中学校で当たり前の職場体験 高校普通科には課題も‐斎藤剛史‐

国立教育政策研究所の調査(外部のPDFにリンク)によると、2014(平成26)年度には公立中学校のほとんどが職場体験学習を実施している他、公立高校の約8割が民間企業などで就労体験などをするインターンシップを実施していることがわかりました。勤労観や職業意識などを育てるためのキャリア教育は、もはや当たり前の時代になったようです。ただ一方で、高校の実施率自体は高いものの、依然として一部生徒のみの参加が主流であるといった課題も指摘されています。

公立中学校で職場体験学習を実施しているのは98.4%で、実施学年は「2年生」が86.5%を占めている他、職場体験の日数は「3日」が39.1%、「2日」が31.3%などとなっています。ほとんどの生徒が、2年生で2・3日間程度の職場体験を実施しているといえます。都道府県・政令指定都市別に見ると、実施率が100%というところは、兵庫県、横浜市など11県12指定都市となっています。

一方、公立高校(全日制・定時制)では79.3%の学校が、就業体験などのインターンシップを実施しています。学科別に見ると、職業に関する学科が86.3%、総合学科が88.5%と8割以上に上っているのに対して、普通科は73.1%とやや低くなっています。インターンシップの日数は、職業に関する学科は「2・5日」が約8割を占めているのに対して、普通科は「1・3日」が8割以上に上るなど期間が短くなっています。
在学中に一度でもインターンシップを経験したことのある生徒の割合は35.0%で、過去最高を記録しました。ただ、学科別に見ると、職業に関する学科では69.5%なのに対して、普通科は21.5%にとどまっています。公立高校の約8割がインターンシップを実施しているといっても、実はそのほとんどは職業に関する学科や総合学科の生徒であり、普通科の生徒のインターンシップ実施は実際にはそんなに多くないというのが実情のようです。

高校を卒業してから大学などに進学するにしても、いずれは就職して社会に出なければなりません。その際、しっかりした勤労観や職業意識などを持っているかどうかが問われることになります。そのためにも高校でのインターンシップなどがより重要になってくるわけですが、依然として普通科の生徒の実施率が低いことが大きな課題といえます。
また、中学生のほとんどが職場体験学習などをしているにもかかわらず、高校になるとそれが途切れてしまうということになりかねません。現在の大学生の就職活動などの事情を考えれば、普通科の生徒こそ、高校のうちにインターンシップなどを経験して、勤労観や職業意識を身に付けることが必要だといえるのではないでしょうか。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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