カリスマが解説! 英文理解にはストーリー予測
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。英語が苦手になる原因のうち、ひとつは「文字が読めない・書けない」ことだという。「世界の100人の教師」に選ばれたこともある英語教育のカリスマ、関西大学教授の田尻悟郎先生に「理解→習熟→応用・発展」の流れを踏まえつつ、英文を理解する方法を教えてもらった。
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ポイントは、「そのセリフの前にある気持ち」を予測しながら読むことです。
次の会話文を例に説明しましょう。
A: What time is it?
B: It’s two thirty.
A: What time is it in Vancouver?
B: It’s nine thirty in the evening on Sunday.
あなたがBさんだとすると、どんな気持ちでこの会話をするでしょうか。この会話を読んだ時に、「Bさんはきっと、Aさんがなぜバンクーバーの時間を知りたがっているのか、いぶかしがっているんじゃないかな」といった予測ができなければ、本当にこのストーリーを「読めた」とはいえないのです。
頭と心が動いた時に、口が連動して動いて出てきた音が「言葉」。頭と心が動いて、このセリフが出てきたわけです。セリフの前にどんな心のつぶやきがあるか、ちょっと考えてみましょう。
A: (えーと、そろそろ向こうに連絡しなきゃいけないよな。今何時だろう?)
What time is it?
B: It’s two thirty.
A: (もう2時半か! で、今向こうは何時だっけ?)What time is it in Vancouver?
B: (え、バンクーバー? たしか向こうは夜で、まだ日曜日だよな。)It’s nine thirty in the evening on Sunday.(なぜそんなこと聞くのかな?)
日本語でもかまいませんので、セリフの前にどんな心のつぶやきがあったかを想像して書いてみましょう。心のつぶやきを書くこと自体が、会話を理解することになります。