2012年中学入試予測と子どもへの対応 [中学受験]

実際には、5月~6月にならなければわからないが、2012(平成24)年の中学受験は、全般的に易しくなる可能性が高い。5月~6月になれば、大手の模擬試験結果から志願者数前年対比がわかり、2012年の受験者数予測ができるので、難易度も具体的に予測できると思う。しかし、2011(平成23)年と同様、難関・上位校ではそれほど易しくなることはないだろう。しかも、どれだけ易しくなるかを予測することは難しく、2011年入試でも思ったよりも受験者数前年対比は減少しなかった。

2年連続して受験者数が減少し、学校も合格者数を増やした結果、2011年の中学受験は、全般的に易しくなったようだ。来年の中学受験も易しくなるだろうという情報は、保護者が知らないうちに、塾の先生・友達から子どもの耳にも入ると考えるべきだ。危険なのは、そのような漠然とした情報が子どもに伝わることで、子どもが受験に対し安心してしまうことだ。つまり、受験勉強をそれほどがんばらなくとも合格できると思い込んでしまうことが考えられる。子どもだけでなく、保護者も来年の中学受験は易しくなることを願ってしまい、安心したいと思うと、親子で入試に対する危機感がなくなる恐れがある。

2011年入試では、難易度が低い学校ほど、顕著に受験者数は減少し、易しくなったと言えるが、難易度が高いほど受験者数前年対比は高く、難関校や上位校は平均で100%を超えている。つまり全体としては易しくなったようだが、難関校や上位校では多少なりとも難しくなったと言えるのだ。同様に、2012年の中学受験は、易しくなるといっても、難関校や上位校には当てはまらないかもしれない。
保護者としては、「2012年入試は易しくなるかもしれない」と期待してしまう生徒が多いからこそ、子どもには「2011年入試では難しくなった学校もある!!」と気を引き締めさせるべきなのである。「受験をなめてしまえば、合格できるチャンスがあっても、ものにはできない」ということを子どもに納得するまで言い聞かせるべきだ。それでも、子どもが本当に理解して、しっかり受験勉強に取り組んでくれるかどうかは疑問である。そこで、子どもを真剣に取り組ませるための工夫が必要となる。

子どもを真剣に取り組ませるための具体的な方法として、目標校を高く設定することが考えられる。通常、1年間で偏差値を10上げるのが上限で、6年生のスタート時には目標とする志望校は自分の偏差値よりも5~6高い学校とすべきだ。しかし、子どもを真剣にさせるのであれば偏差値10くらい上の学校を目指しても良いかもしれない。子どもにとっては、少し高すぎる目標かもしれないが、せっかく来年は入試が易しいのであれば、チャレンジすることを子どもに納得させることができれば、ちょうど良い緊張感を持たせられる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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