よく耳にする教育委員会制度とは?

責任の所在が見えにくい

○○市立△△中学校で教員が何か事件をおこした場合、都道府県(市町村ではない)の教育長が対応しているのは、こういう背景があってのことです。問題のある教師がいても、校長先生がすぐに配置転換を命じることはできません。また、個別事件に文部科学省がまったく無関係かといえば、もちろんそんなことはなく、たとえば教員免許の基準は国が設定していますから、多少の責任はあるわけです。このように役割関係が複雑ですと、何か起きたときに責任の所在が見えにくくなることがあります。現場に与えられている権限が少ないので対応が迅速にできない場合もあるでしょう。

もちろん、簡単に現場に近い各自治体や各学校に権限を渡せばよいということでもありません。たとえば、都道府県が教職員の給与費を負担することになっているのは、財政力が安定している都道府県のほうが必要な水準を確保できるだろうと考えられているからです。そうしたことを考慮しつつ見直しをしていく必要があります。実際には、現場の近いところに権限を移していく流れにあり、その場合、直接の関係者が責任を問われるようになることも忘れてはいけないでしょう。

教育再生会議では、教育委員会についても論議されるようです。何か学校で問題が発生したときにスムーズな対応がとられることと同時に、より良い教育を生み出すような制度づくりが進むことを期待したいと思います。

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