おすすめの「学習マンガ」を分野別に大発表!小学生も楽しめる学習マンガ21選
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子どもにはいろんなことを学んでほしいけれど、興味がないことを学習させるのはなかなか難しいもの。特に、小学生に「勉強しなさい」と言っても自己学習できる子は稀です。でも漫画なら、勉強させられている感もなく、自然と知識が身についていきます。楽しく読んで学べるオススメの「学習マンガ」のなかから、小学生向けに学びの入り口として比較的やさしい内容のものを「これも学習マンガだ!」プロジェクト事務局長の山内康裕さんにセレクトしていただきました。編集部セレクトのおすすめ漫画も加えて紹介します。
「これも学習マンガだ!」プロジェクトとは?
日本財団主催で2015年に始まったプロジェクト。学びにつながるマンガを選出、発表し、作品を国内外の読者に届けることを目的に活動する。漫画家の里中満智子氏が代表を務めるほか、堀江貴文氏などマンガ好きで有名な各氏も選書委員として参加。
https://gakushumanga.jp/concept/
学習マンガで勉強するメリットとは?
これも学習マンガだ!プロジェクト委員長の里中満智子先生によれば、「エンターテインメントとして読み親しんでいるうちに、知らず知らず知識が広がり、多方面への理解が深まるのがマンガの良さ」とのこと。「一見すると学習マンガとは思えないストーリーマンガでも、日本には学習すべき知恵や知識がぎっしり詰まった秀作がたくさんあるんです」
分野別おすすめマンガ
学びたい分野別に、小学生にオススメの漫画とそのポイントをご紹介。もちろん、小学生だけでなく大人も楽しめる名作揃いなので、親子で読んで会話のきっかけに。
【理・数】が学べる学習マンガベスト5
“石化”した人類を救えるか!? ドキドキのストーリー
「Dr.STONE」稲垣理一郎、Boichi/集英社 全26巻(完結)
高校生の大木大樹は、地球上の全人類が一斉に石化するという怪現象に見舞われる。なんとか石化から復活した大樹だが、世界はいつの間にか3700年が経過しており、人類も滅んでいた。奇跡の復活を果たした友人とともに全人類を救うことを誓い、科学の力で闘っていくファンタジー。楽しみながら科学知識や原理を学べる。
<ここがオススメ>
「この漫画を読んで『面白いな』と思ったら、科学や実験に興味がある証拠かも。授業では苦手かもしれないと思っている子も、好きなことに気づくきっかけになるかもしれません。物事の原理を解明することや新しいものを実験して作っていく面白さが描かれています」(山内さん)
数学のおもしろさに、大人も出会い直せる
「はじめアルゴリズム」三原和人/講談社 全10巻(完結)
奇跡的な出会いをした元天才数学者の老人と、小学5年生の少年。少年の数学の素質に気づいた老人は小さな島から天才少年を連れ出し、自らの弟子として育てることを決意。老人と少年の交流の様子、成長していく姿が描かれている。作中の数式はすべて三澤大太郎氏(京都大学理学系研究科 数学・数理解析専攻修了)が監修。
<ここがオススメ>
「算数や数字ってなんとなく苦手かも、と思っているお子さんは少なくないかもしれません。でもこの作品を読めば、数字の持つ可能性やその奥深さが感じられ、数への苦手意識をなくせるかも」(山内さん)
汗と泥まみれ、青春を酪農に捧げる若者の物語
「銀の匙 Silver Spoon」荒川弘/小学館 全15巻(完結)
寮があるという理由で大蝦夷農業高校に入学した酪農科学科三年生の八軒勇吾。悪戦苦闘の日々を送るなか、進路を考える時期になった八軒は思い切って起業することを決意。読めば酪農について理解が深まり、命が食卓に運ばれるまでを知ることができる。累計1700万部を突破した、汗と涙と泥まみれの酪農青春グラフィティ。
<ここがオススメ>
「動物や家畜を通じて、身近な生命や死を感じられる作品です。今食べているものがどういうふうに食卓まで来るのかを知り、命をいただくとはどんなことか考えるきっかけにも。生命が循環して生態系が築かれていくことを、物語を通じて感じ取れると思います」(山内さん)
数学を愛する学生たちのほのぼのキャンパスライフ
「数字であそぼ。」絹田村子/小学館 最新刊9巻(連載中)
脅威の記憶力を持ち、小学生の頃から神童と呼ばれてきた主人公、横辺建己。名門、吉田大学理学部でノーベル賞を目指すと思いきや、初日の数学の講義で「わからないことがわからない…」と人生初の挫折を経験する。作品に登場する数式は理解できなくても、数学の世界に親しみを持てる作品。
<ここがオススメ>
