利用家庭の多い「奨学金制度」 選び方のポイントは?

アンケート期間:2012/12/12~2012/12/18
回答者数:732人(うち奨学金受給、受給予定のかた 134人)
アンケート対象:本サイトメンバー 高校3年生~大学生のお子さまを持つ保護者のかた(および奨学金を受給、受給予定のかた)
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある

今回のテーマは、奨学金制度。大学受験予定の高校生の保護者と現在大学生の保護者に、奨学金に対する考え方や利用予定を、また奨学金制度を利用中のかたや利用予定のかたに、奨学金制度の詳細について伺いました。



利用家庭の多い「奨学金制度」 選び方のポイントは?


大学進学家庭の約4割が、奨学金制度を利用!

まずお子さまの大学進学にあたり、奨学金の利用(利用予定)について伺いました。

【図1 お子さまの大学進学では、奨学金を利用していますか?(予定を含む)】

図1 お子さまの大学進学では、奨学金を利用していますか?(予定を含む)


お子さまの大学進学にあたり、奨学金の利用予定を高校生の保護者に伺ったところ、「利用予定」は23.4%(図1参照)、「利用検討中」は29.4%。また大学生の保護者を見ると、奨学金を「利用」が40.3%となりました。



大学の学費を支払うべきなのは「保護者」の声多し!

続いて子どもの大学の学費についての考え方を伺いました。

【図2 大学の学費は、保護者のかたとお子さま、どちらが支払うべきだと思いますか?】

図2 大学の学費は、保護者のかたとお子さま、どちらが支払うべきだと思いますか?


最も多かったのは、子どもの大学の学費は「主に保護者」が支払うべきであるという保護者で、54.9%。「主に保護者だが、子ども自身も」支払うべきであるという保護者を合わせると、81.8%に上ります(図2参照)。保護者が支払うべきだと思う理由を見てみましょう。

●学生の本分は勉強することにあると思うので、学費は全額を保護者が負担したほうがよいと、わたしは考えています。うちは、厳しい場合は、奨学金を利用するなど保護者の負担を減らす方法を探し、それも難しければ、子どもにアルバイトをして学費を出してもらうことになると思います(「主に保護者が支払う」)
●保護者が全額を負担してもよいとは思うものの、大学に通う意義やお金のありがたみを子どもが実感するためには、多少は子ども自身に負担させたほうがよいと考えています(「主に保護者だが、子ども自身も支払う」)
など
一方、大学の学費は「子ども自身」が支払うべきであるという保護者(「主に子ども自身だが、保護者も」+「子ども自身で」)も、12.7%。そう思う理由として、次のような声が寄せられています。

●自分で学費を支払うことで、学問に対する心構えができてくると思うため(「主に子ども自身だが、保護者も支払うべき」)
●高校を卒業して就職するという道もあったのに、そうではなく、自分が望んで進学したのだから(「子ども自身が支払うべき」)
など
では、仮に費用が足りなかった場合、保護者は子どもの大学進学をどう考えるでしょうか。また、「子どもの進学資金」「現在の生活費」「自身の老後など将来の蓄え」のうち、どれを最も優先すべきだと思うかについても伺いました。


【図3 仮に進学費用が足りなかった場合、お子さまの大学進学をどう考えますか?】
※大学受験予定の高校生の保護者と、現在大学生の保護者に伺っています
図3 仮に進学費用が足りなかった場合、お子さまの大学進学をどう考えますか?


進学費用が足りなかったとしたら、「お金を借りてでも、志望大に進ませる」という保護者が56.1%と、最も高い割合を占めました。一方、「お金は借りず、今あるお金で進める大学に変更する」という保護者も21.9%いらっしゃいました(図3参照)。
また、「子どもの進学資金」「現在の生活費」「自身の老後など将来の蓄え」のうち、最も優先すべきものとしては、「子どもの進学資金」を挙げる保護者が54.2%でトップ。「現在の生活費」は38%、「自身の老後など将来の蓄え」は7.8%でした。それぞれを最も優先する理由として、次のような声が寄せられています。

◎「子どもの進学資金」を最も優先する理由
●お金は、子どもの未来のために使うべきだと思うから
●資金不足が子どもの将来に影響するようなことは避けたいから。我が家の資金管理は、子どもの進学費用を第一に考えています
●進学はチャンスが限られているため、子どもには全力を尽くしてほしいし、わたしたちも子どもの志望実現を全力でサポートしたいと思います。金銭的な面で子どもの志望を左右したくはありません
など
◎「現在の生活費」を最も優先する理由
●現在、勉強するために必要な生活費がなければ、将来の進学もおぼつかないと考えるから
●日々の生活を犠牲にしてまで進学する意味はないと思うから。将来は、今があってこそのもの。わたしは、現在をどう過ごすかが一番大事なことだと考えています
など
◎「自身の老後など将来の蓄え」を最も優先する理由
●自分の老後のための資金は、自分で蓄えるべきだと思うから。一方、進学資金は、本来、子どもが工面すべきだと、わたしは考えています
●年金制度が信用できなくなった今、老後のための資金は、親が自分でつくっておかないと、子どもに負担してもらうことになりかねないと思います。子どもに迷惑をかけたくないので、最低限必要な資金は蓄えておきたいと考えています
など



