小1プロブレムを乗り越えろ! 第2回 家庭でできる入学準備
- 教育
現在、幼稚園児や保育園児がスムーズに小学校生活になじめるよう、幼保小連携の重要性が高まっています。前回に続き、家庭できる小学校入学準備について、東京成徳短期大学の和田信行先生にお伺いしました。

◎入学前に身につけさせたい3つの力
わたしは品川区の保幼小連携の推進に関わっています。品川区では小学校入学後の活動の基礎となる「生活する力」「人とかかわる力」「学ぶ力」の3つの力を育むためのカリキュラムを5歳児の10月~1年生の1学期に導入しています。 以前本サイトでもご紹介しましたが、この3つの力を身につけると小学校生活に適応しやすくなるはずです。今回は、家庭で実践する際のポイントを具体的にご紹介します。
●「生活する力」を育むポイント
小学校入学後の生活に身体が順応できるように、秋ぐらいから起床時間と就寝時間を早めたり、保育園児はお昼寝時間を減らしたりして準備を開始します。身の回りのことも自分でできるようにサポートしましょう(靴や衣服の脱着、トイレ、片づけ、ハンカチやティッシュの使い方など)。また、親子で登下校の練習をしておくと良いでしょう。
●「人とかかわる力」を育むポイント
子ども会、町内行事などに参加して、保育園・幼稚園以外の子どもたちと触れ合う機会を増やしましょう。また、隣近所の人とあいさつできるようにしましょう。登下校や親が不在の際、地域に頼れる人がいると安心です。
●「学ぶ力」を育むポイント
入学前はドリルなどを使って読み書きや算数を教えるよりも「勉強したい」という意欲を高めてあげることが大切です。すごろくやカルタなど遊びを通して、「学びたい」という心を育みましょう。読み聞かせもとても良いでしょう。
◎習慣の身につけさせ方
上記の3つの力の中で、早起きをする、片づけをするといった「生活する力」を身につけさせるのに苦労している保護者のかたも多いと思います。基本的な生活習慣は、小学校入学直前に親が「~しなさい」と注意して、すぐに身につけられるものではありません。4つのステップを踏まえて、保護者が子どもをサポートしてあげましょう。
踏まえておきたい4つのステップ
1)まず親が手本を見せる
親が良い手本を見せてあげることが大切です。たとえば、使ったものは元に戻す、時間は守るなど、身につけてほしい力のお手本を示してあげましょう。
2)やり方を指導する
注意するだけでは、子どもはやり方がわからずに挫折してしまうことがあります。たとえば、パジャマを脱ぎっぱなしにしてしまう子は、たたみ方がわからないのかもしれません。一人でできるようになるまでサポートしてあげましょう。
3)習慣化させる
自分でできるようになったら、それを習慣化させることが大切です。たとえば、早起きできたらシールを貼らせ達成感をもたせるといった工夫も良いでしょう。
4)やって当たり前にさせる
たとえば、片づけの習慣が身につきつつある場合、子どもに「いつも部屋がきれいだと、探し物がすぐに見つかるね」などと声掛けし、良い習慣が身につくと気持ち良く生活できることを、子ども自身に実感させましょう。
◎何でも相談できる関係性を築くことが大切
小学校入学を前に不安をお持ちの保護者のかたもいると思います。ただそれは子どもたちも同じです。子どもに「親はわたしのことを一番考えてくれる存在」だと思ってもらうことが、この時期になにより大切なのではないでしょうか。小学校入学後、子どもたちはさまざまな経験を積み、悩みを抱えることもあるでしょう。忙しい日々の中でも子どもの声に耳を傾け、子どもがいつでも頼れる存在であってほしいと思います。
プロフィール
- 和田信行
- 東京成徳短期大学教授。小学校教諭を経て、1988年から都立教育研究所統括指導主事など教育行政に携わる。小学校長、幼稚園長などを経て2008年より現職。著書『小学1年生「わくわくドキドキ」カリキュラム』(学陽書房)、『「生活科」「総合」の授業づくり』(小学館)