入試直前の生活管理[中学受験]

「どのように入試直前期を送るとよいか?」という相談も多い。入試直前期をどのように送ればよいかを考える時、入試本番から逆算するとよい。入試本番ではベストな体調であることと、受験問題に立ち向かう気力に満ちていることが理想だ。そのためには何が必要かを考えてみる。子どもの性格や体力によっても、現在の状況によっても、どのように対処するかは異なる。つまり、こうすれば必ずうまく行くということは言えない。うまく行っているかどうかは、本人の状況で観察しながら微調整していく。
入試直前期の生活がスムーズに過ごせれば入試で力を十分発揮することができる。子どもが選手ならば、親はマネージャーで、志望校合格という同じ目標のために、自分にはできない生活管理をしてもらっていることを子どもに十分納得させてほしい。これこそ、親が我が子にしてあげられる最大の支援である。

入試直前の生活管理は、1~3週間前から始めるべきだ。それまでは、夜型でも、睡眠時間が少なくとも、勉強が順調に進めばよい。いつから入試直前の生活管理を行うかは、受験生本人の適応力による。適応力には個人差があるので、我が子に適応力がないと判断した場合は早めに始めたほうがよい。

生活管理を開始してからは、毎日できるだけ同じペースで生活するように子どもを管理する。入試が始まる時間には気力が充実しているようになっていることが大事なので、試験の時間には頭がさえるように寝る時間と起きる時間を本人に聞きながら調整すべきだ。勉強時間帯も極端な夜型からは脱却する必要がある。睡眠時間も試験の時間には頭がさえるように調整し、食事や運動も考えてあげる。風邪を引かせないよううがいや手洗いも、きめ細かく注意してあげなくてはいけない。

生活管理がうまく行っているかどうかのバロメーターとして、土曜・日曜などに本番の試験と同じ時間割で過去問演習を行う。4科で受験するのであれば、休憩時間も含め過去問にあるとおり4科すべてを受験する。「試験問題に立ち向かう気力はあるか?」「集中力が継続できるか?」「自分の力を十分発揮できるか?」といったチェックポイントで、生活管理がうまく行っているかどうかを確認することができる。

入試直前は毎日をコンスタントに送ることが大事だ。ベストの状況を作るためには毎日同じことを、同じタイミングで行うことである。入試前日こそ、いつもとまったく同じ生活パターンにしてほしい。特別なことを、してはいけない。特別なものを食べて具合が悪くなったり、早く就寝しすぎてかえって寝付けなくなったりしないようにすべきだ。
そして大リーガーのイチローのように本番で自分の力を十分発揮できるようにしてほしい。イチローは、試合のある日は毎朝カレーライスを食べ、同じ時刻に球場に行き、同じメニューの練習をし、バッターボックスに立つ時までの動作まで毎回同じなのだ。
同じ行動をすることで精神的な安定が得られるので、試験になるとあがってしまう人は特に必要だ。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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