ゲームに教育効果も! 三大人気ゲーム「マインクラフト」「あつ森」「フォートナイト」の影響と注意点は?

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なかなか終息の気配を見せないコロナ禍において、「子どもが家でゲーム三昧になっている」と悩む保護者は多いでしょう。
ついつい夢中になってしまうことから「勉強の敵」になりがちなゲームですが、実は意外な学習効果もあることをご存知でしょうか?
この記事では子どもに人気の「三大ゲーム」(*)である「マインクラフト」「あつまれ どうぶつの森」「フォートナイト」を具体例として、ゲームが子どもに与える影響や学びへのつなげ方、主な注意点をご紹介します。

*ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』を運営する株式会社ゲムトレ(代表取締役 小幡和輝、以下ゲムトレ)の調査による
https://gametrainer.jp/elementaryschool/

この記事のポイント

創造性を引き出す「マインクラフト」は遊びすぎに注意

「三大ゲーム」の中でもっとも教育要素が強いのが「マインクラフト」です。サイコロ型のブロックでできた世界を冒険したり、建築を楽しんだりする作品で、世界で最も売れたゲームとして知られています。

最近ではプログラミング教育やアクティブ・ラーニングの教材として採用されるほか、学校向けの「Minecraft: Education Edition」(通称「教育版」)が開発・提供されるなど、教育シーンでの注目度がますます高まっています。

教育的なメリットとしては、①創造性が刺激される ②協調性が育まれる ③テクノロジーの基礎が理解できる の3点が挙げられます。それぞれについて見ていきましょう。

①創造性が刺激される
「マインクラフト」の世界はすべて同じ大きさのサイコロ型ブロック(ボクセル)で作られており、自由に採集することができます。集めたブロックを積み上げれば、個性豊かな建築物を作り上げることが可能。建築のアイディアを無料で公開しているWebサイトや動画も多数あるので、時間さえかければ誰でもオシャレな家を手に入れることができます。敵が出てこず、創作に集中できる「クリエイティブモード」も用意されており、まさにデジタル版のレゴ®ブロックのような操作感です。

これがイラストや粘土になると、どうしても器用/不器用が出てきてしまうもの。誰でも成功体験を得られる「マイクラ」は、子どもの自己肯定感を育みながら創造性を伸ばすのにピッタリです。

②協調性が育まれる
「マインクラフト」の醍醐味といえばマルチプレイ。友達やきょうだいと協力してワールドを作り上げていく楽しさは、他のゲームとは比べものになりません。

得意分野に合わせて役割分担するのも良いですし、みんなでアイディアを出し合って素敵なデザインを考えるのもよいでしょう。協力プレイを通じたコミュニケーション能力の育成は、PBL(プロジェクト型学習)として授業に取り入れる学校もあるほど評価されているポイントです。

③テクノロジーの基礎を理解できる
ちょっと高度な内容になりますが、「マイクラ」では「レッドストーン」というアイテムを使い、回路を設計することができます。

活用範囲は無限大で、自動で作物を収穫する装置から、音楽を奏でる装置まで制作可能。使いこなせれば作業効率がグッと上がるので「難しいけど、頑張って理解しよう!」と思えるのが嬉しいところです。

どんな子に向いている?
「マインクラフト」に熱中しやすいのはズバリ、凝り性の子。ブロック遊びが好きな子であれば、まず間違いなく食いつくでしょう。一方でストーリー性がなく、チュートリアルも丁寧ではないので、合わない子はとことん興味を示さない可能性も。外国製ゲームなこともあり、好き嫌いが大きく分かれる作品です。

注意点は「遊びすぎ」
「マインクラフト」には課金要素がほとんどないため、課金トラブルに関しては安心なゲームと言えます。年齢指定も「全年齢対象」で、残虐表現はありません。

注意したいのは「遊びすぎ」。ストーリーがない=やめどきが決めづらいゲームのため、家庭でしっかりルールを決める必要があります。大きな音の鳴る目覚まし時計で時間を計るなど、工夫しながら遊ばせるのがおすすめです。

  • 創造性を伸ばすことができる
  • マルチプレイで協調性が育まれる
  • テクノロジーの基礎を理解できる

Minecraft (マインクラフト) - Switch

リアルな自然と触れ合える「あつ森」は、安心だが起伏は少ない

続いては、ステイホーム下で発売され、爆発的に販売数を伸ばした「あつまれ どうぶつの森」(通称「あつ森」)です。20年近い歴史を持つ「どうぶつの森」シリーズの最新作ということもあり、大人のファンも多数抱えています。

