森林科学ってどんな学問?
世の中にはたくさんの学問があります。どんな内容で、何を学んでいくのか知っておくことは、自分の興味や関心の方向性を探れることはもちろん、進路を決めるために、大いに役立つでしょう。今回は「森林科学」を取りあげます。
森林科学とは?
「森林科学」とは、森林についてあらゆる方面から科学的に研究する学問のことをいいます。樹木や森林を生息地とする生き物を含めた生態系、森林が私たちの生活に果たす役割、森林を保護する方法など、森林をテーマとする研究材料は思いのほか多いものです。
現在、砂漠の緑化や熱帯多雨地帯で森林を造成していくこと、酸性雨による森林破壊の原因追究と対策などについては、国境を超えた協力体制の中で研究されています。私たちの生活が森林によってどれだけ守られているのかを人々に訴えていくという、重要な課題もあります。
森林科学ではどんなことを勉強する?
森林科学では、森林を「資源」としてとらえる科学的な研究と、森林造成に直接かかわる住民と社会についての研究が行われます。
たとえば、森林における生態系を研究するときには、樹木の種類や土壌、動植物の分析を行います。この分析のために必要なのは、土壌学、地形学、気象学、生理学といったことに通じる知識です。林業について考えるときには、林業経営のあり方や山村社会の問題点も取りあげる必要があり、社会科学の分野にまたがることとなります。このような例だけを取りあげても、幅広い知識や世界観が必要なことがわかります。
森林科学の講義はどのように設定されているか
森林科学のカリキュラムは、一般的に次のような分野から構成されています。
生物学的分野
森林生態学や森林増殖学など
経済・経営・管理学的分野
林政学、森林経営経済学、森林経済学、森林保護学、景観保全論など
物理工学的分野
木材化学工学、森林利用学、造林学、砂防工学など
実験や実習は「森林を肌で知る」という意味でも非常に重要です。長期間山中に宿泊して、樹木の伐採や枝打ちなどを学ぶ演習、演習林で樹木の直径を測るなどの実習も行います。
森林科学を学んだ人々の卒業後の進路
農林水産省(林野庁)や各都道府県の林務課などに就職し、森林、木材に関する研究、技術指導を行うほか、環境省や国土交通省、森林農地整備センターなどに進む人が目立ちます。そのほか、パルプや製紙などの木材化学工業関係や、住宅産業、環境緑地事業などの一般企業に就職する人、さらに研究を進めるため大学院へ進む人もいます。