受験生への接し方 その2[中学受験]

男の子に多い、精神年齢が低く、自覚に乏しく、自発的に勉強することは期待できないタイプの受験生を持つ親御さんからの相談を見てみよう。

「男子です。自分から進んで勉強しようという意欲がまったくありません。塾では何とかやっているようですが、家では親が見張っていないと、テレビばかり見ています。『あと2か月だからがんばれ』と言っても、『そんなに長くがんばれない』と言います。公立中学校は嫌だから私立に行きたいと言い出したのは本人なのですが、どうしたらもっと緊張感を持って勉強し、あと少しの間を上手に過ごさせることができるのでしょうか」
このタイプは、親が管理しなければ嫌な勉強はしない、放置しておけばいつまでもテレビを見ている場合が多い。しかも、勉強から逃避するために本人が興味のない番組でも見続けてしまう。それでも親に言われれば、割と素直に勉強はするものの、真剣には取り組まないので、なかなか成績が伸びないということになる。

「男子の受験生を抱える母です。入試が近づいてもまだのんびりしており、私のほうが不安です。その日にこなすべき課題も私が『早く始めなさい!』と何度もどなって、ようやくスタートする状況で、しかも、やり終えることができません。成績は、まだ志望校合格がきびしい状況です。本人にやる気をもっと出させるには、どのようなサポートがよいでしょうか?(いまだに、ゲーム好きです)」
この相談でも同様で、成績がまだ志望校合格にきびしい状況でも入試や勉強に対する自覚はないようだ。勉強することが目的になっていて、入試に対する実感が乏しく、他人事になっており、ひと言で言えばのんびり屋さんだ。親としては自覚を持たせて、真剣に勉強させたいわけだが、何を言っても「ぬかにくぎ」という状況のようだ。

それではどのようにすれば、真剣に勉強するのだろうか? 

過去問演習を行うことで、目的は勉強ではなく、合格点を取ることだとわかれば意識が変わる可能性がある。男の子は、ゲーム好きが多く、点数にこだわりがある。合格点を取るためにはどうすればよいかが、勉強に結びつき、やる気につながる。つまり、勉強は志望校合格のための手段なので、得点率の上がりそうな分野や単元(つまり志望校に頻出するとか、自分がいつも間違えるところ)を集中的に勉強して、過去問演習で得点が上がることがわかることで、勉強に対するやる気も出てくるという仕掛けだ。それができたらほめてあげよう。声がけの基本は「ほめてやること」だ。

親がなすべきことは、過去問演習のやり方を教え、タイムキーパーや採点官として協力してあげることと、1点でも合格点に近づいたり、子どもが頻繁におかすミスが少なくなったりしたら、すかさず「ほめてあげる」ことだ。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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