進級時のクラス替え、お子さまの不安を和らげる効果的な声のかけ方とは?

桜の季節、4月には進級を控え、お子さまたちも親も新しい環境に向けて心の準備を始める頃です。新しい出会いに期待を膨らませる子もいれば、今までのクラスメイトと離れることに大きな不安を感じる子もいるでしょう。誰もが越えなければならない「小さな試練」ではありますが、お子さまにとっては大きな壁です。親としてどのように声をかけてあげれば、不安な気持ちを和らげることができるのでしょうか。


クラス替えのどんなところが不安なのか、話し合ってみる

 幼稚園や今までの学年を通し、クラス替えは当然のことだと考え、それほど不安を見せない子どももいます。それに対し、「どうしてクラス替えをするのだろう」「今のままがいいのに」という気持ちがあるお子さまは、不安な様子を見せるかもしれません。具体的に「クラス替え、いやだな」という発言があることもあるでしょう。まずは、クラス替えのどんなところが不安なのか、話を聴いてあげましょう。

 

また、お子さまによっては、「不安ではあるが具体的に何が不安なのか原因がわからない」ということもありますので、お子さまだけに発言させるのではなく、親も意見を言うことが大切です。たとえば、「クラス替えは、お友達が変わっちゃうから心配なのかな」「ずっと今の先生ならよかったかな」などと、まずは不安を具体的にしてみることが大切です。「不安だろうから、指摘しないようにしよう」「言わないようにしよう」と考えるかもしれませんが、子どもの不安は自分の心だけにとどまらせず、外に出し、理解してあげることが重要です。親が理解してあげただけで、安心感につながる場合もあります。

 

 

誰もがクラス替えの不安を乗り越えていることを伝える

 クラス替えについては、形はいろいろですが、みんなが多少なりとも不安に思っていることを伝えましょう。とはいえ、「みんなだって心配なんだよ」という言い方では、お子さまもどう考えればいいのかわかりません。ここはご自身の経験を伝えてみてはいかがでしょうか?

 

たとえば、「おかあさんもクラス替えはとてもいやだったよ。だけど、だんだん新しいクラスも好きになったの」「おとうさんも大好きな友達がいて、クラスが違って悲しかったよ。でも、休み時間はよく一緒に遊んだよ」などと、お子さまの気持ちに共感しつつ、明るい変化があったことを伝えてみてください。身近な人が乗り越えてきたものである、ということは、お子さまにとって大きな安心感を生みます。

 

 

「がんばって」ではわからない…。具体的な応援や励ましが効果的

 逆に、「がんばって」「お友達なんかすぐできるよ」といった励ましは、どうがんばればいいのかわかりませんし、お友達がすぐできないと思っているからこそ不安なのであり、安心感を抱ける言葉ではありません。 たとえば、「今度のクラスでも、○○ちゃんと同じ○○(スポーツや、テレビ番組、キャラクターなど)が好きな子がいるかもしれないね」「最初はお隣の子の名前を聞いてみようか。前も隣の○○くんとはすぐ仲良くなったしね」など、実は過去にもクラス替えやクラス替え以外のところでも新しい出会いはあり、乗り越えてきたことをお子さまに思い出させてみてください。「前と同じことなんだよ」と自信を持たせてあげましょう。

 

自分の子どもが不安な顔をしていると、親としてもいちはやく解決してあげたいと考えるものです。ですが、こういった小さな試練を一つずつ乗り越えることで、子どもは成功体験を重ね、気持ちの切り替えを学び、成長します。ある程度声をかけ、話し合うことができたら、あとは焦らず笑顔でじっくり見守るようにしましょう。

 

 

プロフィール



平岡亜紀:公認心理師、産業カウンセラー、研修講師
NPO法人ひさし総合教育研究所 理事
特定非営利活動法人自立支援ネット我孫子 心理師
スクールカウンセラーとして長きに渡り学生・親・教員の相談に従事。心療内科、福祉施設のほか、企業でのキャリア開発、メンタルヘルス対策など多様な人たちが抱える問題にも応じている。

倉持鎮子:自身も7歳、11歳の子どもを育て、育児・食育・親子問題についての執筆を行うライター。医療・健康・体の不思議、子育て中にもできる美容などにも触れ、さまざまな面から「子どもとの生活」についてのライティング実績がある。講師業では、「脳と体を考える食育」についての情報を提供。

子育て・教育Q&A