学童保育とは?特徴や選び方など基本知識や保育園との違いを紹介!
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小学校に入学すると利用できるようになる「学童保育」。お子さまがこれまで通ってきた保育園や幼稚園とどのように異なるのでしょうか?
学童保育の基本から選び方、最近の動向まで、一気に見ていきましょう。
学童保育とは?
学童保育とは、放課後に家で子どもたちを見られない場合に預けられる施設のこと。「放課後児童クラブ」と呼ばれることもあります。
「子どもたちが安全に過ごせる場所」として多くのご家庭に利用されており、施設で子どもたちの賑やかな声が響くのが日常風景です。
学童保育には指導員と呼ばれる方々が数人いて、子どもたちを見守ってくれています。みんなでおやつを食べたり、それぞれが好きなように過ごしたり、宿題をしたり。学童保育は、学校でも家でもない「第三の場所」、学校が終わってから家に帰るまでの「生活の場」です。
学童保育の基本知識
学童保育は、「子ども一人で留守番をさせるより、家族の帰宅時間や習い事の時間まで大人の目がある学童保育で見守っていてほしい」というご家庭が主に利用しています。
まずは、学童保育の目的・対象学年・利用時間・大まかな利用料など、学童保育の基本知識を確認していきましょう。
学童保育の目的
学童保育の第一の目的は、学校が終わったあとに子どもたちが安心・安全に過ごせる場所を確保すること。学校のように勉強を教えるのではなく、放課後に帰宅して過ごすような「生活の場」であることを目的としています。
厚生労働省の調査によれば、2020年では全国で約130万人の子どもたちが利用。学童保育施設の設置数も約2万6,625箇所と過去最高を更新しました。共働きのご家庭が増加したことなど、社会のさまざまな変化を背景として、ますます需要が高まっています。
学童保育の対象学年
学童保育に通えるお子さまの学年は、小学1年生から小学6年生までです。
もともとは「おおむね10歳未満」とされていましたが、学童保育の需要の高まりを受け、2015年4月から施行された子ども・子育て支援新制度で「小学6年生まで」と明確化されました。
ただ、現在も小学3年生や4年生で卒室というところもあるようす。何年生まで利用できるのかは施設に確認する必要があります。
学童保育の料金と利用時間
学童保育には、いくつかの種類があり、利用可能時間・利用料などにも違いが見られます。
公立の学童の場合、利用料は月額4,000〜7,000円程度。利用時間は、夕方までのところが中心で、長くても19時までです。
民間の学童では、月額5万円ほどの利用料になる場合があります。しかし公立の学童よりも豊かなプログラム内容や送迎サービスを提供していることも。利用時間も公立より長く設定されている所が多く見られ、22時まで預かってもらえる施設もあります。
学童の入り方・条件
公立の学童保育の場合、それぞれの施設または市区町村に申し込みを行います。民間の学童では、施設に直接申し込むのが一般的です。
いつから申し込みを受け付けているかは自治体や施設によって異なりますが、4月から利用を開始したい場合は、10月くらいを目安に探し始めるとよいでしょう。
なお、学童保育への申し込み後に審査を受ける場合があります。審査では、学校を終えた子を自宅で世話するのが困難な事情の確認として、保護者の仕事の状況(勤務日数や勤務時間)や家族構成を見ることも。待機児童がいる地域では、より必要性の高い家庭の子が優先されます。
民間の学童では、先着順で決まることもあるようです。
学童の職員
学童保育で子どもたちを見守ってくれる職員を広い意味で「学童指導員」と呼びます。
もともとは学童施設で働くための特別な資格はありませんでしたので、学童で子どもたちを見てくれている職員を「学童指導員」と呼んできました。
その後、学童保育の需要の高まりと質の向上が求められ、2015年に「放課後児童支援員」という資格が登場。この資格をもつ職員を特に「放課後児童支援員」と呼ぶようになっています。
放課後児童支援員は、
・高卒以上で2年以上の児童福祉事業や放課後児童健全育成事業などの実務経験がある
・保育士、社会福祉士、教員免許といった特定の資格を持っている
・大学・大学院で指定分野を専攻して卒業・修了している
など、いずれかの条件を満たした上で研修を受けた職員です。
厚生労働省は、全ての学童施設に必ず1人は放課後児童支援員を配置するよう義務づけています。
春休み・夏休みなどの休暇中はどうなる?
