日本では一年中桜が咲いているって本当?
桜といえば、春…そう思うのが常ですが、実は日本では一年中どこかで桜が咲いているといえるのです。
冬桜(ふゆざくら)
10月から翌春まで白い花を咲かせます。群馬県藤岡市の桜山公園は、約7000本の冬桜の名所です。白く大きい花の開花と同時に緑の葉が出てくるオオシマザクラと小さな花をたくさんつけるマメザクラの雑種で「小葉桜(こばざくら)」とも呼ばれます。
不断桜(ふだんざくら)
秋から春まで咲き続けるので不断桜という名前です。白色の一重の桜で、白色から淡紅色の花をつけるヤマザクラと、白く大きく咲き、緑の葉も同時に出てくるオオシマザクラの雑種と推定されています。三重県鈴鹿市の「白子の不断桜」が有名で、国の天然記念物に指定されています。
小福桜(こぶくざくら)
春と秋の年2回咲く、多数の雄しべが特徴的なカラミザクラと八重咲きのコヒガンザクラから生まれたとされる栽培品種です。一つの花に雌しべが1~5本あり、一つの小果柄に複数の果実をつけることから命名されました。白色の八重咲きが特徴です。新潟県上越市の高田公園、石川県白山市の林業試験場樹木公園、京都市の京都府立植物園などで見ることができます。
四季桜(しきざくら)
4月上旬頃と10月末頃の年2回開花する四季桜は、日本の桜の中では背丈が小さく、最も小さな花をつけ、白から薄いピンク色の小さな花をたくさん咲かせるマメザクラと、樹高が高く、微紅色が特徴のエドヒガンザクラの雑種といわれています。淡紅色の一重咲きが特徴です。愛知県豊田市の「小原の四季桜」は6000本あり、県の天然記念物に指定されています。
小彼岸桜(こひがんざくら)・十月桜(じゅうがつざくら)
秋から冬にかけて咲く小彼岸桜。そのうち八重咲きのものを十月桜としています。十月桜は白く小さい花を咲かせるマメザクラと、樹高が高く、優美な姿が魅力的なエドヒガンザクラの雑種と推定されています。島根県大山町の「名和の花街道」、大阪府吹田市の万博記念公園、埼玉県神川町の城峯公園などが名所です。
近年では桜と紅葉が同時に楽しめるということで、10月を楽しみに待つ人も増えてきているようです。
参考:井筒清次『おもしろくてためになる桜の雑学事典』(日本実業出版社)