塾の学費について その2[中学受験]

塾の学費について「これだけの費用がかかることについて、どのようにお感じですか? ご意見・ご感想をお願いします」というアンケートに対し、「在籍校が不明」や「回答が空欄」を除くと44件の有効回答があった。そのうちの33件が「中学受験の費用は高い」という意見・感想であった。33件を細分化し、「(高いが)仕方がない」と「(高いので)不満」に分類して、学校難易度別に集計した。

【表1 受験費用が高いことの意見 学校難易度別】
表1 受験費用が高いことの意見学校難易度別

<表1>の小計の数値を見ると、全体としては、「仕方がない」が55%で、「不満」45%よりも少し多いがほぼ同じくらいになっている。
「仕方がない」という回答の記述を見ると「教育は財産という考えなので、お金がかかっても仕方がないと思う」「ある程度お金をかけないと合格は難しい」とかかった費用を肯定的に受け止める保護者も存在する。
しかし「塾のオプションなどもすすめられるままに受講するのではなく、本当に必要なものだけにすればよいと思う」「塾でも追加の講座等をすすめるので、そこは親の見極めが必要だとは感じました」など、受験する費用が高いのは仕方がないが、必要のない費用まで払うべきではないという意見も多い。

最も説得力があるのは「結果が思わしくなかった場合は、感じ方もまた違ったと思います」「合格できる保証がなければ非常に高いと思う」のように、志望校に合格できたことで「仕方がない」と思えるというような意見・感想であった。
このことは<表5>からもわかる。学校難易度別に見ると、難易度E・F校はデータ数が極端に少ないため例外とすれば、「仕方がない」という回答は、難易度A校で67%を占めており、難易度B校も54%を占めているが、難易度C・D校では50%・29%と減少している。
難易度の高いところに合格した場合は、「中学受験の費用が高いのは仕方がない」と考える保護者が多く、難易度が低くなるとそのように考える保護者は少なくなる。つまり、在籍校の難易度が低くなればなるほど、保護者は中学受験費用に不満が残る割合が大きくなるのだ。

「不満」と回答した保護者の記述を見ると「季節講習にお金がかかりすぎる」のように塾のオプションなど、月謝以外の費用を払う仕組みに対する批判も多いのだが、やはり、根底には「第1志望校に合格できていたなら、この金額も納得いくものだったのかもしれません。不本意な結果に終わり、ただただむなしさだけが残ります」のように志望校に合格できなったことが不満の原因となっていることがわかる。
つまり、第1志望校に合格していれば、受験の費用がかかっても、納得しているのだ。逆に、かかった費用に関わらず、志望校に入れなければ、無駄な費用と感じている保護者も多いようだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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