春休み・夏休みなどの長期休暇中は、学童保育でも朝から預かってくれる施設が多く見られます。
厚生労働省の調査によれば、長期休暇中の開室時刻は朝7〜9時、終了時刻は17〜19時と答える施設が全体の9割。通常は月〜金しか開所していない施設でも、長期休暇中は土曜日も開所しているところが多いようです。
学童保育の種類と特徴
学童保育には、いくつかの種類があります。
大きく分けると公立と民間がありますが、さらに「どこに設置されているか」などでも異なります。
公立学童保育(併設型)
・公立の学童保育で、児童館や小学校に併設されている
・学区によって利用する施設を決める場合が多い
・必要性の高い家庭の子を優先(待機児童の有無、保護者の仕事状況、家族構成等)
・利用時間は最大でも19時までがほとんど
・利用料は月額4,000〜5,000円
・おやつ代は月額1,500〜2,000円
公立学童保育(単独型)
・公立の学童保育で、NPO法人や社会福祉法人に運営を委託している
・利用時間・料金等は児童館内学童クラブと同じ
・施設の雰囲気は運営する法人によって異なる
民間学童保育(認可)
・自治体が補助金を出している民間の学童クラブ
・自治体による基準を満たした上で設置されている
・先着順で入所が決まる場合がある
・利用できる時間が比較的長い
・利用料は公立より高額になる(週5〜6日の利用だと月額5万円ほどになることも)
・ニーズに応じたサービスを提供していることが多い
民間学童保育(認可外)
・ビルの一角に設置されていることが多い
・学区に関係なく通所できる
・企業内に設置されている場合は、社員の子が対象
・預かり時間が長い
・利用料金が高額になる
・英会話やプログラミングなどの学習支援がある場合もある(別料金になることも)
学童での主な過ごし方
学童保育では、学童指導員や放課後児童支援員が子どもたちの安全を見守り、安心して過ごせるよう声かけを行ったり、イベントを開催してくれたりします。
そうした職員が見守る中、子どもたちは自由に過ごし、時には皆でおやつを食べます。
宿題をする子もいれば、おもちゃで遊ぶ子もいますし、グラウンドなどで元気に運動する子もいるでしょう。
季節の行事がある場合は、室内の飾り付けをしたり、特別なおやつを食べたり。お誕生日会でプレゼントをもらった時などは、お子さまの笑顔を見られるでしょう。
学童保育と保育園など幼児保育の違い
家族がお子さまの面倒を見られない時間にお子さまを預かってもらえる施設——そういった点では、保育園と学童保育は似ているかもしれません。
しかし、お子さまの成長や職員との関係性で見ると、保育園などの幼児保育と学童には大きな違いがあります。
まず、幼児保育では、先生が常に近くで見守ってくれます。預けている間は、おやつや食事、身のまわりの世話を先生が中心となってやってくれました。歌ったり踊ったり、工作をしたり絵本の読み聞かせがあったりなど、子どもたちの発達に合わせた活動があるのも特徴です。
一方、学童保育では子どもたちは自分で過ごし方を決めることが多くなります。季節の行事やお誕生日会などは皆で一緒に楽しみますが、基本的には何をしていてもよい時間が大半です。
学童保育の指導員も、「先生」と呼ばれることは多いものの、どちらかといえばご家庭における保護者のような存在。「ただいま」「おかえり」と声をかけあったり、子どもたちが指導員と協力したりして一緒に「生活」しながら放課後の時間を過ごしています。
学童保育のメリット・デメリット
学童保育を利用しているご家庭からは「助かった!」という声も「困っちゃった…」という声も聞かれます。
学童保育には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
施設によって具体的なメリット・デメリットは異なりますが、よく聞かれる声をもとにまとめてみました。
学童保育のメリット
(1)大人(指導員)がいて見守ってもらえる
学童保育には必ず大人(指導員や支援員)がいます。子どもたちの安全に配慮してくれるので、危ない遊び方を止めてくれたり、事故や震災が起きたときに対応してくれたりします。大人が子どもたちの側についていてくれるというのは、保護者にとってはとても心強いものです。
(2)クラス・学年を越えた友達づくりができる
学童保育は学校とは異なり、他のクラスや学年、時には他の学校の子どもたちも通っています。日中はクラスの友達との関係が中心だが、放課後はもっと広い友達づくりが可能。いろいろな年齢の子や大人とふれ合う中で社会性をのばすことができるでしょう。
(3)友達と宿題ができる
家にいると、つい誘惑に負けて後回しになりがちな宿題。学童では友達と一緒に宿題ができるので、競争したり教え合ったりして早く終わることがあります。
(4)特別なイベントを楽しめる
