「習い事を休みたい」明らかになった理由とは。子どもの言葉にどう向き合う?
- 育児・子育て
子育ては、思いも寄らないことの連続。子どもに向き合う保護者の数だけ、多彩なストーリーがあります。誰かの経験が、別の誰かの背中をそっと押すこともあるかもしれません。
今回は、習い事に行き渋る息子への対応にまつわるまつむらさん(ペンネーム)のエピソードを、ご本人がつづったnoteからご紹介します。
※以下、ご本人承諾のうえ、投稿内容をもとにご紹介いたします。
※写真はイメージです。
「今日は行きたくない」顔を曇らせる息子
まつむらさんの息子は、柔術を習い始めて1年と少し。順調に上達して試合になればやる気いっぱいで臨んでいたものの、普段の練習への熱は徐々に薄れ「今日は行きたくない」と顔を曇らせる日が続いていました。
「基本的には、まっとうな理由がなければ、行きたくなくても行かせる。「行きたくない」という気分の問題では、休ませないことにしている」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
理由がなければ休むことを認めないまつむらさんと、行き渋る息子。毎週のように行く・行かないを巡る攻防が繰り広げられていました。
習い事を続けるか否かは、半年を目安に定期的に意思確認。本人の意思で続けると決めたものは、次の見直しの期間までやめることは認めませんでした。
明らかになった行きたくない理由
「行きたくない」の背景には、必ず理由があるものです。でも、その理由をうまく言語化することができないこともある。そう考えたまつむらさんは、何度も息子に話を聞きました。そこで見えてきた理由は次のようなものだったといいます。
● クラスの規模が大きくなったため、自分の番が回ってくるまでの待ち時間が長くてつまらない。
● 先生の指示どおりに動かない子どもが何人かいる。ちゃんとやっている自分まで一緒に怒られるのが腑に落ちない。
● 周りのレベルも上がってきて、練習がハードになってきた。
● 柔術のクラスに行くのは夕方で、すでに疲れている。
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
さまざまな理由が挙げられる中、まつむらさんは、教室側に対応をお願いできるものと、自分で自分をコントロールして対応するしかないものがあることに気付きました。
「クラスの規模が大きくなりすぎていることは、保護者の間でもなんとかしてほしいという声が上がっていた。教室側は、レベルに応じてクラスを分けたり、コーチを増やすなどして対応している。以前に比べれば、少し改善されてきているように思う。
ただ、ほかの子どもの行動や態度は、どうすることもできない。秩序を乱す人がいるとしても、その中自分がどう行動するか。あくまでも自分にフォーカスするしかない。なんてことを、息子に話したりする」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
他人の行動は変えられない。自分ではどうすることもできない不確定な他人の言動にストレスを感じるのではなく、自分で自分を上手にコントロールすることを身に付けていってほしい。そんな思いがあったからこそ、心の持ち方を繰り返しアドバイスしたといいます。
体調不良への疑念
※写真はイメージです。
それでも減らない息子の「行きたくない」。その日は、学校から元気に帰宅し、おやつを食べ、自転車に乗って遊んでいたにもかかわらず、急に行くのを嫌がったといいます。道着に着替え、いざ車に乗ろうというその時「なんだか寒い。それに疲れたみたい」と弱々しい声を上げ、体調不良を訴えました。
「さっきまで元気だったけど?おやつも食べたよね?
わたしは、いつもの「行きたくない」というネガティブな気分に覆われているんだと理解して、とりあえず息子を車に乗せた。クラスに遅れそうだったので、急いで道場まで車を走らせた」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
息子の訴えに疑念を抱かざるを得なかったまつむらさん。前週にも学校で嫌なことがあったのを理由に「行きたくない」と泣いて訴え、一度だけ休んでいいと折れていたからこそ、息子なりの必死の「行かなくていい理由探し」のようにも感じたといいます。
ところが、いざ道場に着くと、明らかに体調不良がうかがえる息子の姿がありました。後部座席でうなだれ、車を降りることもできずに「気分が悪い。おなかもちょっと痛い」と、力なく言葉を絞り出します。
「『ママの目を見て言ってごらん。本当に調子が悪いの?』
わたしは、じっと息子の目を覗きこんだ。息子はわたしを見つめ返して、コクンとうなづいた。
『わかった。じゃあ今日は帰ろう』
わたしは、来た道を引き返して家に戻った」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
家へと車を走らせながらも、自分の判断に自信が持てなかったというまつむらさん。甘すぎるんじゃないか、という思いも頭をよぎりますが……。
真実を見抜くことは難しい
帰宅後に息子の体温を測ると、彼の言葉どおり、高熱があったのです。
「ああ、こういうことだったのね。ごめん、息子。本当に調子が悪かったのか。すぐ信じてあげられずに悪かった。
なにより、柔術のクラスに無理やり放り込まなくて良かった」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
息子の訴えを疑ってしまったことを反省するとともに、無理やり、柔術のレッスンを受けさせずにすんだことに胸をなで下ろしたというまつむらさん。
それでも、状況を正しくつかむことの難しさを痛感せざるを得なかったといいます。
「いつも子どもの真実を見抜くって難しい。
親だからって、子どもの調子が手に取るようにわかるわけではない。こんな急に体調が悪くなって、ましてや熱が出るなんて、ちょっと想像しにくい。
それに、子どもは成長するにつれて、したたかになってくる。自分の思い通りにことを運ぶためにどうすればいいか、知恵を絞って親に挑んでくる」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
子どもが成長するにつれて、親のことを試したり、ごまかしたりしているのでは? と思うようなシーンに遭遇したことがあるかたは、少なくないのではないでしょうか。子どもを信じたいけれど信じられない。つい、疑惑の目で見てしまう。そのことで自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。
とはいえ、子どもも全力で挑んでくるからこそ、時に判断を誤ることがあっても、子どもに向き合い続け、子どもの様子を観察し、子どもに必要だと思える対応を積み重ねていくしかない──。それも子育てのリアルなのかもしれません。
「やるべきことはやらなきゃいけない。そのことを教えたい。簡単にごまかせると思ってほしくない。
だからこそ、信じると信じないの狭間で、揺らぐことがある」
- (まつむらさんの投稿より *一部編集)
●ご紹介した記事
「信じると信じないの狭間で、ときどき揺れる」
https://note.com/getbetter/n/n2b021343d0af
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