学校説明会は、校長先生のお話に注目する[中学受験]

学校説明会で校長先生の話に注目が集まるのは、校長先生の話の内容で志望校を選定しようとする保護者が多いからであろう。実際に、受験生を持つ保護者のアンケートでは、学校説明会に参加したときに保護者が重視する確認事項は「校長先生・先生方の話の内容」(32%)がダントツであった。次に重視する「雰囲気として学校全体の活気」(21%)を11%も離していた。

現実に校長先生の話が上手で学校の実力以上に志願者を集めている学校もあれば、その逆になっている場合もあるようだ。もちろん、校長先生が話上手ということは、校長先生の能力が高いことになり、今後、その学校が伸びていく可能性は高い。つまり、校長先生のコミュニケーション能力が高ければ、先生方を指導する能力が秀でていると言うことができる。学校の多くは、校長先生以外の先生が鍋蓋(なべぶた)の蓋のように平等で、校長先生だけが鍋蓋のつまみ部分のように一段高い「鍋蓋型」の組織になっている。つまり、校長先生が唯一の上司でその他の先生はすべて校長先生の部下というような組織なのである。

「鍋蓋型」の組織の学校には、企業にいる中間管理職はいないので、すべての先生は校長先生の指示でしか動かないのである。「鍋蓋型」の組織では、校長先生の指導力があるかどうかで、その他の先生の動きが変わってしまうのである。つまり、校長先生のコミュニケーション能力で学校全体を判断するのはとても合理的で、それほど校長先生の影響力は強いのだ。もちろん、少数派だが、「鍋蓋型」の組織だけではなく、中間管理職の存在する「ピラミッド型」の組織や、人材が有機的につながって活動する「アメーバ型」の組織も現れてきているが、校長先生がトップとなっていることに変わりはない。

また、志願者の側から考えれば、校長先生の話が上手で志願者数が多くなれば、それだけ優秀な生徒が集まり、学校全体の活気も出て、学校が伸びていくための条件が整っていくと考えることができる。活気のある学校には、優秀な志願者が集まりやすく、学校全体に活気があると生徒のやる気が高まり、大学受験実績も年々高くなり、ますます優秀な生徒が集まりやすい環境となる。

学校案内を読んだだけではもちろん、学校説明会をはじめとする学校イベントに参加しても、学校の中身を知ることは難しい。学校イベントの中でも最も参加率が高い学校説明会では、校長先生の話を聞いて学校の中身を判断する保護者が最も多いが、その方法は非常に合理的と言える。また、保護者は、多くの学校説明会に参加することで、いろいろな校長先生方の話を聞き比べているうちに、それだけでも学校をよりよく理解することができる素地ができるだろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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