映画「SNS-少女たちの10日間-」でわかる、SNSで子どもが直面する危険とは?

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今や現代の生活の必需品ともいえるインターネット。デジタルな環境の中、自分用のPCやスマートフォンを持つ子どもも増え、SNSは手軽なコミュニケーションツールとして浸透しつつあります。とはいえ「子どもに直接触れさせるのはまだ心配」という保護者も多いのではないでしょうか?
SNSで子どもが直面する危険を描き、世界を震撼させたドキュメンタリー映画『SNS-少女たちの10日間-』が、日本で公開され話題となってます。この映画や実際の事例を元に、SNSによって引き起こされる様々なトラブルを具体的に把握しながら、子どもがSNSに触れる際の注意点やルールの実例を紹介していきます。

この記事のポイント

12歳の少女がSNSで“友達募集”をしたら、一体何が起きる?

映画『SNS-少女たちの10日間-』は、SNSで子どもが直面する危険を描いた、チェコのドキュメンタリーです。
子どもを取り巻くリアルを捉えるために、制作チームによって選ばれたのは、幼い顔立ちの「12歳に見える成人の女優」3人。巨大スタジオの中に作り上げたそれぞれの子ども部屋からPCを使い、SNSで“友達募集”を行うところから実験はスタート。
Web上に“12歳の女の子”のアカウントが開設されるや否や、瞬く間に複数のメッセージが。その結果、彼女たちにコンタクトをとってきた大人たちは、10日間でなんと2,458名。
彼らは撮影されていることも知らず、彼女たちが未成熟な存在であることを認めながらも、卑劣で執拗な誘いを繰り返します。その要求はたちまちエスカレートし…といった内容。
この作品を通して、子どもが無防備にSNSを利用すると、どのような危険が待ち構えているのかという現状、そして問題の深刻さを知ることができます。

【公開情報】
SNS-少女たちの10日間-
監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク 原案: ヴィート・クルサーク 出演:テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァー、サビナ・ドロウハー他
配給:ハーク 配給協力:EACH TIME
2020年制作/チェコ/原題:V síti/104分/R-15指定

2021年4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
公式サイト http://www.hark3.com/sns-10days

(C)2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.

子どもが狙われ巻き込まれるSNSトラブルが増加

ごく当たり前にPCやゲーム機器を使いこなす子どもたち。デジタルネイティブと称される彼らですが、心の成長はその見た目と同じく未熟です。近年、そんな子どもたちがSNSで巻き込まれる事件は増加傾向にあります。
例えば『SNS-少女たちの10日間-』の中にも登場する、SNSで知り合った相手から顔や裸の自撮り画像を求められ、うっかり送ってしまったというトラブルは数多くの事例が。加えてSNSのプロフィール画像や、チャット動画のスクリーンショットを拡散すると脅迫されたりすることも。
またリアルな交友関係の友達に突然SNSをブロックされ仲間外れにされてしまった、などというコミュニケーション上のトラブル事例も報告されています。

★その他、青少年や保護者から寄せられたSNSでのトラブル相談事例はこちら
東京都都民安全推進本部のサイト「こたエール」
https://www.tokyohelpdesk.metro.tokyo.lg.jp/

家庭におけるSNSのルール作りのポイント

では、子どもが安全にSNSを使うためには、保護者としてどのような対策が必要でしょうか?青少年のインターネット利用の適正化や被害防止に取り組む、東京都都民安全推進本部に取材しました。
都によると「ネットやスマホは子どもの成長に合わせて、練習をしながら段階的に利用の幅を広げることが大切です。子どもの発達段階や利用状況に応じたサポートを、保護者は心がけるようにしましょう」とのこと。
その上で行う『家庭でのルール作り』のポイントは以下のとおりです。

【ポイント1】子ども任せは厳禁。利用状況は常に見守る姿勢で

一番大切なのは、子ども任せにするのではなく、親が常に利用状況を見守ることです。とはいえ、実際につきっきりで見ることは不可能なので、利用アプリの制限やフィルタリングサービスを活用し、いつでも把握できる状態にしておきましょう。

