教員採用試験でも広がる「グローバル化」 英語教育の充実で

次期学習指導要領では小学校高学年で「英語」が教科になるなど、社会のグローバル化の進展に対応した英語教育の充実が大きな課題となっています。しかし、それを教える英語教員の体制はできているのでしょうか。実は、英語教育の充実や社会のグローバル化に対応して、各都道府県などが実施している公立学校教員採用試験にも大きな変化が現れ始めているようです。

以前にもお伝えしたように文部科学省は、外国語指導助手(ALT)などの外国人に特別免許状を与えて英語教員に採用するためのガイドラインを示しています。このような動きを受けて広島県・市は、ALTなどの外国人を中高の英語教員として採用するため、2015(平成27)年度採用試験から「グローバル人材特別選考」を設けました。2016(平成28)年度採用試験では、全学校・全教科で教員免許状を持つ外国人留学生を対象にした「特別選考」も実施することにしています。
同様に2015(平成27)年度から京都府も「スペシャリスト特別選考」の中で外国人の中高英語教員への採用を始めているほか、16(同28)年度採用試験では福井県(外部のPDFにリンク)が「グローバル人材特別選考」、京都市(外部のPDFにリンク)が「フロンティア特別選考(英語ネイティブコース)」として、外国人を中高の英語教員に採用する方針です。長野県は「グローバル講師」として、教員免許のない外国人を単独で授業ができる特別非常勤講師に採用しています。

さらに広がっているのが、実践力のある英語教員採用の取り組みです。具体的には、英検1級やTOEIC945点以上など、民間の英語能力試験で非常に高い成績を取っている者を対象に、中高の英語教員採用試験において1次試験や実技試験を免除したり、試験得点に加点措置をしたりするケースが多いようです。2016(平成28)年度採用試験では、岩手県、福島県、茨城県、埼玉県、新潟市、富山県、山梨県、兵庫県、広島県・市、高知県などが予定しています。

一方、学級担任制の小学校は教科ごとの教員採用をしていないため、これまで英語力のある教員の確保が困難でした。このため、一般の小学校教員とは別に「小学校(英語)」などの採用枠を新設したり、中学校や高校の英語免許保有者や、英語能力試験の高成績者に加点措置をしたりして、英語力のある者を小学校教員として採用しようというところもあります。小学校教員の英語力アップの中核的存在となることが期待されているようです。2016(平成28)年度採用試験では、さいたま市、新潟県、山梨県、静岡市、京都府・市、大阪市、兵庫県、岡山県・市、広島県・市、佐賀県、熊本県などが予定しています。
このほか、小学校教員採用の1・2次試験で英語の筆記やリスニングなどを課し、英語力を小学校教員採用の評価対象にしようという取り組みもあります。2016(平成28)年度採用試験では、新潟県・市、福井県、徳島県、香川県、大分県などが予定しています。

外国人の英語教員が普通に教壇に立つなど、小学校教員でも英語力があるのは当たり前にという時代が、もうすぐやってくるかもしれません。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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