「捕まえた昆虫を持ち帰りたい!」と言う子どもに、納得の言葉がけとは?
夏は、外遊びが活発になる季節。近所の公園で捕まえた昆虫を自宅に持ち帰りたい、と言われ、困った経験を持つ保護者もいるのではないだろうか。子どもの気持ちを尊重し、せっかくの自然体験を無駄にしないよう、どのように接したらよいか、プロのナチュラリストとして活躍する佐々木洋氏に伺った。
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子どもが近所の公園などで捕まえた昆虫を自宅に持ち帰りたがるのは、保護者にとっては少し頭の痛い問題ですね。まずは、飼える環境かどうかを考えましょう。飼うとしたらエサは何か、どんな入れ物で飼うのかを調べ、子どもにきちんと世話をする気があるかどうか確認しましょう。すべての問題をクリアできない場合は、昆虫がかわいそうなだけですから、その場に返してください。
しかし、小さい子どもは、納得しないことも。おすすめは「夕方まで、うちに遊びに来てもらおう」「一晩だけ、うちにお泊まりしてもらおう」という言い方です。いずれは、元の場所に返すのですが、こういう言い方をすると、小さな子どもでも「長く飼うことは無理だ」と、理解できるようです。また、一晩じっくり観察できれば、ほとんどの子どもは満足するはずです。
親子の自然プログラムを主催していて、残念に思う時があります。それは、自然を体験しているのは子どもたちだけで、保護者たちはおしゃべりに夢中……という時です。せっかく同じ場所と時間に親子一緒にいるのに、体験を共有していないのは、もったいないですよね。
自然や生き物を、親子で一緒に楽しむことは感動の共有につながります。子どもがつかまえられなかったバッタをお父さんが鮮やかに捕まえたら、子どもの胸には「お父さん格好いい!」という感動が残るはず。逆に、うまく捕まえられなかったとしても、親子で「バッタってスゴイね」という会話ができます。保護者が自然体験にあと一歩踏み込むだけで、ささやかな感動が生まれます。