首筋をトントンは間違い!? 子どもの鼻血の効果的な止め方

鼻血と呼ばれる出血の多くは、キーゼルバッハ部位と呼ばれる鼻の奥(具体的には鼻中隔の前方下端)から出ます。このあたりの粘膜は薄く、細い血管が集まっているうえ、網の目状に浮き出ています。特に子どもの場合は刺激に強くないため血管が破れやすく、小さなことで鼻血が出ます。では、鼻血が出たときはどのように対処したらよいのでしょうか。詳しくご紹介します。


間違いだらけ!? の鼻血への対処法

 鼻血に限らず、流出した血液は親の気持ちを動転させます。しかも鼻血は痛みがないことも多いので、本人でさえ気づかないということが珍しくありません。何気なくわが子を見ると鼻から鮮血が滴っていた。こんなとき、つい冷静な対処を忘れがちです。まずは落ち着いて行動するよう心がけてください。

 

×NG対処法2パターン×

鼻血と聞いてまず思いつく対処法は、

1.ティッシュを丸めて鼻に詰める

2.上を向かせ首筋をトントン叩く

だと思いますが、どちらも適切とは言えません。

 

1は鼻の粘膜を傷つけてしまいます。せっかく止血できても、ティッシュを引き抜く際に出血箇所を再び傷つける恐れがあるのです。

 

2は根拠がないだけでなく、出血が多い場合は血液が喉へ流れ込む可能性があります。さらに子どもが泣いている場合、上を向いたままだと涙が鼻に流入して止血しづらくなってしまいますので、この方法はいずれを取ってみても実は逆効果なのです。

 

○適切な対処法3ステップ○

そこで、次のような対処法を覚えていてください。

 

1.椅子に座らせ、安静にする

→それによって血圧を下げ、止血しやすくします

 

2.顎を引いて下を向かせる

→血液が喉の方に流れ込まないようにします

 

3.軽く口を開かせ気道を確保して、小鼻を「ギュッ」とつまんで出血箇所を圧迫

→このままの姿勢を維持しておけば、通常の鼻血なら数分で止まるでしょう。

 

【止血する際のワンポイントアドバイス】

椅子に座った親の膝に、同じ方向でまたがるように子どもを座らせ、後ろから手を回して鼻をつまむという方法もあります。これなら子どもの安心感が増すことでしょう。

つまんだ指先に血液が流れ出た場合に備え、空いた方の手でティッシュペーパーを取れるよう手元に準備してから止血すると安心です。

 

 

粘膜強化で鼻血を予防しよう!

 子どものうちは粘膜が弱く、さらに鼻腔(びこう)を力強くさわってしまいがちなので鼻血の頻度は大人に比べて多くなるもの。そこで、粘膜を作るのに効果的な栄養素を食事に取り入れることで、粘膜を強くすることが期待できます。粘膜を作る上皮細胞に欠かせない栄養素はビタミンA。

 

ビタミンAは、ビタミンAそのものを多く含む動物性食品と、体内でビタミンAに変換されるビタミンA前駆体・プロビタミンAに属するβカロテンを多く含む緑黄色野菜を摂取することにより、効果的に補給することができます。以下を参考に、取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

[ビタミンAを多く含む食品]

…レバー・うなぎ・卵黄・生クリーム・チーズ・バター

[βカロテンを多く含む食品]

…にんじん・ほうれん草・春菊・かぼちゃ・小松菜

 

ビタミンAは脂溶性のため、食用油と一緒に調理すれば吸収率が高まります。子どもが苦手な食材も多いうえ、レバーは食品としての供給や調理方法に法的制限がかけられていますので、サプリメントや野菜ジュースなどを効果的に活用するとよいでしょう。

 

 

一応知っておきたい病気が原因の鼻血

 さて、病気が原因で鼻血が出る場合もあります。ここでは代表的な疾患についてご紹介します。

 

・アレルギー性鼻炎

まず多いのが、アレルギー性鼻炎。くしゃみが頻発しティッシュで鼻をかむ回数も多くなるため、鼻の粘膜が炎症を起こして出血しやすい状態になりがちです。アレルギー性鼻炎と診断される子どもは、5〜6歳くらいから増え始めます。花粉症もアレルギー性鼻炎の一種ですが、季節や原因がある程度特定されます。

 

アレルギー性鼻炎の原因は、ダニやほこりなどのハウスダストです。アレルギー性鼻炎が引き起こすくしゃみや鼻水、またそれらに対処するために「鼻をかむ」行為が粘膜を弱らせ鼻血を引き起こすわけですから、アレルギー性鼻炎に対する治療が結果的に鼻血を減らす効果につながります。

 

アレルギー性鼻炎の治療には、アレルギー反応を引き起こす粘膜をレーザー光線で焼灼(焼いて治療)するといった外科的治療法や、抗原を特定して行うアレルゲン免疫療法などもありますので、専門医に相談してみるとよいでしょう。また子どもの場合、アレルギー性鼻炎の治療を進めることで喘息の発生率を抑えられるというデータもあります。気になるかたは早めの受診をおすすめします。

 

 

・副鼻腔炎(ちくのう症)

副鼻腔は頬・両目の間・額の下にあり、そこが炎症することで引き起こるケース。症状の特徴は、鼻が詰まったり粘り気のある、色がついた鼻汁が出たりすることです。急性副鼻腔炎は1〜2週間で治りますが、放っておいた結果、慢性副鼻腔炎になってしまうこともあります。急性副鼻腔炎は治りやすい病気なので、慢性化を防ぐためにも早めに治療すべきでしょう。

 

副鼻腔炎に伴う鼻血も、副鼻腔炎の治療を進めることで改善が見られます。治療法は抗生物質を副鼻腔に直接送り込むネブライザー療法や飲み薬として投与する内科的療法、また手術による外科的療法などがありますので、専門医に相談してみてください。

 

 

・白血病

白血病にはさまざまな種類があります。白血病が原因で鼻血が出るのは、血小板(血液を凝固させるのに重要な役割を果たす物質)が減少したり機能障害が起きたりするためです。血小板減少症は医薬品の副作用によって引き起こされることもあり、白血病と無関係な場合もあります。

 

何らかの理由によって血小板が減少した結果、鼻血が頻発したり止まりづらくなったりする場合、症状が鼻血だけに限定されることは考えにくいです。鼻血に加え、手足に点状の出血痕や青あざが頻出するような症状が見られた場合、速やかに医療機関を受診し専門医にご相談ください。また、白血病や血小板減少症以外にも、鼻血を伴う血液疾患があります。詳しくは専門医にご相談するといいでしょう。

 

 

プロフィール



医療法人社団悠翔会 悠翔会在宅クリニック川崎 院長

宮原裕美
芝パーククリニック 内科医員

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

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