算数「濃度」[中学受験]
中学受験カウンセラーのミスター・ツカム氏が、この「テクニック」を伝授します。今回も、楽しみながら取り組んでみてください。
■「濃度」
こんにちは。ミスター・ツカムです。
算数の「濃度(のうど)」を取り上げます。割合(わりあい)の単元の中でも入試に多く出題されていますね。食塩水の混ぜ合わせの問題がほとんどです。
この問題を考えていくうえで、「面積図」を使った解き方をマスターしておくと、簡単(かんたん)に理解できることが多くなります。
「面積図」を使わないで、食塩の量を追いかけていく考え方もありますし、その両方を使う問題もあります。今回取り上げている過去問の解説を読んでいくと、よくわかりますよ。
ただし、食塩水の濃度を求める公式を理解していて十分に使いこなせるようにしておいてくださいよ。それが大前提です。
「3%の食塩水300gには、どれだけの食塩が入っている?」 …と聞かれて、
300 × 0.03 = 9 g です。…とか、
「500gの食塩水に、10gの食塩が入っているとき、この濃度は?」
10 ÷ 500 = 0.02 2% です。こんな簡単なこと聞かないで!
…っていうレベルにしておいてくださいね。
それでは、さっそく入試問題で「濃度」をマスターしていきましょう。
問題1 |
濃度7%の食塩水が200gありました。この食塩水に食塩を加えてよくかき混ぜると、濃度10%の食塩水ができました。食塩を何g加えたか求めなさい。 (高槻中 2008年) |
<問題1の考え方と答え> |
さて、最初の問題なので「面積図」を使った考え方の基本から説明しますね。 「濃度7%の食塩水が200gありました」。まず、この図をかいてみましょう。 長方形のたてが濃度、横が食塩水の重さ、面積は食塩の重さを表しています。 次に「食塩を加えてよくかき混ぜる」とありますね。ここでポイント!
加えた食塩が何gかはわからないので、□g とします。 すると、図はこうなります。 それが、均一の濃度になったので、次のようにかきました。赤色の部分が青色の部分に移って、高さがそろった(濃度が均一になった)と考えます。 その後、わかっている数値(すうち)を書きこんでこうなります。 青色の部分の面積と赤色の部分の面積が等しいので、あとは青色の長方形の「横」の数値を求めればいいわけです。 どうでしょうか? 簡単でしょ? ミスター・ツカムは初めてこの解法を学んだとき、「算数ってすばらしい!」と感激(かんげき)しましたよ。きみも算数でどんどん感激する感性をもってね。 次は、面積図で「逆比」を使う問題ですよ。 |
問題2 |
3.5%の食塩水が600gある。これを5%にするには水を g 蒸発させればよい。 (金蘭千里中 2008年) |
<問題2の考え方と答え> |
今度は混ぜていくのではなく「水を蒸発(じょうはつ)」させる問題です。 さっきも説明したけれど、「水は0%の食塩水」だと考えて作図するんだよ。 まず、「3.5%の食塩水が600gある」、これをかきましょうね。 次は「水を蒸発させる」だね。水(0%の食塩水)が減るわけだから、横の長さが600より短い長方形をかきます。それが5%になるので次のようになりました。わかっている数値も書きこんでいきましょう。 赤色の部分と青色の部分が等しい面積になります。 赤色の長方形のたては 1.5 で、青色の長方形のたては 3.5 ですね。 比でいうと 1.5 : 3.5 = 3 : 7 となります。 面積が等しくなるためには、横の長さの比は「逆比」にならないといけませんね。 赤色の長方形の横 : 青色の長方形の横 = 7 : 3 です。 横の長さ600を7:3に分割しているので、求める水の量は、 どうですか? |