「貸与型(有利子)」奨学金を利用中(利用予定)のご家庭が、約半数

ここからの質問には、奨学金を現在利用している、あるいは、将来利用することがほぼ決まっているという保護者にご回答いただきました。
まず、利用中(利用予定)の奨学金の1年間に受け取る金額についてお聞きしています。

【図4 現在利用している(将来利用する予定の)奨学金の総額はいくらですか? ※「月額×12か月×予定年数」】

図4 現在利用している(将来利用する予定の)奨学金の総額はいくらですか? ※「月額×12か月×予定年数」


利用中(利用予定の)の奨学金の総額は、「200万円~300万円未満」という保護者の割合が最も高く、30.5%。そして、「100万円~200万円未満」が22.4%、「100万円未満」が20.7%で続いています(図4参照)。

続いて、利用中(利用予定)の奨学金制度の種類とタイプについて伺いました。

【図5 利用している(利用を検討している)奨学金制度は、どのタイプのものですか?】

図5 利用している(利用を検討している)奨学金制度は、どのタイプのものですか?


奨学金制度の種類では、「日本学生支援機構[JASSO](旧日本育英会)」の奨学金制度」が70%を超え、ダントツ。次に多い「学校の奨学金制度」は約10%ですから、60ポイント以上の差があります。
奨学金制度のタイプでは、保護者の回答は、返還義務のある貸与型と、返還義務のない給付型に大きく分かれ、貸与型が90%近くを占めています(図5参照)。貸与型は、さらに利子がつくタイプとつかないタイプに分かれ、「利用中(利用する予定)」であるという保護者は、有利子タイプのほうが多くなりました。
有利子・貸与型、無利子・貸与型、給付型それぞれのタイプに決めた(決めようとしている)理由を、見てみましょう。

◎有利子・貸与型
●有利子・貸与型と無利子・貸与型の両方を申し込んでいましたが、選考で落ちてしまい、有利子に決まりました
●子どもが高校3年生のときに高校を通して申し込んだのですが、世帯所得などとの兼ね合いから、うちが利用できたのは有利子の貸与型のみでした
など
◎無利子・貸与型
●給付型は募集枠が少なく狭き門だと感じたため、比較的募集枠が大きく、受け取り対象に選ばれる可能性の高かった無利子の貸与型に決めました
など
◎給付型
●返還義務がない給付型を利用したいと、以前から考えていました。そこで、志望大を選ぶときに、給付型奨学金制度が充実しているかどうかもチェックポイントの一つにしました
など



奨学金制度、利用者が感じるメリット・デメリット!?

保護者が感じる、利用中(利用予定)の奨学金制度のメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。
無利子・貸与型のメリットとしては「利子がないこと」、給付型は「返還義務がないこと」を挙げる保護者が大半。では、有利子・貸与型ではどうでしょうか?

◎有利子・貸与型
●有利子とはいえ、大学在学中は利子がつかないこと。そこで、我が家では「利子が発生しないように、卒業前に全額返還しよう」と話し合っています
●卒業後、子どもが一定以下の年収・所得だった場合に、その旨を申請すれば、一定期間、返還が猶予される制度もあること
※無利子・貸与型にもあてはまる場合があります。
など
続いて、貸与型について有利子・無利子含め、デメリットを見てみましょう。

◎貸与型
●複数の奨学金制度を併用できるかどうかなどが世帯年収・所得によって決まり、なかなか思うような資金繰りができないこと
●返還が長期間にわたること。場合によっては、月々の返還に圧迫されて預金ができず、結婚などのハードルが高くなることもあるような気がします
●返還回数が決められていて、変更するのが難しいこと
●利用状況や延滞している返済状況によってクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローン等が組めなくなる場合がある。世帯の所得基準審査が厳しい
●保証人が親自身ではいけないこと。親族に頼むにしても60歳までと制限があるので、途中で保証人を変えるか、保証機関を利用しなければならないこと
など
貸与型のなかでも、有利子タイプではこのような声も。

◎有利子・貸与型
●最後の奨学金を受け取ったときに3%を上限として利率が決まるのですが、利率によって月々の返還額が変わってくるので、しっかり返還できる額になるかどうかが心配です
など
次に、給付型の場合はどうでしょうか。

◎給付型
●成績によって給付資格がなくなってしまうので、精神的にハードな面があると思います。娘は「給付されなくなるわけにはいかない」と、何かに追われるように勉強に励んでいます
など
気を付けていただきたいのは、奨学金制度はさまざまなタイプがあり、給付・返還の仕組みは実に多様だという点です。ここでご紹介した声は、あくまでも参考としてください。



返還義務や滞納リスク、「うちの子は理解している」という保護者が8割以上!

