幼児期の困った行動、叱らずに保護者の気持ちを言葉で伝えてと専門家
「我が子がなかなか言うことを聞かない」ことに悩む幼児の保護者は、少なくないだろう。子どもに寄り添ってあげたい気持ちはあっても、忙しい日々の中ではなかなかうまくいかないこともある。幼児期の子どもの問題行動に詳しい、世田谷子どもクリニック副院長で臨床心理士でもある帆足暁子氏に、困った行動をする幼児への関わり方について話を伺った。
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子どもをしつける際、脅しをかけて行動を促すのは、よいことではありません。自分の思いが受け入れられず、「脅されて従う」ことが続くと、家庭で自分の気持ちを出せなくなり、脅されることがない保育園や幼稚園では、反抗的な態度をとるようになってしまいます。
子どもの行動を促すためには、感情的にならず、まず保護者からきちんと「なぜそうなのか」を話すこと。そして、「言葉に意味を持たせること」がとても大切です。育てにくくなるのは、保護者の言うことと行動が一致していなかったり、状況によってコロコロ変わったりするなど、言葉に意味を持たせないからです。「昨日と今日、言っていることが違う」「だだをこねれば許してくれるだろう」と思えば、子どもはますます制限なく要求するようになり、「わがまま」になってしまいます。
また、子どもが言うことを聞かなければ、保護者の気持ちが子どもの心に響いていない可能性もあります。普段はがまんしていて限界になってからカーッと怒るのではなく、お互いの気持ちを言葉で伝えられるようにしてみましょう。
子育ては、自分の思いどおりにならないことも多く、自信を失うこともあるかもしれません。でも、多くの保護者は子どものためにじゅうぶんがんばっています。たまには自分をほめてあげましょう。家庭支援センターなどに子どもを見てもらうことで、自分の自由時間を持ったり、相談できる相手を見つけたりするなど、公的な制度の活用もいいですね。サポートを受けながら楽しく子育てをするほうが、一人でがんばるよりもずっと、保護者と子ども双方にとってプラスになると思います。
出典:幼児期の困った行動への関わり方【後編】言葉に意味を持たせよう -ベネッセ教育情報サイト