第1志望と併願校 その2[中学受験]

「これまで何年も第1志望を目指して勉強してきたのだから、合格可能性が低いチャレンジ校となっても第1志望をあきらめることはできない」と考える受験生・保護者は多いだろう。合格可能性50%の偏差値よりも自分の偏差値が低ければチャレンジ校と言っても良く、5ポイント以上低ければ完全なチャレンジ校だ。チャレンジ校を受験するのであれば、併願校の中で、少なくとも一校は安全校を入れておくべきだ。安全校は、合格可能性80%の偏差値よりも自分の偏差値が高いところで選び、その学校の過去問を解いて合格最低点を大幅に上回るだけの得点ができるかどうかで確認すると良い。

「第1志望はチャレンジ校で、1日と3日に入試がありますが、複数回受験者が有利になる可能性があると聞いたので1・3日とも受験したほうが良いのでしょうか? それとも2月1日は安全校にして3日にチャレンジしたほうが良いのでしょうか?」「2月2日に別のチャレンジ校を受験したいと思っています。第1志望は1日にチャレンジして3日は1日と2日の結果次第にしたほうが良いでしょうか?」といった、チャレンジ校や受験日程についての相談も多い。

このケースでは、第1志望の偏差値は1日と3日では数ポイント違うはずだ。2月1日の偏差値のほうが低いので、第1志望を狙うとすれば、2月1日を受験すべきであろう。2日をチャレンジ校にするのは不安を抱えて3日に突入するのであまりおすすめできない。しかし、どうしてもと言うのなら3日を安全校にするか、2日の午後に安全校を受験するか、とにかく一つは確実に合格できるようにすべきであろう。また、今年は2月1日が日曜日となるため、2009(平成21)年度入試はサンデーショックの年になる。受験日程は、余計複雑となる。どのような日程で受験すべきかをよく考えておきたい。

親としては、そう簡単には割り切れないかもしれないが、力を出し切って第1志望が不合格になったら、それは仕方がないことだと思う。併願校で一校は安全校を受験すべきだと言ったのは、努力したのに一校も合格を勝ち取れなかったというのでは、受験生本人の落胆も大きいからだ。試験は水物なので、模試では合格可能性80%の偏差値を取っていても不合格になることもある。保護者にとって、これまでの苦労は何だったのか?と、つい自分自身が落ち込んでしまうかもしれない。しかし、それよりも子どもの気持ちがどうかを考えるべきではないか。

万が一ということもあるので、第1志望に不合格になったり、最悪の事態として全滅になったりした時のことを想定しておくべきであろう。そして、それが現実となった時には、中学受験が子どもにとって良い経験だったと思えるよう十分にケアをしてあげてほしい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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