチベーションが高まり、生徒全員を「後伸び」させるという論理です。つまり、子どもをモチベーションの高い環境に置くことで自身のモチベーションを高め、「後伸び」させることが可能です。 「後伸び」できる学校の教育方針や校風はさまざまですので、教育方針や校風はお子さんに合った学校を志望校として選定したらいいと思います。また、学校偏差値はお子さんの偏差値と同程度か、多少高い学校がお子さんに合った学校を選び、極端に偏差値差がある学校は避けたほうがいいでしょう。 |
子どもに応じた指導の特色を知るには?
Q | 興味をもったことは、とことん深く追求するタイプの子どもです。そういう子への対応について、先生がたの指導の特色などをよく知るための方法を教えてください。 |
A | 偶然に良い担任に当たれば、先生が子どもから輝く個性を見つけ出し、大事に指導してくれることはあるかもしれません。 子どもの輝く個性を見つけ出し、個性が開花するような指導を組織的に行っているわけではないのに、結果を見ると画一的な指導ではなく、子どもの個性を重視して指導しているのではないかと思われる学校もあります。そのような学校は、大学の合格実績を見れば見当がつきます。大学合格実績が、文系・理系・その他(教育・芸術など)に分散されており、学部や学科においてもバラエティーに富んでいるのです。 どうしてそのような結果になったのかといえば、学校がキャリアデザインに力を入れた結果、生徒たちの進路は生徒の個性と希望により多様性がでたからです。学校と先生がたは、生徒たちの夢をかなえるため、その夢を実現するための大学に進学させようとして、結果として、子どもに応じた特色ある指導をすることになるわけです。 子どもに応じた特色ある指導をしようとしたわけではなく、キャリアデザインの延長で、個人対応の指導をしていると言えるのではないでしょうか。 |
理系に強く国際派の学校は?
Q | 学校を、「理系に強い」「国際派」と分けた場合、どちらにもバランス良く力を入れている学校はありますか。 |
A | 「国際派」も同様ですが、特別な取り組みをしているから「理系に強い」学校とはいえません。学校は結果で見なければ、明確なことはいえません。 「理系に強い」は、学校の大学合格実績を見ればわかると思います。学部・学科を表示していない学校は、理系の単科大学である東京理科大や芝浦工業大などの合格者数を卒業生数で割った値を基準として比較すればわかります。比較をする場合は、同じ難易度の大学で行ってください。 「国際派」の学校は英語に強いというのが特徴です。英語に強くなければ合格できないとも言える、早稲田・慶應義塾・上智や、明治・青山学院・立教・中央・法政の合格者数を卒業生数で割った値が大きい学校が英語に強いということになるかもしれません。 そして、それらの数値が大きい学校は、難関校・上位校になると思います。 理系に強い難関校・上位校のうち、文系と理系の大学進学率が同程度の学校は、「理系に強い」「国際派」のバランスが良い学校と言えるのではないでしょうか。 学校は、生徒の希望をかなえるように進路指導・受験指導を行っているわけで、難関校・上位校だからといって、特に計画的に「理系に強い」「国際派」のバランス良く、人材を育てようとはしていません。むしろ、生徒の希望をかなえるべく指導をした結果、バランスが良くなったのではないでしょうか。 |