睡眠不足の子は自己肯定感が低い 睡眠と子どもの心身との不思議な関係

文部科学省の検討委員会が、睡眠が子どもの心身の健康や学力に大きく関わっていると指摘したことは以前の記事でお伝えしました。それに続いて同省は、睡眠と心身の健康に関する初の実態調査を行いました。その結果によると、寝不足傾向の子どもは「自分が好きである」という自己肯定感が低いことがわかりました。睡眠の重要性が統計的にも裏付けられたといえるでしょう。

調査は昨年11月、小学5年生~高校3年生の子どもたちを対象に全国の公立学校から800校を抽出して実施し、771校の合計2万3,139人の子どもたちから回答を得ました。就寝時間を見ると、小学生の85.4%が午後11時前に就寝しているのに対して、中学生は42.8%、高校生は16.4%と学校段階が上がるにつれて就寝する時間が遅くなっています。特に中学生の22.0%、高校生の47.0%が午前0時以降に就寝しています。このため、睡眠が「十分ではない」と感じている子どもの割合は、小学生が14.9%に対して、中学生は24.8%と4人に1人、高校生は31.5%で3人に1人となっています。

就寝時間と自己肯定感の関係を見ると、小学生で「自分のことが好きだ」という者の割合は、就寝時間が「午後9時前」が23.2%、「午後9~10時前」が18.6%、「午後10~11時前」が15.2%、「午後11~午前0時前」が9.8%、「午前0~1時前」が10.2%など。また中学生も「午後9時前」が17.8%、「午後9~10時前」が13.2%、「午後10~11時前」が10.0%、「午後11~午前0時前」が8.6%、「午前0~1時前」が7.9%などでした。
さらに、「なんでもないのにイライラする」ことが「よくある」という子どもの割合も、小学生の場合、就寝時間が「午後9時前」が8.9%、「午後9~10時前」6.6%、「午後10~11時前」が8.0%、「午後11~午前0時前」が13.5%、「午前0~1時前」が20.2%、中学生も「午後9~10時前」が9.3%、「午後10~11時前」が8.4%、「午後11~午前0時前」が10.1%、「午前0~1時前」が16.3%などとなっています。小中学生に限れば、自己肯定感の高さや精神的安定などは睡眠時間と密接な関係があるといえそうです。

一方、平日と休日で起きる時間が2時間以上ずれることが「よくある」という者のうち、学校で午前中の授業が眠くて仕方ないという子どもの割合は、小学生が24.2%、中学生が34.1%、高校生が47.5%でした。寝る時間が2時間以上ずれる場合も同じ傾向を示しています。平日と休日の起床・就寝がずれている子どもは、午前中の授業に差し支えが出る可能性が高いといえます。
また、学校からの帰宅後に30分以上の仮眠を取るという子どもは、「ときどきある」も含めると小学生が20.9%、中学生が38.4%、高校生が44.5%いました。これに対して、午前中に調子が悪くなることが「よくある」という子どもの割合は、仮眠をよく取る小学生が23.9%、まったく取らない小学生が9.6%、同じく中学生が各24.5%、13.3%、高校生が各30.5%、15.5%で、帰宅後の仮眠も問題があるようです。
十分な睡眠と規則正しい生活が、子どもの心身の健康に大きく関係していることは間違いないでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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