「数学は積み重ねの学問。作中では、公式を丸暗記することで勉強を乗り切ってきた建己が小学生向けの算数の本を手にとるシーンも登場します。覚えるだけの算数がつまらないと思っているお子さまにも、数字に苦手意識を持っているお子さまにも、算数・数学の楽しさを知るきっかけになるかもしれません。京都で暮らす、数学が大好きで不器用な学生たちの暮らしぶりもコミカルで魅力的」(編集部)
細胞擬人化漫画で人体のしくみを知る
「はたらく細胞」絹田村子/小学館 全6巻(完結)
人間の体内に、およそ37兆個ある細胞。それぞれの働きを、擬人化することでわかりやすく伝えてくれる本作。アニメや絵本など、シリーズ作品も多数展開しています。
<ここがオススメ>
「体の隅々に血液を運んでくれる赤血球と、細菌やウイルスを駆除してくれる白血球を中心に、マクロファージやNK細胞(ナチュラルキラー細胞)など、楽しみながら体の知識が身につきます。いつもがんばっているキャラクターを身近に感じることで、体を大切にしようと思えるメリットも」(編集部)
【歴史】が学べる学習マンガベスト4
歴史マンガの金字塔は、歴史好きの入り口に
「お〜い!竜馬」武田鉄矢、小山ゆう/小学館 全12巻(新装版・完結)
土佐の郷士の末っ子として生まれた坂本竜馬は、塾や道場でも落ちこぼれていたが、強くなろうと決心し、いつしか町の人気者に成長。そして日本のために何かしたいという熱い思いを抱き…。幕末の英雄・坂本龍馬の生涯を、虚実を交えながら幼少時から描いた物語。150年前の日本と世界に思いを馳せられる。
<ここがオススメ>
「小学生にも有名な坂本龍馬。偉人とされる坂本龍馬は、どんなふうに育ったのか。読者と同じ子供時代からの物語を読むことで、共感しながら歴史を学ぶことができます。歴史の人物に興味を持つきっかけになるでしょう」(山内さん)
偉人たちもギャグまみれで歴史を身近に
「増田こうすけ劇場 ギャグ漫画日和」増田こうすけ/集英社 全16巻(完結)
聖徳太子に始まりうさみちゃんなど、歴史上の人物からケダモノまで多種多様なキャラクターによって展開される、基本的に1話完結のギャグ漫画。題材は様々だが、歴史上の人物や出来事が頻繁に登場する。シュールなギャグで笑いを誘う。史実には沿わないが、史実には沿わないが、名前を覚えたり興味を持つきっかけに。
<ここがオススメ>
「社会(歴史)の授業が苦手な子も、まずはギャグ漫画から登場人物を知ってみてもいいかもしれません。マンガを楽しんでいるうちに、いつの間にか教科書に登場する偉人が身近になるはず」(山内さん)
古代ローマの世界が、銭湯を通じて身近に
「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ/KADOKAWA 全6巻(完結)
古代ローマの浴場設計技師、ルシウスは、ふとしたきっかけで現代日本の銭湯にタイムスリップ。日本のお風呂文化に触れたルシウスは大きなカルチャーショックを受ける。インスピレーションを得た彼は、斬新な風呂を開発しローマで名声を勝ち取っていく…。現代の西欧社会に今なお影響を及ぼす古代ローマについて楽しく知れる。
<ここがオススメ>
「古代ローマというと大昔に感じますが、現代の「お風呂」とのつながりから、時代も国も違う古代ローマに親しみを感じられる作品です。現代と比較しながら、古代ローマの生活習慣を覗き見ることができます」(山内さん)
ドラマ化・映画化された話題作
「信長協奏曲」石井あゆみ/小学館 最新刊22巻(連載中)
タイムスリップした高校生が、戦国武将・織田信長として生きる話題作。勉強が苦手なふつうの高校生だった主人公・サブローは、偶然や周りに助けられ、飄々としながら自らも成長。戦乱の世を駆け抜けていく。
<ここがオススメ>
「高校生が戦国武将に成り代わる破天荒なストーリー。主人公が現代の視点もいかして楽市楽座・兵農分離など改革を行う様は見どころです。元々人気が高い織田信長ですが、時代背景などの理解も自然に深まるのではないでしょうか」(編集部)
【国語】が学べる学習マンガベスト3
毎日の音読の宿題が楽しくなるかも
「花もて語れ」片山ユキヲ、東百道/小学館 全13巻(完結)
幼い頃に両親を亡くして地方の叔母に引き取られた、不器用で人見知りな佐倉ハナは、朗読と出会い、才能を見だされた。一度遠ざかりながらも、社会人になってから再び朗読と向き合うことになる。人々とともに朗読に打ち込む青春を描いたヒューマンドラマ。言葉の奥深さに触れ、音読の授業や宿題が楽しくなりそう。
<ここがオススメ>
「声を出して言葉や文章を読む面白さや楽しみが伝わってきます。声で表現することによって、感情が伝わり、言葉の奥深さをより一層味わえます」(山内さん)
本屋さんが身近に、そして本好きに!?
