「読み聞かせ」はなぜ有効? 専門家が語る未来のチカラへのつなげ方
幼児教育から大学教育までを変えようという教育改革論議が盛んだ。思考力やグローバル化に対応する力など、現代の子どもたちはさまざまな能力を身に付ける必要があるが、実は、その基礎は幼少期の読み聞かせにあるという。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が解説する。
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ベネッセコーポレーションが2014年11月から開始した「まなびmeeting」。その一環として全国6大都市などで行う「教育シンポジウム」の第2回が、「読み聞かせ」をテーマに大阪市で開催されました。ベネッセ教育総合研究所の高岡純子・次世代育成研究室長は、小学校以降の学力に影響する「社会情緒的スキル」は、子どもの意欲を尊重したり、自分で考えられるように保護者が促したりすることで伸びると説明。それには絵本をとおして、豊かなコミュニケーションを育むのが有効だと話しました。
社会情緒的スキルとは、協調性・がんばる心・好奇心・自己制御力など、「世界で注目されている」力。高大接続(高校・大学教育と大学入試の一体改革)に関する、中央教育審議会の答申で打ち出された「主体性・多様性・協働性」の育成の基礎となるようです。
教育評論家の親野智可等さんも、幼児期に絵本に親しんだ子どもは小学1年生の段階でたくさん言葉を知っていると指摘。物語を理解しているため人の気持ちもわかり、「人間関係力」にも秀でていると話しました。子どもを本好きにするカギは親。子どもは、保護者の温もりと愛情に包まれる読み聞かせによって「読書は楽しい」と感じ、本が好きになるのだそうです。
高岡室長は、年齢に合った読み聞かせのポイントとして
(1)0~2歳は親子で絵を楽しむ
(2)3歳からは言葉も楽しむ
(3)5歳からはストーリーを味わう
を挙げました。将来、大学教育などで身に付ける力の源が読み聞かせにあるとすれば、すばらしいことではないでしょうか。
出典:読み聞かせが学校・社会で活躍できるチカラをつくる!? -ベネッセ教育情報サイト