2013年入試における付属校の動向[中学受験]
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2013年入試における付属校の動向
受験生の保護者にアンケートをとったところ、私立中高一貫校を選ぶための要因の上位に、これまでになかった「学費」が顔を出した、という話を大手塾の先生から聞いた。つい1~2年前までは、学費を志望校選択要因とする保護者はほとんどいなかったのに、不況の影響が教育にも明確に表れているということであった。この話は、人気大学の付属校は学費が高く、2012年度入試で敬遠されたこともあり、不況の影響で付属校の人気が低迷するのではないか、というマスコミの報道と一致する。
また同じアンケートで、将来の大学について尋ねた設問では、理系の、特に医療系大学・学部をめざす女子の受験生・保護者が増加しているようだ。そうなると、医療系大学・学部の少ない付属校は敬遠され、進学校の人気が高まる。これまでも、私学に進学させる保護者に、大学合格実績の高さを求める傾向はあったが、ますます教育に対し実利を求める傾向が明確になってきた。不況の中でも、我が子が将来、路頭に迷う不安を解消できるのであれば、教育にはお金を惜しみたくないという親心が感じられる。
学費の高い中高一貫校の象徴として、早慶やGMARCHの大学付属校がある。学校ランクと付属校・進学校・半付属校の相関についての下の表を見てみると、リーマンショック直後の2010年は全体的に受験者数が減少した。特に、進学校では、D~Gランクの中下位校が、また、付属校はAランクを除くすべてのランクで受験者数が大幅な減少であった。2011年は、不況の影響で全体的には受験者数が減少する中、大震災の影響が加わり、安心感と安定感を求めて進学校や付属校のA~Cランクの難関・上位校で増加傾向であった。そして、2012年入試では、たしかに、付属校のA~Cランクの難関・上位校でも受験者数が減少した。
ここでは半付属校については述べないが、半付属校とは、系列大学があって、卒業生の30%~70%の生徒が系列大学に進学する学校である。系列大学があっても卒業生の30%未満が系列校に進学する学校は、進学校に分類した。
しかし、2011年入試では、人気大学の付属校を中心に付属校の受験者数は男子校・共学校で増加した学校が多く、その反動で2012年に受験者数が減少したことも考えられる。このように隔年現象で減少したならば、2013年入試は隔年現象で付属校は増加すると予測することもできる。
2013年入試は、リーマンショックの影響から脱却し、受験者数の減少が止まる時期なのだが、2012年の夏以降、ヨーロッパや中国の経済危機で不況が深刻化し、私学の入試で受験者数がどの程度影響されるか不透明になってきた。もしも、不況の影響が続くならば、2013年入試では学費の高い付属校が、最も大きな影響を受けそうだが、そのためには、模試の志願者数で調査する必要がある。
学校ランクと付属校・進学校・半付属校の相関
※小数点第2位で四捨五入した数値を使用しているため、表内の合計に誤差が生じている場合もある。
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