ほめすぎもダメ[中学受験]

試験の結果は悪い時だけではない。2学期に入ってからも、ますます快調で仕方ないということもあるだろう。そんな時はどうするかだが、手放しにほめてしまうのはやはり危険である。
前にも述べたが、試験までのこの期間は、安心したり緩んだりしてはいけない。
試験で調子の良い時は、どこかを注意するべきであろう。そして逆に調子の悪い時は、どこかをほめる必要がある。

ほめすぎもダメ[中学受験]


つまり調子の悪い時でも良い時でも、「ほめる」と「注意する」を必ず行うということであり、ポイントはその配分ということになる。たとえば良い時は「ほめる」と「注意する」が8:2であり、悪い時は2:8になるなどと考えれば良い。

「ほめる」「注意する」の案配は、実はその子の性格や時期によって決まってくる。お調子者のお子さまで、最近確かに調子良く勉強しているが、どこかに隙が出てきていると思えるなら、「ほめる」と「注意する」の比率が5:5でも良いだろう。
当然お子さまは手放しでほめてくれることを予想していたはずだから、「なんで?」と思うかもしれない。そんな時は最近の気の緩みを指摘しながら、試験は「みずもの」だから最後の最後まで気を抜くべきではないと諭すべきだ。

こうやってみると、たとえ成績が上がっても一緒に手放しで喜べないのでつまらないという気持ちになる。実際つまらないとも思う。
しかし、中学受験は親子で二人三脚の試験なのだから、親が常に冷静な部分がなければならないのである。
この点優秀な先生はさすがと思えるのは、怒るにしてもほめるにしてもある程度その結果を考えながらやっているということだ。

極端に言えば「演技している」と言っても良いくらい冷静に指導する。先生が的確に指導しているからこそ、生徒も付いてくるのである。
ところが親の場合は親の権威ということもあり、つい感情的になる。
しかも内容は、教務的にはお子さまのほうがよくわかっている中学受験なのである。
これではお子さまも感情的になり、最後はケンカになってしまうであろう。

感情的になってはいけないというのは確かになかなか難しいが、ポイントは「こういうことを言うと、どういう結果になるか」を考えてから発言するということであろう。
ここでほめるべきなのか、あるいは注意するべきなのかは、お子さまの今の状態を考え、そうすることによりどんな状態にしたいのかによるということだ。
だからいくら成績が良くても、ほめすぎてはだめなのである。
なかなか難しいが、お子さまがこの5カ月間、緩まずに希望をもって勉強を継続するために必要なポイントであると思う。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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