教育的なメリットとしては、①マネー教育ができる ②自然観察ができる ③クリエイティブな感性を養える の3点が挙げられます。それぞれについて見ていきましょう。

①マネー教育ができる
「マイクラ」と同じく、「あつ森」に決まったゴールはありません。しかし、目標となりうる要素はあります。それがマイホームの建築と増築です。

家を建てるには、ローンを組んで返していく必要があります。ところがこのローンがなかなか高額で、もっとも上のランクまで増築すると総額570万ベル(*)ほどかかります。

*「ベル」はゲーム内通貨の単位。

ローン返済の一つの方法となるのは「カブの運用」。「あつ森」では毎週日曜日にカブ売りのキャラクターがやってくるのですが、このカブは曜日ごとに値段が上下するのです。うまくタイミングをつかめば資産を数倍に増やすことも可能。一気にローン返済の道筋が立つことになります。

ただし、1週間経つと腐ってしまう(=価値が0になる)シビアなシステムなので、売り時を逃すと資産が大幅に減るリスクも。元手はいくらにするか、どこまでの損失を許容できるか、手堅く稼ぐには……など、金融リテラシーの初歩を学ぶのに適していると言えるでしょう。

②自然の生態が学べる
プレイヤーが住む島では、季節ごとのムシやサカナに出会うことができます。「図鑑」モードはかなり詳細なつくりで、まさにデジタル図鑑です。

つかまえた生き物は博物館に寄贈でき、動いている姿を眺めることができます。子ども向けの解説と合わせて楽しめるので、生き物が好きな子であればどんどん知識を吸収していくでしょう。

かせきや美術品を寄贈することもでき、そのクオリティは圧巻の出来。とくに美術品は「うまく見分けないとニセモノを買ってしまうことがある」システムになっており、元の美術品に触れるきっかけを作ってくれます。まさにバーチャル博物館として、子どもの知識欲を満たし、好奇心を刺激する存在となってくれるでしょう。

③クリエイティブな感性を養える
「あつ森」には家具や小物などさまざまなアイテムが収録されており、島やマイホームに飾って楽しめます。いろいろな島を見比べると、驚くほど個性が出ることに気づくはず。洋風のオシャレな島にする子もいれば、どこか不気味なオカルト島にしてしまう子もいるでしょう。「どういう島なの?」とたずねれば、きっとそれぞれのストーリーを教えてくれることでしょう。親子のコミュニケーションのきっかけにもなるゲームです。

どんな子に向いている?
「あつ森」にはお人形遊びに近い魅力があります。本を読んだり、写真を見たりして、自分だけのストーリーを想像するのが好きな子であればどこまでものめり込んでいくでしょう。

一方で、「住人との交流」や「店頭に並ぶアイテムのチェック」といった穏やかなイベントがゲームの中心になるため、アクションゲームが好きな子には物足りなく感じる可能性も。季節の移り変わりやカレンダーイベントなど、一つのゲームと長く付き合い、思い思いの楽しみを見出せる子に向いているゲームと言えます。

友達トラブルには注意
「あつ森」を開発するのは安心の任天堂。課金トラブルや残虐表現を心配する必要はないでしょう。ただし、注意したいのはオンライン通信。貴重なアイテムのゆずり合いや言葉の行き違いなど、お友達とのトラブルを100%避けることはできません。「お友達の顔が見えないからこそ、ていねいにコミュニケーションしなければいけないんだよ」と教える必要があるでしょう。

とはいえ、ゲーム内では「フレンド」か「ワンタイムパスワード」を知る人しか島を訪れられず、本体にも「ペアレンタルコントロール」がかけられるため、知らない人とマッチングする危険性はきわめて低くなっています。危険なプレイヤーとの遭遇に関しては、ある程度安心してよいでしょう。

  • 株やローンなどのマネー教育ができる
  • リアルな自然の生態が学べる
  • クリエイティブな感性を養える

あつまれ どうぶつの森 -Switch

eスポーツにも選出、「フォートナイト」は親の見守りが重要

最後は、いま子どもにもっとも人気のゲーム「フォートナイト」です。100人で同時に島に降り立ち、最後の1人(もしくは1チーム)になるまで戦う「バトルロイヤル」がメインのゲームで、数々のeスポーツ大会にも採用されています。

基本プレイは無料で、ゲーム内の着せ替えやバトルパス(ゲーム内チャレンジに挑戦するためのチケット)が有料で買える料金システム。対象年齢は15歳以上で、小中学生が遊ぶ場合は保護者の許可と見守りが必要になるのも特徴的です。

「バトル」「課金」と聞くとどうしても警戒心が高まってしまいますが、eスポーツへの採用実績をはじめとし、教育シーンでも注目が高まっているのは事実。具体的には、以下のようなポイントが評価されています。

