「歩幅」と「回転数」がカギ タイプ別「足が速くなる練習法」
これからの季節、多くの学校で運動会が行われるが、速く走れるようになって活躍したいという思いを持つ子どもは少なくないだろう。身体運動科学の専門家・深代千之氏は、「走るスピードは、どのぐらいの歩幅で走るかという“ストライド”と、どれぐらいの回転で走るかという“ピッチ”の2つで決まります」と話す。つまり、「走る速さ=ストライド(一歩の長さ)×ピッチ(足の回転数)」ということなのだ。足がなかなか速くならない人には、ストライドが大きくてもピッチが遅い人、ピッチが速くてもストライドが小さい人といったタイプがあるそうだが、深代氏はそのタイプ別に練習法を解説する。
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ストライドは大きいが、ピッチが遅いタイプ
・股関節を素早く交差させる
ストライドが大きくてピッチが遅い子どもは、「けった足を前に持ってくるときに、巻き込まれない(折り畳まれていない)」という欠点がある。まずはひざをリラックスさせる。ピッチを上げるためには、地面を素早く踏み込む練習が効果的。ポイントは、「地面を踏みつけることで、自然に足が上がるように」「つま先だけの動作にならないように」など。
・股関節を素早く交差させて走る
少し前かがみの状態で、股関節を中心に素早く足を交差しながらしっかり地面を踏みつけ、そのまま少しずつ前に走る「その場かけ足」の練習が効果的。股関節を交差させる動きに慣れたら、そのままの動作で少しずつ走る。ポイントは、「足で地面をしっかりける」ことと、「ひざには力を入れず、股関節で足を回転させるイメージ」。
ピッチは速いが、ストライドが小さいタイプ
・股関節を大きく使う
ピッチが速い子どもは、足首で細かくけって走るのが特徴。股関節全体を大きく開かせ、歩幅(ストライド)を広げることを目標にする。空中で足を交差させるジャンプが練習として効果的。ポイントは、「着地して足を切り替える瞬間に素早く反動をつける」ことと、「空中で足を交差させるときは、力を抜く」こと。
・大きな動作で走る
ピッチ型の子どもは、股関節自体を大きく開けないので、ピッチを少し遅くして大きく股関節を開くことを意識する。ピッチを遅くするには、前から足をふり戻すときに、かかとではなく、指の付け根でつくことを意識すると良い。大股でゆっくり走るといった練習が効果的。ポイントは、「股関節のスイング動作で走る」こと。最初から大股にするのが難しければ、助走をつける。
深代氏は、「小学校低学年から高学年は、いろいろな動きの巧みさやスキルを身に付けたい時期。速く走るために筋力を鍛えるのではなく、うまい走り方を身に付けてほしいと思っています」としている。