統廃合が進む公立高校、「単位制」「多部制」で少子化の波を越えられる?
少子化の進行で中学校の卒業生が減っているため、今、高校の学校数は余っている。どの都道府県でも長期高校再編計画を立て、今後の高校教育について検討中だ。その過程で、統廃合により高校が減少しており、母校の校名がなくなってしまった保護者も少なくないだろう。逆に、統合によって新しいタイプの高校が生まれているケースも。変わりゆく高校事情を、安田教育研究所の安田理氏が解説する。
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1980年代半ばに高校時代を送った保護者の方々には、なじみのない制度に変わっている部分もあります。たとえば、かつては夜間の時間帯だった定時制は、午前・午後・夜間の時間帯から自分の生活に合った時間帯を選べる「多部制」を導入する学校が増えています。
現在では、昼間働いて夜学校に通うというケースはほとんど見られなくなったことから生まれた、定時制の新しいスタイルです。午前を1部、午後を2部、夜間を3部とし、そのいずれかに入学します。入学した部の中だけの学習では卒業までに4年間かかりますが、ほかの部の単位まで取れば3年間で卒業できるようになっています。
また、かつては学年制で進級していましたが、単位制を導入する学校も出てきました。学年制では各学年で履修する科目と単位が決められていて、それを落とすと留年です。すると、友達は上の学年、自分は下の学年ということで中退してしまう生徒が出ます。これを防ぐために、卒業までに必要単位74単位を取ればいいという仕組みにしたものです。
本来は中退を防ぐ意図で始まったものですが、学年の枠にとらわれず履修できるので、茨城県立水戸第一高校、埼玉県立浦和高校、奈良県立奈良高校など、有力な進学校でも単位制にしているところも出てきています。
このように、最近の公立高校はめまぐるしくその様相を変えながら、少子化の中で進化しようとしています。