学校(校長先生)の自由裁量で使える予算、いくらだと思いますか?[Pick UP 教育データ]

2学期が始まり、皆さまのお子さまが通う学校でもさまざまな行事が行われていることと思います。去年とは違うことをやろう、子どもたちのアイデアを活かして新しいことをやろうとした場合、ある程度の費用を見込むことが必要となります。

こうした学校の活動を支える一つの要素が予算です。ご家庭でいえば家計にあたりますが、学校の予算の場合、すべて自由にやりくりできるわけではありません。今回は、学校の予算、特に校長先生の判断で自由に使うことができる予算(校長裁量予算)がどの程度あるのかをデータで紹介し、そのことをとおして、学校教育の在り方について考えてみたいと思います。

校長裁量予算があるのはわずか1割強、その半数が年間20万円以下

ベネッセ教育研究開発センターが文部科学省の委託を受けて行った「学校長の裁量・権限に関する調査」によると、校長裁量予算がある学校は、小学校と中学校をあわせて12.3%となっています(図1)。

【図1 校長裁量予算の有無(小中の合計)】
校長裁量予算の有無(小中の合計)
※割合(%)の合計は、四捨五入のため100%にならないことがあります。
出典:平成18年度文部科学省委託調査研究報告書「学校長の裁量・権限に関する調査」(2007ベネッセ教育研究開発センター)

ここで少しだけ補足をすると、公立学校は行政機関の一つですから(税金を使いますので)、年度始めに予算の各項目に使途が示されていて、一般的に、当初決められた使途以外にその予算を使用してはいけないことになっています。校長裁量予算とは、校長先生が自分の判断で自由にできる枠のことを言います。この枠があれば、年度始めは予定していなかった活動でも、現場の状況に合わせて実行しやすくなります。

次の図2は、校長裁量予算が「ある」と回答した12.3%の校長先生に対して、その上限金額を聞いたものです。半数が上限20万円以内であることがわかります。51万円以上という条件の学校もありますが、それはごくわずか(12.3%のうちの16.6%ですから全体の約2%にあたる)です。

【図2 校長裁量予算の金額(小中の合計)】
校長裁量予算の金額(小中の合計)
※割合(%)の合計は、四捨五入のため100%にならないことがあります。
出典:平成18年度文部科学省委託調査研究報告書「学校長の裁量・権限に関する調査」(2007ベネッセ教育研究開発センター)

つまり、ほとんどの学校は校長先生の裁量で使える予算はなく、ある場合でもごくわずかな金額であることになります。

同じ調査では多くの校長先生が裁量予算を必要と答えており(83.4%)、裁量予算が拡大すれば、「特色ある学校づくりが実現できる」「教員の優れた企画に対する支援ができる」「校長のリーダーシップが発揮できる」と考えていること(いずれも「そう思う」が9割近く)が報告されています。
今、各学校が創意工夫をして特色ある学校づくりを進め、学校の教育力を高めることが求められています。保護者からすれば、それぞれ異なる魅力をもった公立学校があって、そのなかから子どもにあった学校を選ぶことができれば理想でしょう。しかし、今回紹介した校長裁量予算が少ないことや、「学校の先生の残業時間はどのくらい?」の回で紹介したように教員の給与が残業時間に関係なく一律であることなど、制度の面で必ずしも追いつけていない部分があります。

一方で、裁量予算を拡大することについては、各学校の格差を広げることになると懸念する見方もあります。確かに予算に限らず、縛りを強くすることで、全国どの学校でも同じような質の教育を実現できるという面もあります。それは、これまでの日本の教育の良さでもあったように思います。各学校、各先生に、予算の執行を含めてどこまで権限をもってもらうのかによって、これからの学校教育の在り方が変わってくることでしょう。皆さまは、どのようにお考えでしょうか。

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