俯瞰力とは?なぜ必要でどんなときに役立つ?4つの鍛え方も紹介

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近年、俯瞰(ふかん)力の重要性が高まっています。元々はビジネスの世界で注目されていたスキルではあるものの、勉強や受験などあらゆるシーンで役に立つことが指摘されるようになりました。一体、俯瞰力とはどのようなもので、なぜ必要となるのでしょうか。子どものころからの鍛え方と合わせてご紹介します。

この記事のポイント

俯瞰力とは?どんな力のこと?

俯瞰力とは、物事や事態、思考を全体的に眺めることができる力のことです。「俯瞰」とは、高いところから広い範囲を見下ろすことで、「鳥瞰(鳥のように空から見下ろすこと)」とほぼ同じ意味。俯瞰力は、全体像をとらえる力ともいえるでしょう。

俯瞰と間違えやすい言葉としては「客観」があります。両者の違いは、客観が第三者の立場に立って見ることであるのに対して、俯瞰は誰の立場にも立たず全体をフラットにとらえて見ているということ。俯瞰は、なんのバイアスもかけずに全体像をつかむ視点であるため「神の視点」と形容されることもあります。

俯瞰力はなぜ必要か

物事を俯瞰して見れば、見渡せる範囲が広がります。すると、狭い視点に立っているだけでは気づかなかった情報にも気づけることとなり、問題解決にも生かすことができるようになるでしょう。

もし、俯瞰力が発揮されないと視野が狭く自分本位に陥ってしまうはずです。他人の考えや立場を理解することもできず、感情的になってしまうこともあるかもしれません。
以上の点から、俯瞰力は問題解決のために欠かせない力だと言われています。

俯瞰力はどんなときに役立つ?

俯瞰力は、特にビジネスシーンにおいて重要性が指摘されています。しかし、ビジネスのみならず人生のあらゆるシーンで役に立つものです。全体をとらえるスキルであることから、子どもにとっても、日々学習やテスト勉強、進路選択、人間関係とあらゆるシーンで生かすことができるでしょう。そのため、俯瞰力は、子どものうちから鍛えておくことがポイントです。

お子さまのどのようなシーンで俯瞰力が役に立つのかを見ていきましょう。

テスト勉強や受験勉強

俯瞰力があると、テスト勉強や受験勉強に欠かせない逆算して計画を立てることが迷わずできるようになります。自分の学習状況と目標との距離をつかみ、自分の得意不得意や特性も踏まえて、どう勉強していくかを計画する。計画通りに学習が進捗しているかを適切に判断・評価し、軌道修正する。俯瞰力に基づいた行動で、着実に成果を出すことができるようになるでしょう。

応用問題を解くとき

応用問題を解く際には、一問一答のような知識問題とは異なり、複数のプロセスが求められます。特に算数や数学の図形問題などではその傾向が顕著。そういった問題を解く際には、解法の手順を俯瞰して考えることが必要。頭の中で全体像を描いて先回りしながら試行錯誤することで、正しい解答が導き出されます。複数のプロセスが求められる問題であればあるほど、俯瞰力の有無が物を言うこととなるでしょう。

友人関係や他者とのコミュニケーション

俯瞰力は、円滑な人間関係の構築にも役立つものです。俯瞰力を発揮して、相手や様々な人の立場や考えの全体像を理解することで、フラットな視点で最適解を見つけ出せるようになります。これは、行き違いやトラブル対応を解消することにも役立つでしょう。

将来の仕事、ビジネスシーン

俯瞰力は、ビジネスシーンでもリーダーに求められる必須の素養であることが指摘されています。ビジネスの場では、利害関係者が多数いるもの。そういった中で、全ての関係者の意見・立場をふまえ、調整力を発揮しながら物事を推進していく役割を果たすには俯瞰力が欠かせません。しっかりとした俯瞰力を兼ね備えた社会人であれば、日本だけでなく様々なバックグラウンドを持った人とプロジェクトを進める未来のグローバルなビジネスシーンでも、存在感を発揮できるようになるでしょう。

俯瞰力を養うためにできること4つ

俯瞰力を養うには、特別な教材やプログラムが必要なわけではありません。日々の生活や学習のちょっとした工夫で身につけていくことができます。次の4つの方法で、お子さまの俯瞰力を養成をサポートしましょう。

1日の振り返りを行う

自分の視点だけでなく、より広い視点を身につけられるようにするには、まずは自分のことを客観的にとらえるトレーニングから始めることが有効です。

そのとき、おすすめなのが1日の最後にお子さまと一緒に振り返りを行う時間を設けること。まずは3分程度からでもOK。お子さまに1日に行ったことやうまくいったことと改善が必要なことを話してもらいましょう。自分の行動を振り返ることで、自分自身を客観的にとらえることができるようになっていくはずです。

さらに、視点を広げていくためには保護者が適切な声かけを行うことが大切。「今日は新しい単元を学んだんだね。どんな点が面白かった?」「そうなんだ、それはなんで?」といった保護者からの声かけを通して、お子さまも客観的に掘り下げていくスキルを体得していけるはずです。

一緒にニュースを見て、話し合う

様々な立場に立って物事をとらえることを実践するには、ニュース番組を活用するのがおすすめです。ニュースでは、ある問題・課題に対して、賛成・反対・中立などあらゆる立場の人の声を知ることができるためです。自分が経験していない事柄や生き方についても、理解することができるようにもなるはずです。

ニュースを見たり読んだりすることでも一定の効果はありますが、より効果を高めるためには家族でニュースについて会話してみることがおすすめ。それぞれ別の立場に立って、プチディベートをしてみてるのも良いでしょう。自分とは異なる複数の立場を知ることで、フラットに全体像をとらえるトレーニングとなるはずです。

学習計画を作成・修正する

テストなどの目標・ゴールに向けて、今の状態を把握したうえで達成のための計画を練ることは、全体像をとらえる俯瞰力が総動員されるものです。そのため、なんとなく学習をするのでなく、学習計画を作成し実行、修正していくようにしましょう。

お子さまが学習計画の立案に慣れていない場合は、まずは今日1日分といった短いスパンからはじめてみるのでもOKです。徐々に中長期的な計画まで立てられるようにしていきましょう。

また、学習計画は立てて終わりではなく、実行具合を点検・軌道修正していくことも大切。計画に従って進められているか、時間の使い方はどうか、遅延があるならどうリカバリするかなど適宜振り返り、再計画することで俯瞰力はより研ぎ澄まされていくでしょう。

結果に一喜一憂するのでなく、分析する

テストや発表会の結果も、俯瞰力を養う絶好の機会にできます。結果に一喜一憂したり、保護者もただ褒めたり叱ったりするだけではもったいないもの。

よかった場合は「なぜよかったか」「なぜ成功したか」を具体的に褒めたり、親子で振り返るようにしましょう。同様に思うような結果にならなかった場合も「どこがよくなかったか」「次に同じ失敗を繰り返さないためにはどうしたらいいか」を感情に流されることなく、分析していくようにしましょう。

この繰り返しで、結果という点でなく、プロセスを含めた全体像を面でとらえられるようになっていくはずです。

まとめ & 実践 TIPS

全体をとらえる俯瞰力は、日々の学習からテスト勉強や受験勉強、友達関係、ビジネスシーンまで、人生のあらゆる局面で役に立つスキルです。とはいえ、その養成のためには特別な教材やプログラムが必要なわけではありません。日々の生活のちょっとした工夫で、確かな俯瞰力を身につけていくことができるもの。今回ご紹介した方法を参考に、お子さまの生きる力としての俯瞰力の養成をサポートしていってあげてください。

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