「本屋の森のあかり」磯谷友紀/講談社 全12巻(完結)
本が大好きな26歳の書店員、あかりは、田舎の支店から東京の本店へと異動になる。さまざまな嗜好と事情を持つ客や店員たちと関わりながら、あかりは成長していく。書店員の仕事も垣間見ることができる。第5巻後半からさらに異動した名古屋支店編、そして8巻からはソウル支店編に。本の魅力を発見でき、お仕事マンガとしても読める一冊。
<ここがオススメ>
「作品を読むと、リアルな本屋さんに行きたくなるマンガ。作中にも出てくるように、「4年生だからこれを読まなきゃいけない」といった縛りなく、文学を楽しんでみるきっかけに」(山内さん)
普段読んでいる本は、どうやって生まれるの?
「響~小説家になる方法~」柳本光晴/小学館 全13巻(完結)
とある文芸編集部の新人賞宛に送り付けられた、直筆の投稿原稿。応募条件を満たさずゴミ箱に捨てられたそれを、編集部員の花井が偶然見つける。封を開けるとこれまで出会ったことのない革新的な内容だった。破天荒な響はあらゆるところで騒動を起こすが、花井に導かれて文壇デビューを果たす。本や小説の世界への興味の入り口に。
<ここがオススメ>
「主人公の女子高生・響の破天荒さを楽しみながら、文学や文学界とはどういうものなのかを覗けるマンガ。小説家になるためにはどういう道があるのか、どうしたらなれるのかのヒントが描かれています」(山内さん)
【芸術】が学べる学習マンガベスト3
百人一首の世界観にも触れられる
「ちはやふる」末次由紀/講談社 全46巻 (連載中)
競技かるたを題材に、主人公の綾瀬千早が成長していくさまを描いた少女漫画。小学校6年生の千早は、小倉百人一首競技の得意な転校生の新と出会う。新の特技に衝撃を受けた千早だが、反対に新も、千早のずば抜けたかるたの才能に釘付けに。一途な想いが交差する青春ストーリーは、2016年に実写化も。句の世界観もビジュアルとして楽しめる。
<ここがオススメ>
「競技かるたを通じて「百人一首」の生まれた文化を学べます。日本が誇る伝統文化の魅力と、競技としての熱さを楽しめる作品です」(山内さん)
クラシックが、音楽がもっと身近に
「のだめカンタービレ」二ノ宮知子/講談社 全25巻(完結)
自由奔放なピアニスト・野田恵、完璧主義者の指揮者・千秋真一の恋模様と、クラシック音楽への情熱を描く音楽コメディ。お互いの才能に惹かれあいながら切磋琢磨し、世界に出るために成長していく。指揮者の役割や苦悩、各楽器の特色などもわかりやすく描かれ、クラシック音楽の世界が身近に感じられる。
<ここがオススメ>
「クラシック音楽は難しいものではなく、身近に気軽に楽しめるものだと気づかせてくれる作品。オーケストラにはどんな楽器が使われていて、どんな音が一緒になって一つの音楽を作り上げているのか、チームで演奏する楽しさが伝わってきます」(山内さん)
碁盤から生まれるドラマに釘付け
「ヒカルの碁」小畑健、ほったゆみ/集英社 全23巻(完結)
祖父の蔵を覗いていた進藤ヒカルは、蔵の中にあった囲碁盤に宿っていた幽霊棋士の藤原佐為に取り憑かれてしまう。自身も囲碁の魅力に目覚め、才能を開花させていくヒカルは、藤原佐為の導きのもと成長し、若手プロ棋士となり活躍する。一見地味な囲碁の世界が臨場感たっぷりに描かれる。
<ここがオススメ>
「囲碁は平安時代という昔から長い時間をかけて歴史が紡がれてきて、今でも新たな戦術が生まれてきています。一対一で相手の手を読み合う面白さ、その魅力がつまっています」(山内さん)
【多様性】が学べる学習マンガベスト3
想いを伝えることの大切さを学べる
「聲の形」大今良時/講談社 全7巻(完結)
小学生の石田将也は、退屈しのぎに転校生で耳の聞こえない西宮硝子をいじめていた。高校生になり、贖罪のために硝子と再会した将也は、小学校時代のことを心から悔いて、彼女のために行動していくようになる。人の声、自分の声に耳を傾けることの難しさと尊さを伝える。
<ここがオススメ>
「環境が変われば「いじめっ子」「いじめられっ子」の立場も変わる。どうしていじめが起こるのか、何が問題なのかを考えられる作品。読めば友達に優しくなれるマンガ」(山内さん)
両親が揃う家庭が“普通”ではもうない世の中で
「すみれファンファーレ」松島直子/小学館 全6巻(完結)
川畑菫は、好奇心旺盛で素直な性格の小学4年生の女の子。両親が離婚しており、料理人をしている36歳の母と2人暮らし。大好きな父はすでに再婚して地方に住んでいたり、クラスメイトの父がアルコール依存症で悩んでいるなど、さまざまな家庭の姿がさりげなく描かれる。ほっこりしたストーリーの中に、家族について現代社会が抱える問題についても考えさせられる。
<ここがオススメ>
「どんな事情があったとしても、子供は無理に背伸びして大人にならなくていい。子供のうちは子供らしく甘えていていいという背中を押してくれます」(山内さん)
普通って、なんだろう?
