自らが主役となって医療と関わるために、子どもに伝えたいこと【後編】

前編では、患者自身が主役となって医療と関わることの大切さについてNPO法人ささえあい医療人権センター COML(コムル)の山口育子さんにお伺いしました。今回は、子どものころから身に付けてもらいたい「いのちとからだの10か条」についてご紹介します。



「いのちとからだの10か条」

(1)いのちとからだはあなたのもの
あなたの体は、ほかの誰でもなく「あなた自身のもの」です。自分の命を自分で守るという自覚を持ちましょう。

(2)食事・すいみん・手洗い--予防が大事
病気は自分で予防することもできます。バランスのよい食事や手洗い・うがいはもちろん、予防接種などもきちんと受けましょう。

(3)からだの変化に気づこうね
「お腹が痛い」「具合が悪くて不安……」そういった体の変化は自分でしか気付けないもの。気が付いたら大人に相談してみましょう。

(4)お医者さんには自分で症状を伝えよう
自分の症状は自分にしかわかりません。お医者さんにかかった時は、「いつから、どこが、どのように」と自分で症状を説明できるようにしましょう。

(5)わからないことはわかるまで聞いてみよう
もしお医者さんが言っていることがわからなかったら、質問をしてみましょう。わからないことは何度聞いても大丈夫です。

(6)自分がどうしたいかを伝えよう
自分がどうしたいのかを伝えましょう。お医者さんはそれを参考にしてどういう治療をするのか考えてくれます。

(7)治療を受けるときはあなたが主人公
患者になっても、主人公はあなた自身です。困った時は一人で悩まずに、大人に相談してみましょう。

(8)お薬は約束守って使おうね
薬は量や飲む時間を守らないと害になることも。もし薬を飲んで変な症状が出たら、大人に伝えましょう。

(9)みんな違いがあって当たり前
病気や障がいは、恥ずかしいことでも悪いことでもありません。それも一つの個性だと気付けるとよいですね。

(10)だれのいのちもとっても大切
好きな子も苦手な子も誰の命もとても大切。もちろん自分の命も大切にしましょう。



自分の命や体に関心を持つための意識を育てる

子どものころから自分の命や体に関心を持ち、日頃から大切にしてもらいたいことをまとめたのが『いのちとからだの10か条』です。ぜひお子さまと一緒に読んで、日頃からどんなことに気を付ければよいのか親子で考えるきっかけづくりに役立ててみてください。

病気の症状は、生活環境や回復力など、一人ひとりまったく異なります。自分の体と向き合うことでほかの人にも優しく向き合い、認めることができるようになるはずです。そして、もし子どもが病気になった場合もその考え方を生かし、自分に合った治療法を自分で選択できるようになれるとよいですね。


プロフィール


山口育子

NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML理事長。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療の必要性を痛感していた1991(平成3)年、COMLと出会う。活動趣旨に共感し、1992(平成4)年にCOMLのスタッフとなり、相談・編集・渉外などを担当する。

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