オープンスクールでの確認事項[中学受験]

4月からオープンスクールを開催する学校もあるが、開始時期として最も多いのが6月だ。終了時期は9月~10月が多く、かなり長期間に渡って行っている。最初に保護者がオープンスクールに参加する月は、6月が約40%で最も多く、7月~8月は夏休みで約5%と少なくなるが、9月と10月が各約15%で次に多い。受験生・保護者の参加率が高い文化祭・学校説明会では、9月と10月の開催が多い。時期的なことを考えると、オープンスクールを文化祭・学校説明会の下見にしているのかもしれない。文化祭・学校説明会で志望校を決定するのであれば、志望校候補を絞り込むためにオープンスクールに参加するケースが多いと思われる。

保護者のオープンスクール参加率は、第1志望校が約30%、併願校が約60%であることが保護者アンケートでわかった。より重視しているはずの第1志望校の参加率が併願校よりも低いというのはおかしいと思われるかもしれないが、難関校・上位校はオープンスクールを実施していない学校が多いので、併願校のオープンスクール参加率が高くなる現象が起こる。

保護者が、入学前に、在籍校のオープンスクールに参加した時、どれだけ「我が子に合った学校」であると感じたかを、確認事項ごとにアンケートで調査した。求める学校にピッタリ適合したと答えた保護者の割合が高い項目は、「学校全体の外面的な清潔・整頓など」(52%)、「在校生の外面的な礼儀・服装・言葉づかい・態度など」(48%)、「教職員の外面的な礼儀・服装・言葉づかい・態度など」(48%)で、逆に割合が低い項目は、「在校生の内面的な印象」(26%)、「教職員の内面的な印象」(26%)であった。
つまり、この結果を見ると、「我が子に合った学校」かどうかを、わかりやすい外面的な要素で判断した保護者が多く、わかりにくい内面的な要素で判断した保護者が少ないことがわかる。しかし、外面的な要素は、見聞きするだけでわかりやすいが、常日頃から本当にそうかどうか疑わしい。逆に内面的な要素は、外面的な要素から保護者が感じることなのでわかりにくいが、案外本質を突いていることが多い。

しかし、入学後に「在籍校は我が子に合った学校である」と答えた保護者の割合を調べてみると、外面的な要素で志望校を選定した場合の満足度は70%未満であったことに対し、内面的な要素で選定した場合の満足度は約90%であった。どうしてもわかりやすい外面的な要素に目が行きがちだが、内面的な要素のほうが学校の本質を見抜くことできることがわかる。オープンスクールでは、わかりにくいと思われる「在校生・教職員の内面的な印象」で「我が子に合った学校」を見極めることをすすめたい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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