言葉による学校文化と生徒文化[中学受験]

学校を選ぶ際は、それぞれの学校がもつ文化を参考にするといいと常々思っている。

たとえば、言葉。

日本では長く、争いごとを避けたり、その場の空気を読んだり、といった文化を大切にしてきた。それに対しキリスト教を広く信仰している西洋では、聖書の「始めに言葉ありき」という言葉のとおり、言語で契約を結んだり、自分の気持ちを伝えたり、といった文化を大切にしてきた。

最近、二人の校長先生と話すことで、この文化の違いが学校文化に与える影響を改めて実感した。

「校外行事に先生が引率するにあたって生徒たちに注意を与えることがあります。『これからこんなところに行きますが、そこでどのように行動すべきかおわかりですね』。決して言葉で『こうなさい』『ああしてはいけません』とは申しません」。ある女子校の校長先生のお話である。
ここには、まさしく、言葉によらない日本的な「察しの文化」がある。

また、コンサルタント業界で長く活躍されたのち、お父さまの後を継がれた某男子校の校長先生の話である。
この学校では、修学旅行の際にはマニュアルを配り、スケジュールや約束事項を細かく生徒に伝えているという。
そもそもこの学校もキリスト教系というわけではなく、日本の伝統を重んじていたが、元コンサルタントという校長先生の職業経験が、言語で契約を結ぶといった西洋文化を根本としていたために、それまであった「察しの文化」を覆したのだと推測される。

一般的には、こうしたことは規範としての学校文化なので、セオリーどおり行われることが多い。
ただし、今も述べたように、トップが代わることで、大きく変革を遂げることもある。

ところで、ある難関進学女子校の生徒たちは、日常語としてごく当たり前に乱暴な言葉を好んで使っている傾向にあるようだ。表立って使用される言葉が大変見事にきちんとしている学校でも、遠慮のない場所ではあまり事情が変わらないと聞く。これは「学校文化」に対し、「生徒文化」と言える。

生徒文化は、学校の教育理念やトップの考えに基づく学校文化と違って、その時々の流行や生徒たちの考え方を反映するため普遍のものではないが、生徒一人ひとりに与える影響力は、学校文化の比ではない。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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