この時期、保護者はどうかかわるか 第4回 三者面談の前に[高校合格言コラム]

三者面談の前に

 前回は、ご自身が受験された経験の取り扱いについてお伝えしました。今回は、三者面談についてお話しします。

●親子で意見の統一を
 11月末から12月初めにかけては、高校受験を控えた中3生のご家庭を対象に、担任の先生を含めた「三者面談」が行われます。「三者面談」で中学校の先生がいちばん困ることが、その場で親と子が言い合いになることです。先生は多くの生徒・保護者と話さなければなりませんから、スケジュールがビッシリ詰まっていることが普通です。その場で親子の意見調整を図っている時間など、とてもありません。

 また、先生が困るのは、「先生、うちの子の成績で行けるところ、どこかありませんか」と、先生に学校名を挙げてもらおうとする態度です。昔の「輪切り」の進路指導の反省から、今は先生のほうから具体的な校名を挙げることはほとんどありません。文部科学省の指導もあり、あくまで受験校はご家庭の責任で決めることが求められているのです。
 ですから、三者面談の前にご家庭で十分話し合い、「自分のところでは公立高校は○○高校を、私立高校は△△高校を考えている」「第一志望校は○○高校である」と、親子で意見を一致させておくことが必要です。

 また、先生に提供する情報として、「模試ではこれまで○○高校については合格可能性60%、△△高校については80%」といった数字を書き出して持参するといいでしょう。できれば模試の成績表も持って行くようにしてください。

●「受かる学校探し」にしない
 三者面談前のご家庭の話し合いは、どうしても「受かる学校探し」になってしまいます。学校の教育の中身より、推薦入試の出願基準、一般入試の併願推薦の出願基準、そうしたものに1学期の成績(2学期制の場合は後期の中間試験までの成績)が達している学校を探そうとしがちです。

 が、早く安心したいという気持ちはグッと抑えてください。どこでもいいから目下の成績で入れそうなところ、という姿勢で選んだ学校では、3年間充実した生活が送れる保証はありません。
 お子さまの性格、向き・不向き、適性等をよくつかんで、教育内容的に最もふさわしい学校を選び、そこに向けて最後まで勉強し続ける--そうして初めて実力が付き、入学後も学習面で上位にいられることにつながるのです。

 これからの時期は、塾友の保護者のかた、クラスの保護者のかたから動揺させられるような「耳寄り情報」、ネットでの不確かな情報等が入ってくる機会も多いと思います。が、そんな情報に振り回されず、ドンと腰を据えていてください。保護者のかたがアタフタせず、長い目で実力を付けることを優先させる姿勢を貫いていれば、お子さまも落ち着いて勉強でき、実力も付くはずです。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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