子どもの心を強くするメンタルトレーニング 【基礎知識編】

スポーツの大会や大切な試合では、普段の練習や技術だけではなく、心を鍛えること(メンタルトレーニング)も大切だといいます。「心を鍛える」とは、いったいどういうことなのでしょうか。園田学園女子大学人間健康学部教授で、ラグビー日本代表のメンタルコーチを務めた、荒木香織先生にお話をお伺いします。

■ラグビーワールドカップでも注目 「メンタルコーチ」はどんな役割?

メンタルコーチとは、スポーツの試合でよい結果を出すために、あるいは日々の練習の効率を上げるために、どのような場面でも選手が自分をコントロールできるよう手助けをするコーチです。主にスポーツ心理学を基盤とした理論を活用しながら、「負けてしまったらどうしよう」「(ラグビーの場合)タックルが怖い」というような目に見えない課題に対応できる、そのスポーツの特徴に合った手段やスキルを見つけていくのが仕事です。

「コーチ」というと、何かを教えたり指導したりする人というイメージがあるかもしれません。しかし、私が答えを出すのではなく、選手と話し合いながら、対応・対処法を2人で一緒に考えていきます。

■なぜ、メンタルトレーニングが必要なのか?

では、なぜメンタルトレーニングが必要なのでしょうか。それは、たとえば、技術も練習量も申し分のない有名選手でも、大きな大会でメダルを取れないことがあるということを思い出していただければ、わかると思います。

普段できているはずのことが、本番で途端にできなくなってしまう理由としては、練習している時とは環境が変わるということや、「勝たなくては」と追いつめられて、よけいにうまくいかなくなってしまうということなどがあります。

こうした、環境の違いや自分の気持ちを調整するために必要なのが、メンタルのトレーニングです。本番で自らのパフォーマンスを充分に発揮するには、体(フィジカル)と心(メンタル)両方の調整が必要です。またこの2つは、スポーツの試合のみならず、勉強や習い事の発表会でも同じように必要だといえるでしょう。

■「プレパフォーマンス・ルーティン」の誤解

昨年話題になった、ラグビー日本代表・五郎丸歩選手の「プレパフォーマンス・ルーティン」は、数あるメンタルトレーニングのうちの一つですが、誰にでも、どんなスポーツにでもあのルーティンが適切というわけではありません。験(げん)担ぎや願掛けとも違います。ルーティンの効果は、何度も練習をすることでそれに続くプレーをスムーズに行ったり、動作に集中することで会場の歓声や自らの不安などといった内外の障害を取り除いたりすることにあります。

どこにいても、どんな天候でも、勝っていても負けていても、今自分にできることとして、集中してルーティンを遂行することは、自分で自分をコントロールしていくことにもつながります。

プロフィール

荒木香織

荒木香織

園田学園女子大学人間健康学部教授。学生時代を通じて陸上競技部に所属し、短距離選手として活躍。米ノーザン・アイオワ大にて修士課程修了。ノースカロライナ大グリーンズボロ校でスポーツ心理学博士課程修了。早稲田大学助手、シンガポール・南洋工科大専任講師を経て現職に。

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