学童保育では、季節ごとの催しも行われます。誕生日会、クリスマス会などではプレゼントをもらえたり、たくさんの人にお祝いしてもらったりなど、家族でお祝いするのとはまた違う楽しさを味わえるでしょう。
(5)夏休み・冬休み・春休みも預けられる
子どもたちにとって楽しみでも、働く保護者にとって悩みの種となるのが、学校の長期休みですよね。朝から夕方まで家の中に毎日1人で置いておくわけにはいかず、かといって親がそう頻繁に仕事を休めるわけでもありません。そんな期間でも、学童保育なら朝から預かってくれるので安心。「朝、起きて出かける」「夕方、家に帰る」という生活リズムを保てるというメリットもあります。
(6)夏休みにプールに連れて行ってもらえる
夏休み中は学校のプールが解放されています。そのため、学童保育に通う子どもたちも指導員と一緒にプールへ行き、順番に遊べることも。夏らしい思い出づくりにもなり、水遊びが好きな子にとって嬉しいイベントになるでしょう。
学童保育のデメリット
(1)仲の良い子・悪い子で別れてしまうことがある
学童保育にはさまざまな子どもたちが集まってきます。その中で、次第にグループが作られていくのはよくあること。すると、相性の合わない子たちは毎回ケンカになってしまったり、仲間はずれが起きてしまったりすることがあります。
(2)夏休み・冬休み・春休みはお弁当が必要かも
通常、お昼ご飯は学校給食があるのでお弁当は要りません。しかし、長期休みの間はお弁当を持って行かなければならない学童保育もあります。施設によってはお昼ご飯を用意してくれるところもあるため、事前の確認が大切です。
(3)集団行動が苦手な子はストレスがたまるかも
子どもたちが安全に過ごせるように、学童保育では集団行動を求められることもあります。そうした点で、学校より自由とはいえ、自宅で過ごすよりは不自由。やりたいことができない、やりたくないことをやらなければならないなど、我慢しなければならない場面も出てくるでしょう。ストレスをためやすい子の場合は注意が必要です。
(4)保護者参加必須のイベントがあると大変かも
学童保育で行われるイベントの中には、保護者の参加を必要とする場合もあります。タイミングが良ければお子さまと一緒に楽しめますが、忙しい保護者にとっては少し大変に感じるかもしれません。
学童保育の現状
近年の社会や家庭の環境の変化から、「放課後に子ども1人で留守番をさせたくない」というご家庭が増えているようす。学童の需要が高まり、民間学童の増加や待機児童問題などが注目されています。
民間学童が増加
働き方改革などで共働き家庭が増加したことで、学童保育の必要性が高まっています。
学童保育には、大きく分けて自治体などが運営するものと民間で運営するものがありますが、都市部においては特に民間学童の増加が顕著です。
民間学童の第一の特徴は、預かり時間の長さ。公立の学童では17時頃までしか利用できないところもありますが、民間学童の多くは19時頃まで利用可能です。
施設によっては21時や22時といった遅い時間まで延長対応してくれたり、オプションとしてお子さまを自宅まで送り届けてくれたりするところもあります。
民間学童の第二の特徴は、柔軟性の高いプログラムです。
これまでの学童保育は、指導員の見守りや指導のなかで子どもたちが自由に遊ぶという過ごし方が一般的でした。民間学童では、学習サポートや英会話レッスン、運動、工作といった、お子さまの学習やスキル習得を助けるプログラムが提供されています。
ただ、民間学童は公立の学童に比べて利用料が高いケースが多いのがネック。公立の10倍近くの利用料がかかることもあるため、「利用したくてもできない」という問題も発生しています。
学童にも待機児童問題が…
2020年12月の厚生労働省による発表では、放課後児童クラブ(学童保育)の登録児童数および放課後児童クラブ数がともに過去最高を更新しました。
「利用できなかった児童数(待機児童数)」は前年から2,000人ほど減少しているものの、依然として約16,000人の小学生が学童保育を利用できずにいます。特に、東京都・埼玉県・千葉県での待機児童が多いという結果です。
学童を利用できない場合、夕方までは学校で過ごし、その後は習い事へ通ったり保護者が仕事を切り上げて対応したりしている例もあり、お金の問題で頭をかかえるご家庭も見られます。
学童の選び方やチェックポイント
学童保育を選ぶ際は、通いやすさや利用可能時間、利用料、利用回数、雰囲気がお子さまに合っているかどうかがポイントです。
ポイント1:通いやすさ
学童保育へはお子さまが自分で通うことになります。
設備やプログラムが良いといっても、お子さまが自分で通える場所にないと、通所中の事件・事故が心配。学校から学童保育、学童保育から家までの道順や距離を確認してみましょう。
ポイント2:利用可能時間
