【中高生のネット利用実態調査】「普段の学習スタイル」がメディア利用に与える影響
ベネッセ教育総合研究所では、2014(平成26)年2月〜3月に、全国28の中学校・高校の中学1年生〜高校2年生9,468人を対象に、ICTの利用実態・意識に関する調査を実施した。ネットやスマホとの関わりがどのくらいあるのか、またオンライン上でのつながり・コミュニケーションが子どもたちの生活や文化・学習にどのような影響を与えているのか、様々な角度から探ってみた。
前回までは、成績によってメディア利用にどのような違いがあるかをみてきた。今回は、「普段の学習スタイル」によってメディア利用にどのような違いがあるかをみていく。ここでは普段の学習スタイルを代表する項目として「わからないところはまず自分で考える」(自力志向)、「わからないところはすぐに誰かに教えてもらう」(他力志向)の2項目を使用し、スタイル別にメディア利用の特徴をみてみよう。なお、分析には、中学生に比べ、よりインターネットやメールの利用率が高い高校生のデータを使用している。
<自力志向>「勉強は自分の力でやる。メディアはあくまで効果的に利用し、自分の勉強を補完するもの!」
下のグラフは、自力志向の高低別に、学習時における高校生のメディア利用の違いをみたものである。結果をみると、自力志向の高い学習スタイルの生徒は、自力志向の低い学習スタイルの生徒に比べ、「調べ学習やレポートをまとめるために情報収集をする」「効果的な勉強の仕方を調べる」「英語のリスニング、発音を聞く」で利用率が高くなっている。
注1)「普段の学習スタイル」の代表項目の抽出にあたっては、まず、探索的因子分析を行い、抽出した因子についてそれぞれもっとも因子負荷量の高い項目を選んだ。
注2)数値は「よくある」+「ときどきある」の%。
<他力志向>「わからないところは、チャットですぐに質問。勉強はできるかぎり省エネ!」
次に、他力志向の高低別に、学習時におけるメディア利用の実態をみてみよう。他力志向の高い学習スタイルの生徒と、他力志向の低い学習スタイルの生徒で比べたところ、全体的には志向による利用差はあまりみられない。最も利用差が大きいのは「メールやチャットで友だちにわからないところを質問する」で13.3ポイント差。次いで「アプリで単語や用語を覚える」で6ポイントの利用差がみられる。
以上のように、「普段の学習スタイル」によっても、学習時のメディア利用に違いがありそうだ。
「メールやチャットでただちに分からないところを質問する」というメディア利用の仕方自体は全く問題ではなく、むしろ学習において大切な行動と言える。しかし、その質問が単に答えだけを聞き出したり、思考を深めない利用の仕方にとどまっているのであれば、それはs区なくとも学習の面においては問題だ。
メディアを学習に利用していく際には、提供する側も、使う側もそれぞれの子どもの学習スタイルを考慮しながら、使い方を工夫していくことが必要だろう。
出典:中高生のインターネット利用の実態は? 学習とメディア活用~中高生のICT利用実態調査2014より~