好きなことに打ち込んでいても大学に入れる!? 保護者にできるサポートとは?
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は最先端技術を駆使して生命活動の理解に挑む、慶応義塾大学の冨田勝教授の研究室を訪ね、混沌としたこの時代を生き抜くために、高校生までにどんなことをすべきかについて話を伺った。
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言われたことを真面目にやっているだけでは幸せが約束されない……そんな時代を生き抜く力を付けるには、高校時代までに、好きな分野に思いきり打ち込んで自分なりに勝負してみることが大切です。自由研究は絶好の機会です。夢中になって取り組んでいたら、じっくり研究するように導いてあげてください。今は高校生を対象に、科学の研究に関するさまざまなイベントやコンテストが行われています。ぜひ、お子さまが興味を持つ分野でそうした機会を見つけて、参加させてみてください。
「好きなことに打ち込んでいたら受験勉強がおろそかになり、大学に合格できない」と心配するかたもいるでしょう。しかし、大学に入る道は一般入試だけではありません。書類や面接で総合的に人物を評価するAO入試なら、自分の興味を生かして大学を受験できます。カギは大学や学部選び。本当に興味を持って研究してきた高校生なら、大学のほうから「ぜひ来てください」と言われます。みんなと違うことをするには勇気が必要ですので、ここは親の度量が問われます。
福澤諭吉の言葉に「国を支えて国を頼らず」があります。次世代の人財に育みたいのが、社会に貢献しようという志です。ヒトという生物には社会に貢献したい、自分の能力を最大限発揮したい、という本能があります。それを見つけて仕事にできれば、自分も周りの人たちも幸せにでき、人生が大きく開けます。
とはいえ、自分が得意な分野を見つけるのは容易ではなく、試行錯誤もあるでしょう。大学はその場であるべきです。好きなことに打ち込む環境を用意し、迷った時には励まして、見守り、最も社会に貢献できる分野を見つけるよう導く……それこそが教育のすべてだと、私は思います。