都立中学校新設効果で私立中位校受験者増[中学受験]

今年は、さいたま市立浦和中学校と、千葉市立稲毛高等学校附属中学校の2校の公立中高一貫校が募集を始め、20倍台の受験生を集める人気となった。大学受験がそれほどでもない市立の中高一貫校のこの人気ぶりはやはりすごい。

一方で今年は開校2年目の募集となった都立中学校(ただし東京都立白鴎高等学校附属中学校だけ3年目)と東京都千代田区立九段中等教育学校の受験者数は前年並みで、事前の書類審査がなくなった点を考えると人気低下は否めない。ただ受験者減少となった東京都立小石川中等教育学校東京都立桜修館中等教育学校の場合、前者は難化予想での敬遠という様子がうかがえる。なぜなら模試で予想偏差値がかなり高く出ていたからだ。しかし都立桜修館については適性検査問題が直後に公開されなかったなど学校運営での「?」もあり、そうした面で何か人気薄になる要素があったのかもしれない。
唯一例外的に人気となった区立九段中等教育学校は、まだ旧都立九段高校と並存しているため施設使用面の不自由さがあり、在校生の学校満足度は今ひとつということはあるが、積極的な学力向上教育への取り組みが受験者増につながった様子もある。

こうした都立(区立)中学校の人気低下(?)と符節を合わせるように国公立大付属の人気は復調している。
また、たとえば目黒区の八雲学園中学校、江東区の中村中学校かえつ有明中学校、文京区の京華女子中学校、北区の聖学院中学校校などに見るように、都立中学校近辺の中位私立中学校の、主に男子校、女子校が受験者数を伸ばしている。
これらはもちろんそれら自体の魅力もさることながら、一つには都心回帰の小学生人口の増加地帯である中央区、港区、江東区に立地していること、かつ都立(区立)中高一貫校の立地と近接していることが影響しているからではなかろうか。埼玉でも市立浦和中学校の近辺の浦和実業学園中学校、また千葉でも市立稲毛中学校の近辺の和洋国府台女子中学校などが増加している。

さて来年は、東京都立武蔵高等学校と東京都立北多摩高等学校が付属中学校の募集を開始する。これで三多摩地区の中学校受験熱も高まるはずで、23区と比べて開きがあった中学校受験率、進学率が縮小に向かうだろう。またこの2校が新設人気にのり、一方で、従来の5校の受験者数の減少を招かないとも限らない。今後は私立受験との併願も増加していくと思われるが、人気の差も広がっていくかもしれない。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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