模試の答案・成績表はここをチェック! 模試徹底活用法(2)
模擬試験の大きな役割は、志望校との距離をはかること。しかし、そのほかにも様々な機能があり、ただ合格可能性を見るだけではもったいないものです。
今回は、お子さまと一緒に行っていただきたい、模試の答案や成績表の見直し、それに応じた受験勉強の進め方について述べます。
模試の成績には、波があって当然
保護者のかたにまず認識しておいていただきたいのが、模試の成績にはかなり波があるということです。苦手な単元や、復習が不十分なところが出題された、隣の人の癖が気になって集中できなかったなど、様々なことで成績は大きく左右されます。
ですから、結果が悪かったからといきなり叱りつけたり、お子さまの前で動揺を見せたりするのは避けたいものです。結果を見てすぐだと、その場の感情で行動しがちですので、まずはひと呼吸おき、お子さまにどうアドバイスするのが効果的かを考える時間をとりましょう。
苦手教科・単元を発見し、正答率の高いものから復習を
まずはお子さまと一緒に教科別の成績を見て、不得意な教科・単元を発見してください。できなかった問題の正答率を見て、正答率の高い問題からしっかり復習させるようにしましょう。正答率が1割以下の問題は飛ばしてかまいません。
また、不得意な単元は何の教材を使ってどのように復習するかを話し合い、お子さまに決めさせてください。わからなければ塾などで学習法を相談するのもよいでしょう。
不得意な単元の成績を上げれば、志望校の合格可能性も大きくアップします。
ミスの傾向をつかみ、得点力をつける
ぜひ答案にも目を向けてください。ケアレスミスには傾向があるものです。たとえば漢字のとめ・はね・はらいでの減点、計算ミス、単位やピリオドの付け忘れ、設問に合った答え方ができていない、記述式問題で制限字数の8割以上書いていないなど。また、難問に時間を取られて、できそうな問題を落としてしまったなど、解答のしかたに慣れなくて実力が発揮できていない場合もあります。
これらの傾向をお子さまと一緒に発見し、ケアレスミスをなくすようアドバイスしてあげてください。
「できそう」「頑張れそう」と思える目標設定を
「偏差値をあと3~4ポイント上げないと、A校は受けられないよ」といった励まし方をする保護者のかたも多いのですが、これではかえってお子さまの負担感が増してしまいます。たとえば、「苦手教科の点数を10点上げれば大丈夫」「ミスを減らして、各教科5点ずつ上げていこうね」といった言い方であれば、「できそう」「頑張ってみよう」と感じる子が多いでしょう。お子さまに合ったアドバイスのしかたを工夫してください。
志望校変更は安易にしない
10月の時点では、まだ受験勉強に本腰の入っていない子が多いのも事実です。10月の時点で合格可能性が50%以下でも、追い込みで実力がついてくる子が大勢います。10月いっぱいまでは、第一志望校に近づくための方法を重点的に考えるようにしてください。第一志望校の変更や併願校の受け方に関心の比重を移すのは、11月以降でよいでしょう。保護者のかたが「このままではどこにも受からないのでは」などと、動揺するのがいちばんよくありません。どっしり構えて、模試の答案・成績表をおおいに役立て、お子さまの志望校に最短距離で近づく方法について、一緒に考えてあげることが大切です。
(筆者:安田理)