利子の有無を問わず、貸与型の奨学金は返還する必要があります。所定の返還をおこたれば、延滞金が生じるなどのリスクも伴います。返還義務や滞納リスクについて、お子さまはどの程度理解しているでしょうか。保護者から見た印象を伺いました。

【図6 奨学金の返済義務や滞納リスクについて、お子さまは理解していると思いますか?】

図6 奨学金の返済義務や滞納リスクについて、お子さまは理解していると思いますか?


奨学金の返還義務や滞納リスクについて、子どもは「理解しているようだ」という保護者が8割を超えました(図6参照)。
では保護者は、奨学金の返還について不安があるでしょうか。結果は、不安が「ある」約53%、不安は「ない」約45%と、ほぼ半々に分かれています。それぞれの保護者がそう感じる理由を見てみましょう。

◎返還に不安があるかた
●どの奨学金制度を利用するかは、わたしたち保護者が主導して決めてしまったため、子どもが制度の仕組みを十分に理解しているかどうかが気がかりです。そのため、保護者ではなく、子どもに返還義務が生じることなどを、近々、じっくり説明しようと思っています
●子どもは、返還義務についてはしっかり理解しているようです。しかし、保護者としては、不景気で就職難が続いているため、子どもがしっかり返還できるような収入を得られるかどうかが心配になります
など
◎奨学金の返還に不安はないというかた
●息子は自分が返還義務を負っていることは理解しているようですし、「早く社会に出てバリバリ働きたい」と就職に対する情熱もあるため
●子どもの卒業時に満期になる学資保険に加入しており、保険金を奨学金の返還にあてるつもりだから
●うちの子は責任感が強いから、しっかり返還してくれると信じています。ただ、万が一、卒業しても就職できなかったり、就職しても月々の返還に差し支えるような収入だったりした場合も考えて、わたしが返還する覚悟と準備はしています。いずれにしても、不安はありません
など



利用中(利用予定)の制度を「すすめたい」が約8割! その理由とは!?

では保護者は、今後、奨学金制度の利用を考えているという保護者に、現在ご自分の家庭で利用中(利用予定)の制度をすすめたいと思っているでしょうか。

【図7 これから奨学金制度を検討中のかたに、この制度をおすすめしたいと思いますか?】

図7 これから奨学金制度を検討中のかたに、この制度をおすすめしたいと思いますか?


結果は、自分が利用中(利用予定)の奨学金制度を、ほかの保護者にも「すすめたい」という保護者が8割を超えました(図7参照)。
すすめたい理由として、次のような声が寄せられています。

●返還義務がある以上、借金をしていることと大差がないため、利用せずに済むのなら、利用しないほうがよいと思います。そうは言っていられない事情があるときは、将来、自分で返さなければならないことをしっかりお子さんに理解させ、返還期間と月々の返還額をじっくり検討したうえで、利用しましょう(有利子・貸与型)
●無理なく返還できて、安心・安全な奨学金制度だと思うから。お子さんが「借金をしてでも勉強したい」と望むのであれば、利用を検討してあげてください!(無利子・貸与型)
●奨学金制度は、大学によってさまざま。特に私立大には給付型の奨学金が充実しているところも。経済的な事情であきらめる前に、志望大の奨学金制度をじっくり調べてみてはいかがでしょうか(給付型の奨学金制度)
など



奨学金制度の選び方のポイントをご紹介!

最後に、これから奨学金を利用しようと、現在検討されている保護者に向けて、選び方のポイントなどをアドバイスしていただきました。

●日本学生支援機構[JASSO]の奨学金の場合、大学に入学した4月に奨学金を受け取るためには、高3のうちに高校を通して予約の申し込みをしておく必要があります。ご注意を! (有利子・貸与型の奨学金を利用している保護者)
●利用するのに予約が必要な場合もあるので、利用をお考えのかたは早めに情報を収集しましょう! (給付型の奨学金制度を利用している保護者)
●奨学金制度には多くの種類があるので、情報収集が不可欠。保護者が調べてしまいがちですが、大学で学ぶのはお子さまですし、返還義務のある奨学金を利用する場合は、その義務もお子さまが負うことになります。お子さま自身が奨学金の種類を調べ、どれを利用するかを検討したほうが、勉強に対しても返還に対しても自覚がめばえると思います! (給付型の奨学金制度を利用している保護者)
など
奨学金制度には、日本学生支援機構のもの、大学のもの、地方自治体のものというように、さまざまな種類がありますし、返還義務や利子の有無、予約申請の要不要なども、どの奨学金制度を利用するかによって異なります。そのため、複数の制度を検討し、ご家庭やお子さまに合ったものを選ぶことが大切です。利用予定のかたは、今回のアンケートを参照のうえ、お子さまとよく話し合って早めの検討をおすすめいたします。


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