英語教育改革は本当に可能か? 今なお続く「左に英文、右に和訳」の伝統的学習

英語教育改革は本当に可能か? 今なお続く「左に英文、右に和訳」の伝統的学習昨年末、2020(平成32)年度以降から、中学校でも「英語の授業を原則として英語で行う」方針を固めた文部科学省。また高校では発表や討論などの活動を通じて、より高度で実践的な英語力を付けさせる方針が打ち出されている。英語教育に注目が集まる今、中高生の英語学習の実態はどうなっているのだろうか。ベネッセ教育総合研究所・主任研究員の加藤由美子氏に伺った。

 

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ベネッセ教育総合研究所では、2009年に「第1回中学生英語に関する基本調査」を行い、中学生の英語学習の実態について明らかにしています。今年度の研究では、生徒の学習内容や意識をより詳しく知るため、さまざまな背景を持つ16人の中・高生に一人30~40分の詳細インタビューを行い、その結果をTAE(Thinking at the Edge)という研究手法を用いて分析しました。

 

そこから見えてきたのは、ほとんどの生徒が「左に英文、右に和訳」のノートを作成するという「伝統的な文法訳読の授業」のために予習を行っていることでした。また、生徒たちの中で、英語の勉強と「英語を使うこと」は別物であることもわかってきました。

 

現在、文法解説と英文和訳中心の伝統的な指導スタイルから、英語を使う力を強化する「言語活動」をたくさん行うことへの転換が求められています。中学や高校の先生方はさまざまな努力をされ、文部科学省も研修会の開催や模擬授業のDVD配布などのサポートをしています。とはいえ、言語活動にはノウハウが必要であり、先生がたからは導入が難しいという声も上がっています。

 

また、指導スタイルがなかなか変わらない理由のひとつとして、よく聞かれる声に「高校入試や大学入試が必ずしも『使う力』を問うものになっていないから」というものがあります。

 

出典:最新の研究・調査から見えてきた、中学・高校生の英語学習の実態と課題は?【前編】 -ベネッセ教育情報サイト


2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。

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