【ポイント2】「小さく」「具体的」で分かりやすいルールにする

例えば「夜9時以降はスマホを保護者に渡す」など、数字や条件を具体的に盛り込みます。ここで子どもに自らルールを「宣言」してもらうことも大切。保護者が押し付けるのではなく、子ども自身が納得できる理由を示すようにしましょう。家族全員でルールを守る意識の共有を。

【ポイント3】ルールを二重構造にして持続可能なものに

ルールを守れなかった場合のルールを決めておきましょう。例えば「守れなかったときは、スマホを一週間保護者に預ける。その間は使用しない」などが有効。二重構造にすることで「ルールを守る」意識そのものを育てるサポートにもなります。

【ポイント4】子どもの異変のサインを見逃さない

子どもの心は未成熟。落ち込んだり寂しさや不安を感じると、大人が想像している以上に心に隙間ができてしまいます。言葉巧みな他人を信じ切ってしまうことも。「急に学力が下がってきた」「あまり会話をしていない」「脱力感がある」などのサインを見逃さないようにしてください。

  • ・成長に合わせて段階的に利用の範囲を広げる
  • ・子ども任せにせず、見守る姿勢を基本に
  • ・ルールは小さく具体的なもので、二重構造に
  • ・子どもが発する異変のサインに注意する

成長段階に沿ったルール設定方法とその実例

子どものスマホ利用については、「コミュニケーションがうまくとれるか」「ネットリテラシーを理解しているか」という2つの点をみながら、成長に応じてルールの範囲を決めていくことがポイントです。 具体的にどのようなルール決めをすればいいか、東京都都民安全推進本部にお聞きした学年とインターネットとの関わり時期別の実例を紹介します。こちらを参考に、ご家庭の環境にあったルールを考えてみましょう。

①小学校低学年〜高学年…インターネットレベルアップ期

自分専用のスマホやPCを持ち始める子も多い時期。まずは保護者と一緒にネットやスマホの危険性、やってはいけないことを学ぶところから始めてください。

【ルール実例】
・スマホは保護者とのメールと電話のみの使用
・SNSやアプリはまだ使用しない
・保護者と一緒にネットやスマホの危険性を学ぶ

②小学校高学年〜中学2年生…SNSデビュー期

スマホなどの扱いにも慣れたこの時期がSNSのはじめ時。どっぷり浸かって勉強や生活が疎かにならないように、利用時間の厳守を心がけるようにしましょう。

【ルール実例】
・アプリやSNSは1日1時間まで
・アプリのダウンロードは必ず保護者に許可をとる
・SNSは家族と、学校の仲のいい友達のみにする
・食事中は使わず、寝るときはリビングに置いておく

③中学2年生〜高校3年生…SNSレベルアップ期

日頃から折を見て、ネットリテラシーやコミュニケーションへの理解について話し合うようにしましょう。特に個人情報は慎重に扱うことを厳守します。

【ルール実例】
・アプリやSNSは夜9時まで
・SNSやネット上にメッセージを書き込む前に必ず見直す。
・個人情報は絶対に書かない、載せない。
・トラブルになりそうなら、すぐに保護者に相談する

  • ・インターネットレベルアップ期は、SNSやアプリは使わない
  • ・SNSデビュー期は、利用する時間と環境を厳守
  • ・SNSレベルアップ期は、ネットリテラシーへの理解を深める

まとめ & 実践 TIPS

子どものSNS利用は、成長に合わせて慎重に行わせたいもの。保護者が見守る姿勢を欠かさずに、子どもがネットとの適切な距離感を学べるよう、しっかりとサポートしていくことが大切です。

取材・文/畑 菜穂子

出典:東京都都民安全推進本部「こたエール」
URL https://www.tokyohelpdesk.metro.tokyo.lg.jp/

プロフィール

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都民の安全安心を実感できるセーフシティの実現に向けて「都民安全・治安対策」「交通安全」「若年支援」の各施策に取り組む
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