『ももたろう』で英語を習得!? 新しい学習法「ジョイント・ストーリーテリング」とは
東京都品川区の小山台小学校では、青山学院大学教授のアレン玉井光江氏が考案した、物語をとおして英語を学ぶ方法「Joint Storytelling(ジョイント・ストーリーテリング)」で1年生から英語学習を行っている。この方法の土台となる考え方、取り入れてからの小山台小の変化についてアレン氏に伺った。
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幼児が母語を覚える過程を考えてみると、保護者など周囲の人との自然なやり取りの中で、言葉を習得していきます。わかる言葉から類推し、文脈を理解していくのです。英語を身に付けるときも同じだと私は考えています。
そこで、考案したのが物語をとおして意味ある文脈で英語を教える指導法「ジョイント・ストーリーテリング」です。教材は『ももたろう』『おおきなかぶ』『うさぎとかめ』など、誰もが知っている昔話。子どもたちはストーリーの概要を知っているため、なんとなくですが、英文の意味を理解できるのです。
小山台小の子どもたちは「スラスラ言えるようになりたい」という意欲を持っているため、物語を自分たちだけでも語れるようになりました。英語を発話することで、聴く力も育てられ、英文を読む力、そして書く力も養われていきます。
物語には生活の中で使える表現をちりばめています。たとえばある子は、給食のカレーのおかわりをしようと思ったのにもうなかったという場面で、授業で習った表現の「I don’t believe this!」というフレーズが自然に出てきたそうです。
鍵になったのは子どもの変化でした。その変化を校長先生が見てくださり、私の指導法を評価してくださったからこそ、先生たちも子どもたちも私を信じてついてきてくださったのだと思います。今ではどの子も「難しいけど、がんばる」と前向きに英語の授業に取り組んでくれています。さらに、保護者や地域の方々のサポートがあったからこそ、小山台小独自の英語の授業が成り立っているのだと思います。