公立の学童保育でも、施設によっては19時頃まで延長して預かってくれる場合があります。民間学童なら、さらに遅い22時頃まで利用できる施設も見つかるでしょう。
遅くまで利用可能な施設の場合は、送迎サービスがあるかどうかチェック。夏休みなどの長期休みの利用時間やお泊まり保育があるかどうかも確認してみるとよいでしょう。
ポイント3:利用料・利用回数
細かなニーズに対応したサービスは、民間学童での対応が多い傾向が見られる。しかし、その分利用料も月額数万円と高額に…。
利用料を抑えるには、週に1〜2回だけ通うといった利用の仕方を検討する必要があるかもしれません。
公立であれば、細かなニーズへの対応は難しいものの、おやつ代込みで月額4,000〜7,500円ほどの利用料です。
利用時間や利用回数を重視するのか、利用料を重視するのか、複数の施設を比べながら検討してみてください。
ポイント4:施設の雰囲気
お子さまに合った学童を選ぶには、学童の雰囲気を知ることが重要。実際に学童を利用するご家庭からも「必ず事前に見学して!」と呼びかける声が多く聞かれます。
行事に力を入れているところもあれば、子どもたちの自主性に任せているところもあります。また、集まってくる子どもたちもそれぞれの施設で異なるため、賑やかで元気に遊ぶ子が多い学童もあれば、何らかのプログラムに参加している子が多い学童もあるでしょう。
見学に行ったら、「こういうタイプの子は、どのように過ごしていることが多いですか?」など、職員の方にいろいろと質問してみましょう。
学童終了後はどうしてる?
高学年になったり小学校を卒業したりすると、学童保育も卒業(卒室)。卒室後、子どもたちはどのように放課後を過ごしているのでしょうか?
児童館に登録
高学年になって卒室した場合、児童館の利用が可能です。ランドセルを持ったまま児童館で過ごせるシステムがあり、そこで自由に過ごしているという子どもたちがいます。
ただ、児童館は学童保育と異なり、おやつや入館後の外出などはないのが一般的。一緒に過ごす友達がいないと「宿題をしたりマンガを読んだりするくらいしかできなくて、つまらない」という悩みが聞かれます。
習い事
放課後に習い事へ行くことで、お子さまが安全に過ごせるようにしているというご家庭もあります。家や学校から通いやすい場所にあること、お子さまが興味をもつことなどの条件で探しているようです。
学校が終わったらそのまま習い事へ行くというパターンもあれば、同じ習い事をしている友達の家で一緒に過ごし、時間になったら一緒に習い事へ行くというパターンも。保護者が交替で送迎をしているケースも見られます。
お留守番
高学年になってくると、自分で家の鍵を開けてランドセルを置き、友達と一緒に過ごしたり家でお留守番をしていたりする子も増えてきます。
お留守番をさせる場合は、あらかじめルールを決めるとよいでしょう。他の家にお邪魔するときのルール、家にお友達を呼ぶときのルール、外で遊ぶときのルールなどです。
周りの方にあまり迷惑をかけず、お子さま自身も安全に過ごせるよう、一緒に話し合って決めてみてください。
まずは見学へ
一口に学童といっても、施設によってそれぞれの特色があります。ここでご紹介したメリット・デメリットが当てはまらない場合もありますし、お子さまによっても変わってくるでしょう。
学童選びでは、気になる施設をまず見学してみることが大切。書類やホームページだけでは分からない全体の雰囲気、指導員の方の方針などが感じられ、その場で質問することもできるでしょう。
公営・民営にかかわらず、通えそうな施設や通ってみたい施設をできる限り実際に見てみてください。
まとめ & 実践 TIPS
働く保護者にとって心強い味方となる学童保育は、子どもたちが安心・安全に過ごせることを目的とした施設。学校でもなく家庭でもない「第三の場所」として、子どもたちに多くの経験を与えてくれます。
お子さまに合った学童を見つけるには、まず施設見学へ行くのがおすすめ。すでにその施設が満員の場合は、待機児童として登録しておけば施設に空きが出た時点から学童保育を利用できるでしょう。
学童保育の満員状態が続く場合や学童保育に合わないお子さまの場合は、児童館の利用や習い事なども選択肢の1つです。
出典:
民間学童保育が増加中! 指導の内容や料金はどうなっているの?
https://benesse.jp/kyouiku/201601/20160112-3.html
令和2年(2020年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和2年(2020年)7月1日現在)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15634.html
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