「ファンタジウム」杉本亜未/講談社 全9巻(完結)
マジシャンを祖父に持つ北条英明は、難読症を患う長見良とひょんなことから出会う。祖父が才能のある良に未来を託していたことを悟った秀明は、彼とともにマジシャンとして世界を目指す。普通とは何か、そして人との関わりが広げる可能性についても提示する。
<ここがオススメ>
「読み書き障害を持つ主人公の男の子はマジックの天才。みんなと同じようにできないことがあっても、無理をして合わせる必要はないと教えてくれます。得意なことを伸ばすことで、社会のなかで自分の居場所を見つけることはできるというメッセージが込められています」(山内さん)
【社会のしくみ】が学べる学習マンガベスト3
思わず、街の交番を訪ねてみたくなる!?
「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」泰山子/講談社 全16巻(連載中)
公務員の安定収入を求めて警察官になった女性警官・川合と、パワハラで交番へと飛ばされてきた元刑事部のエース・女性警官の藤部長の日常を描いたコメディ。川合は藤部長のもと、警察官の仕事も悪くないと思い始めていく。交番に勤める女子あるあるやぼやきがふんだんに盛り込まれ、等身大の警察官の日常を知ることができる。
<ここがオススメ>
「実際に警察官として働いていた方が描いた作品です。交番にいる警察官って実際にどんなことをしているのか、どんな人たちがいるのかを知ることができます」(山内さん)
東日本大震災を知らない子供達に
「あの日からのマンガ」しりあがり寿/KADOKAWA 第1巻(完結)
東日本大震災から4ヶ月の間にしりあがり寿が発表した漫画をまとめたオムニバス作品。舞台は大震災から50年が経った日本。石油はついに地球からなくなり、エネルギーシフトが進んでいた。恐怖を感じ、戸惑い過ごしたあの日々を過ごした大人も、あの時の気持ちを忘れないためにぜひ読みたい一冊。
<ここがオススメ>
「2011年3月に起きた東日本大震災は、小学生の皆さんにとって記憶にない出来事。その震災が起こっているときに、何が起こっているのかわからないという不安が描かれた作品です。震災を肌で感じる作品として是非読んでください」(山内さん)
悪いことをしたら入る刑務所ってどんなとこ?
「刑務所の中」花輪和一/講談社
逮捕された経験を持つ作者が実際に刑務所で体験した3年2ヶ月の日記。自身をモデルとしたキャラクターが、インパクトの強い他の受刑者たちと交流しつつ、自由を制限された生活を送る様子は、実際に収監された人からもリアルとのクチコミが多数寄せられている。拘置所や刑務所の日々を、時にユーモアを交えながら緻密に描き切る。
<ここがオススメ>
「刑務所という言葉やどんな場所なのかの何となくのイメージはあっても、実際にどんなところなのか、どんな生活が行われているのかはわからない場所。本作は刑務所の中の日常を、作者の視点から観察して記したものです。刑務所の中の生活を知る一助になる作品です」(山内さん)
まとめ & 実践 TIPS
小学生向けのセレクトとはいっても、どれも親子一緒に楽しめる名作揃い。大人になってマンガから遠ざかっていた人も、子供と新しい世界を学ぶきっかけにしてみては?
取材・文/有馬美穂
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