集中力を増す「問題文」の読み方[中学受験]

論説文は筆者との対話

国語の問題文を読む時、ダラダラ読んでいるとなかなか頭に入らない。
そのために読み終わるまでの時間もかかり、繰り返し読まなければならない箇所も増えてしまうのだが、これは「集中力」の欠如が原因である場合が多い。
たとえば物語文の場合はスラスラと読めるのだが、説明文や論説文はどうも集中できないという子どもがいる。
特に、内容が難しいとダメだという子どもが多い。

これは物語文の場合は物語のなかに入り込めるが、論説文の場合はどのように対処したら良いかわからないということにあるようだ。
そんな場合は、「論説文とは、筆者が自分の意見をキミに納得させたがっている文章だから、筆者と対話しているつもりで読んでいけば良いのだ」と生徒に説明する。

たとえば書いてある内容に、一つひとつあいづちを打ちながら文章を読むのである。
書いてある内容が興味のないことだと、最初の一行で「読みたくない」という意識が出てしまう。
しかし、読んで理解する必要があるのだからそんな時は仕方がないとあきらめて、書いてある内容に「へー、そうなんだ」「なるほど」「知らなかった」とあたかも対話しているように読み進めるのである。
そのうち読んでいる内容が頭に入るようになったら、このような対話は不要であろうから、普通に読み進めれば良いのである。

最初の5行に集中して読む

最近は「読んでいるのに、読めていない」とか「聞いているのに、聞こえていない」という生徒が多くなっているようだ。
実際の授業でも、今話した内容について「先生、何て言ったの?」と質問する生徒が増加しているような気がする。
その生徒たちはほかの生徒と話していて話を聞いていなかったのではなく、ちゃんと顔をこちらに向けているにも関わらず、聞こえていないようなのである。

おそらく説明を「音」として受けとめていても、頭を働かせていないために理解されずに消えてしまうのであろう。これと同じで、文字を読んでいても単に目が字面を追っているだけで、内容が頭の中に入ってこない生徒は多い。
集中力を増し、頭を働かせるために「文章は最初の5行が大切。ここを集中して読め。読んでこの文章は何について書かれているのかをつかめ!」と生徒に言うことがある。

もちろん文章によっては、最初の部分とそれに続く部分で筆者のイイタイコトが変化する場合はある。
しかし基本的には最初の5行で「予想」をつけて、筆者のイイタイコトが何かを仮定することが、速く正確に筆者のイイタイコトを汲み取る方法であると思う。

「最初の5行」という制約をつけることで集中力を持続させ、その部分を理解させることで興味を湧かせ、それによりそれ以降を能動的に読もうとする意欲を引き出すわけである。文章を読めていない生徒は、途中で内容を見失っている場合が多い。しかも最初のほうですでに迷っているという生徒が、案外多いのである。

メリハリをつけて読む
文章には集中して読むべき箇所と、そうでもない箇所もある。いわゆるメリハリをつけて読むことは、集中力を持続させながら文章を読むコツでもある。
たとえば評論文における「主張」とか「結論」はその文章のイイタイコトであろうから、丁寧にじっくり読む必要がある。

通常はこの箇所は抽象的に書かれていたり、一般論として書かれていたりする場合が多いので、かなり読みにくいところではあるはずだ。
逆に筆者の「主張」をわかりやすくするために書かれている「具体例」や「引用」は読みやすいであろうから、緊張感を緩めて読んでいっても良い。
慣れないうちはどこが具体例で、どこが引用なのか、わからないかもしれないが、「たとえば」が出てきたら具体例が続くであろうし、有名人の言葉などが出てきたら引用文であろう。

「読み方が遅い」とか「問題を解くのが遅い」という悩みをもつお子さまも多いようだが、以上のような方法で「集中力」を増し、全体をスピードアップすることは可能であると考える。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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