新型コロナウイルスによる影響で乱れた生活リズムをどう整えるか?(前編) ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(9)

新型コロナウイルス感染症の影響による“非日常”が続き、子どもの生活リズムが乱れたり、学習が進まなかったり…。不安を覚えることが少なくないと思います。そこで、ベネッセ教育総合研究所/チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)の木村治生主席研究員が、主に小・中学生の子どもを持つ保護者のかたに向けて10回にわたって子どもたちの生活と学びについてお話しします。

●生活リズムは乱れやすいもの

休校や分散登校などで、子どもの生活リズムが乱れがちではないでしょうか。しかし、子どもの生活リズムの乱れは、今に始まったことではありません。2018年に保護者の方を対象に行った子育ての悩みに関する調査でも、子どもの生活リズムに悩んでいる保護者の方は、小学校低学年で1割から2割弱。学年が上がるほどその割合は高くなり、中学1年生や高校1年生にもなると、約3割にのぼっていました。

小学生よりも、中学生や高校生で生活リズムの乱れについての悩みが増えるのはなぜでしょうか。それは、生活リズムが乱れる原因が、成長とともに増えるからです。塾や習い事、部活動などで、学年が上がるほど1日の生活は忙しくなります。またスマートフォンの利用など、メディアの時間も増えます。その結果として、就寝時刻が遅くなり、睡眠時間が減ってしまうのです。

●今こそ自分で生活を管理する力を高めるチャンス

このように、生活リズムは通常時でさえ整えにくいのですから、今の状況では、親子ともにさらにたいへんでしょう。しかし、生活を管理する力を高めるのに、指示や強制は逆効果です。まずは、子ども自身が“なぜ生活リズムを整えることが大切なのか”を、理解することが必要です。例えば健康面でいうと、日中に体を使った適度な活動をして、夜にしっかりと睡眠をとることが、成長ホルモンの分泌に欠かせません。自立の面から見ると、生活を管理する力は社会人になってからも役に立ちます。その重要性を理解し、自分で目標を設定し、行動できるようになることがいちばんなのです。

今は、子どもが自分で生活を管理するような練習をするチャンスです。もちろん最初は、完ぺきでなくて構いません。ぜひ自分で考えて、予定通りにいかないところを見直し、自分で修正していけるように、保護者のかたがサポートしてあげてください。

上記記事はベネッセ教育総合研究所が運営するチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)に掲載した動画をもとに作成したものです。
チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)は「子どもは未来である」という理念を掲げ学際的、国際的な活動を推進する、インターネット上の「子ども学」研究所です。ベネッセ教育総合研究所の支援のもと運営されています。

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プロフィール


木村治生

https://researchmap.jp/hrkmr/

これまで、子ども・保護者・教員を対象にした調査に携わり、子どもの生活や学びとそれにかかわる周囲の大人の意識・行動に関する研究を行う。
上智大学大学院(教育学修士)、東京大学社会科学研究所客員准教授(2014~17年)・客員教授(2021~22年)、追手門学院大学客員研究員(2018~21年)、横浜創英大学非常勤講師(2018年~23年)。

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