「ゲームばっかり!」にならずに、ゲームと上手につきあう方法とは?

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子どもがゲームばかりしていたり、約束した時間にゲームをやめられなかったり、そもそも買い与えるべきか迷っていたり…。ゲームに関するお悩みは、尽きないようです。でもゲームって、多くの大人にとっても魅力的なものですよね。そこで、発達心理学、学校心理学が専門の渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)に、ゲームと上手につきあっていくためのヒントをうかがいました。

この記事のポイント

ルールを守らないから取り上げる!は逆効果

コロナ禍で思うようにエネルギーを発散できなかったり、自宅で過ごす時間が増えたりしたせいか、ゲームに夢中になっている子どもがいつになく多い印象です。皆さまのご家庭でも、「そろそろやめなさい!」「たまには外で遊んだら?」なんて、思わず声を荒らげてしまう原因になっていませんか?
でも、ゲームって実際に楽しいものだし、今の時代、完全に禁止することは難しそうですよね。一方、ゲームに時間を費やせば、その分勉強や他の遊びをする時間が減るのも事実。度が過ぎれば、生活や心身に害を及ぼすこともわかっていますので、工夫をして、自分で節度を守りながら遊べるようにしていけるといいと思います。

ルールを決め、守れるような工夫を

例えば、月並みではありますが、「ゲームは1日1時間まで」「ゲームをやるのは宿題が終わってから」などと、“なあなあ”になる前にご家庭なりのルールを決めておくことが大事です。そのうえで、「1日1時間まで」というルールであれば、1時間経ったところで「やめなさい」と言うのではなく、制限時間になる5~10分前に「あと10分だよ」と予告をしてあげたり、自分でタイマーをかけるように促したりして、守れるようにサポートする。また、ルールを守れたらカレンダーにシールを貼り、「シールが3つたまったら週末に好きなことができる」などと、ごほうびを設定するのもいいでしょう。さらに、ゲームがダメなのではなく、自分をコントロールする力をもてることが大事なことを語るといいと思います。

逆に、ルールを守れなかった時もうやむやにせず、ルールを徹底していくことも大事です。といっても、バツとしてゲームを壊したり、隠したりしてしまうと、子どもには「ひどいことをされた」という悪い印象ばかりが強く残ってしまいます。だから「自分をうまく調節できないと、自分でも嫌になっちゃうでしょ」「時間を守らないと他の人の予定も崩れて迷惑をかけることにもなるんだよ」といったことを冷静に伝えましょう。高学年であればゲームを長時間しすぎる危険性についてエビデンスを話しましょう。そうして心地よくルールを守れるようにしながら、自分をコントロールする習慣を身につけ、ゲームを楽しめるようにサポートしてあげてください。

ゲーム以外の楽しみを見つける

ただ、今は特に、他におもしろいことがないからゲームに気持ちがいっている…という子どもも少なくなさそうです。それなのに、「ゲーム禁止!」ではますますくすぶってしまいますので、ゲーム以外に夢中になれる何かを見つけることも、「ゲームばっかり!」にならないようにするヒケツだと思います。
例えばゲームはゲームでも、家族でボードゲームやスポーツに挑戦するのも一つの手。また、図書館や書店に行って本を読む、映画を見る、好きなことに関する博物館に行く、植物を育ててみる、アウトドアレジャーを楽しむ…。感染対策を徹底すればやれることに目を向けて、この機会に、気になること、新しいことに挑戦してみるのも、エネルギーの矛先を変えるきっかけになるかもしれません。

なお、ゲームのルールを決めるにせよ、ゲーム以外の遊びに挑戦するにせよ、「決めなさい」「やりなさい」では“やらされ感”につながる可能性が。逆に子どもだけで決めるのも難しいので、「1回のゲームの時間はどれくらいがちょうど良いと思うか」を考えさせましょう。そのために、「自分はどれぐらいゲームに費やしてしまっているか」に気づけるように時計を意識させたり、一緒に1日のスケジュールを書き出して「どのくらいゲームに使えそうか」を考えたり、ゲーム以外にやってみたいことを考えたりできるよう、サポートしてあげるといいと思います。そうやって考えることは、自分で自分のことを理解したり、段取りを立てたりする練習にもなって、一石二鳥ですよ!

まとめ & 実践 TIPS

興味の入り口になったり、気分転換できたり、学びにつながったり…。ゲームにも良いところはたくさんありますが、やりすぎは「ゲーム障害」という依存症につながることが、世界保健機関(WHO)からも認められています。そうなる前に心がけたいのが、ゲームに振り回されず、自分で自分の欲望や時間をコントロールできるようにしていくこと。また、時間だけでなく、質の良いゲームを選ぶということです。宿題に取り組む姿勢などにもつながることだと思いますので、親子で会話をしながら、ぜひご家庭なりの、ゲームとの上手なつきあいかたを見つけていってくださいね。

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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