解いたことのない応用問題を飛ばしてしまうことが多い[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま


質問

基本的な問題はできます。けれども、応用問題で解いたことがないパターンだと試行錯誤して解こうとせずに、飛ばしてしまうことが多いです。補助線をひく図形の問題でも、別の解法に切り替えて解くことができません。


小泉先生のアドバイス

「試行錯誤して解く」のも、時と場合による。

算数では、「難しい問題を粘り強く解く」ことが称賛される場合が多いようです。もちろん、自分で考え、あきらめずに解くことはたいへん重要です。5年生になるくらいまでは勉強もそれほど忙しくないと思いますので、それまでにそのような粘り強さを身に付けたいものです。ひとつの問題を5時間でも考えられる気力や、解けた時の喜びの経験は、算数に対する自信や興味を深め、得意教科にするためのステップだと思います。ただし、それも時と場合によります。

たとえば、試験中はどうでしょうか。試験では、できる問題を1問でも多く解き、得点を最大化することが求められます。できそうにない難問や時間がかかりそうな複雑な問題は、当然、後回しにします。そして、結果として時間内にやりきれない場合も出てくるでしょう。しかし、このような問題への対処の上手・下手により、得点が大きく変わる場合は少なくありません。やらずに飛ばすという方法は、試験中は大切な戦略といえます。

それでは、普段の勉強ではどうでしょうか。それも時と場合によります。
たとえば、お子さまは6年生ですが、塾の勉強を含めてかなり学習計画がタイトになってきていると思います。予習や復習、宿題、弱点補強など、いくら時間があっても足りないのではないでしょうか。恐らく、夏休み以降はさらにこの傾向に拍車がかかるでしょう。また、他の教科とのバランスも大切です。仮に、算数がある程度は得意で、理科が苦手だったとします。そんな場合は、算数にかける時間を割いてでも、苦手な理科に時間を配分すべきです。特に、2学期からはこのような教科間バランスに注意が必要です。今までのように、4つの教科にじっくり取り組める時間はどんどんなくなってくるでしょう。

それでは、解いたことのないような算数の応用問題は無視してよいのでしょうか? 当然、そのままやらずに放置しておいてはダメです。その時点で、お子さまの算数の学力の伸びは止まります。そうではなく、たとえば難しい応用問題に出合ったら、10分間は必死に考えます。そして、どうしても解けそうもないなら解答・解説をすぐ見ます。この時に大切なのは、解き方を単に“暗記する”のではなくて、解き方を“理解する”ことです。理解して「なるほど!」と納得し、新しい解き方を身に付けるのです。これこそが、有意義な勉強方法だといえます。もちろん、数日後に再度同じ問題が解けるかどうかをチェックしましょう。スラスラ解けるようであれば、お子さまの算数の力が1つ伸びたということです。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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