言葉と若者 ~学校現場から見える言葉に関する危機感~
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高校現場では、近年、高校生の言葉に対する意識が低下しており、これまでは当たり前だと思っていたことも通じなくなっているという意識があります。実際アンケートを見ると、言葉への理解度が低下しつつあることもわかります。
教師は悩んでいる
言葉は、世界を知り、自分を表現するための土台となるもの。そして、高校や大学では学ぶ内容を身につけるために不可欠なものです。しかし現在、教師側からは言葉に関する意識が低いのではないか、そんな声が寄せられるようになっています。
高校教師の声
(国語教師)
感想文を書かせると、「やばい」「えらい」「すごい」「感動した」といった、簡単な表現しか使えない生徒が多くなった。
(英語教師)
英作文では、与えられた日本語を直訳するのではなく、いったん英語にしやすい日本語に置き換えるよう指導している。だが、その日本語が出てこない。
(数学教師)
記述式の問題では、解答の過程を論理的に示す必要がある。その際に用いる、「ゆえに」「すなわち」といった言葉の意味がわからないという生徒がおり、答案指導以前に語彙指導をしなくてはならない。
(理科教師)
近年、高校入試での理科の成績がかんばしくない。問題文が長くなり、題意を正確に理解することができずに、点数が取れなかった受験生が多いのではないかと思った。
(地歴・公民教師)
社会への関心を高めるために、新聞を使って生徒に働きかけているが、「需要」や「供給」といった新聞によく出てくる言葉の意味を知らない生徒が多くなってきているため、ニュースの説明まで至らず困っている。
教科内容を学ぶ以前につまずく生徒たち
~その話、実は伝わっていないかも!?~
ベネッセコーポレーションは2012年1月に、高校生141人、大学生300人、合計441を人対象に「言葉」に関するアンケートを取りました。そこでの数値を紹介します。
「ニュースを見て言葉の意味がわからないことがたびたびある」…よく当てはまる50%
生徒の半数が、ニュースの言葉の難しさを感じています。世の中の動きをつかむには、それを伝える言葉を知っておく必要があります。語彙数は社会への視野の広さにつながります。
「目上の人が使っている言葉の意味がわからないことがたびたびある」…よく+やや当てはまる34%
大人には一般的な言い回しのつもりでも、生徒の3人に1人が「わからない」と回答。心を込めて話しても、実は伝わってない、ということがあるかもしれません。
「語学力がなく学習が妨げられたと感じたことがある」…よく+やや当てはまる60%
問題文や解説の言葉の意味がわからず、学習がストップしたことがある生徒が半数以上います。教科の内容を理解しているかどうか以前の問題があります。
高校生・大学生が「意味がわからない」と回答した言葉例
□あわよくば/□自負/□割愛/□天賦/□乖離/□未曾有/□殊勝/□パイオニア/□斬新/□あからさま/□おもむろに/□灯台もと暗し/□親睦/□依然として/むろん/□遺憾/□抽象的/□便宜
21世紀を生き抜く力の土台は言葉
国の教育に関する調査・研究・提案をまとめている国立教育政策研究所では、21世紀を生き抜く力として「21世紀型能力」と名づけ、その基礎力の1つとして「言語スキル」を挙げています。これからの社会を生き抜くためには、「ことばを、チカラに」変えていく必要があります。
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