①マルチタスク能力が鍛えられる
「フォートナイト」をはじめとするアクションゲームは、同時に複数のことに取り組む「マルチタスク」能力を鍛えるのに役立ちます。周囲の状況をモニタリングし、臨機応変に判断しながら立ち回る経験を積むことで、「Aの様子を見ながらBに取り組み、すきま時間にCもやっておく」といった実際の生活や仕事に必要な能力・考え方が身につきます。

②コミュニケーションスキルが育つ
「フォートナイト」には1人(ソロ)/2人(デュオ)/4人(スクワッド)という遊び方が用意されています。チーム戦となれば、連携は必須!倒れた仲間を助けに行ったり、アイテムを融通したり。ボイスチャット(音声通話)で助け合う中で、チーム精神とコミュニケーションスキルが育まれます。

③クリエイティブな遊び方も
実は「フォートナイト」には、自分だけの島を作れる「クリエイティブ」モードが用意されています。リアルな街を再現したり、オリジナルのルールを作って遊んだり、遊び方は無限大です。特に人気の遊び方は「かくれんぼ」だそう。YouTuberやWebサイトから情報を得つつ、次々と新しい遊び方にチャレンジしていく子どもも多いようです。

どんな子に向いている?
「フォートナイト」はかなりスポーツに近いゲームなので、実際のスポーツも好きな子であればハマる確率は高いでしょう。一方で、急かされるのが嫌いな子(アクション要素が苦手な子)は初めから敬遠してしまうことも。基本無料のゲームなので、とりあえず与えてみて、ハマらないようなら削除、と気軽に考えてもよいかもしれません。

注意したいのは「課金」「暴言トラブル」
「フォートナイト」でやはり注意したいのは課金トラブル。ゲーム内の強さに影響しないとはいえ、「せっかくならカッコいい見た目で遊びたい!」と考える子どもは多く、保護者の悩みのタネとなっているようです。一緒に遊んでいる子が課金OKだと「なんでうちはダメなの?」となりがちなので、仲良しの子の保護者と方針をすり合わせておくのも良いかもしれませんね。

また、ボイスチャットはどうしても暴言トラブルにつながりがちです。感情的な発言はトラブルにつながることを、日ごろから根気よく伝える必要があります。

  • マルチタスク能力が鍛えられる
  • コミュニケーションスキルが育つ
  • クリエイティブな遊び方に挑戦できる

「バトルロイヤル」系ゲームは、保護者自身受け入れられない場合もあるかと思います。
その際、お子さんが何故そのゲームをしたいのか、ゲームのどの機能をお子さんが楽しんでいるのか等ゲームを十分理解した上で、保護者が問題に思っている部分を伝え、親子でしっかり話したあとでプレイ有無について判断することをお薦めいたします。

まとめ & 実践 TIPS

今やゲームは子どもの共通言語となっており、一概に禁止しづらくなりました。とくにコロナ禍では子どものストレスを和らげるツールとして無視できない側面もあり、付き合い方に悩む保護者も多いでしょう。

とはいえ、どんなゲームにも共通する注意点は「家庭でのルールを決めておく」「親が見守る」こと。遊んでよい時間や課金の範囲、トラブルが起きたらどうするか、などを事前によくよく話し合った上で、日常の様子もしっかり見守っていく姿勢が重要です。じょうずにトラブルを避けて、子どもの「好き!」を伸ばしてあげましょう。

出典:株式会社ゲムトレ
調査名:「株式会社ゲムトレ」 小学生が一番遊んでいるゲームタイトル
ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』を運営する株式会社ゲムトレ(代表取締役 小幡和輝、以下ゲムトレ)が小学生のゲームに関する意識調査を実施。
実施期間・方法:2020年5月にアンケートを実施。
回答者・回答数:小学生375人(1年生64人、2年生60人、3年生59人、4年生59人、5年生68人、6年生65人)が回答
URL:https://gametrainer.jp/elementaryschool/

執筆:夏野かおる 監修:佐藤朝美

プロフィール

夏野かおる(なつの・かおる)

フリーランスの編集者・ライター。高等学校教諭一種免許状(国語)保有。京都大学大学院(博士課程)在籍中。研究活動のかたわら、教育系書籍やメディアコンテンツの取材・執筆・編集に携わる。ライターとしての専門分野はICT教育・STEAM教育。趣味はゲーム。

プロフィール



愛知淑徳大学人間情報学部准教授。東京大学大学院学際情報学府博士課程、情報学環助教、東海学院大学子ども発達学科を経て現職。教育工学、幼児教育、家族内コミュニケーション、学習環境デザインに関わる研究に従事。日本子ども学会(理事)。オンラインコミュニティ「親子de物語」で第5回、「未来の君に贈るビデオレター作成ワークショップ」で第8回、「家族対話を促すファミリー・ポートフォリオ」で第11回キッズデザイン賞を受賞。

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